【セミナーリポート】メオ・カミュゼ セミナー

THE CELLAR Roppongiの実店舗では当店スタッフはもとより、インポーターさんからお招きした講師陣や、
ときには国内外の造り手さんから直にリアルなお話を聴ける多彩なセミナーを開催しております。
今回は、9/26(火)に開催いたしました、「メオ・カミュゼ セミナー」のリポートをお届けします!
講師には、株式会社フィネスより木嶋様をお招きしました。
「メオ・カミュゼ」といえば、ブルゴーニュ好きには、憧れの生産者の一人ですね。
当主のジャン・ニコラ・メオ氏はブルゴーニュの神と謳われた、アンリ・ジャイエ氏の教えを継承する造り手としても有名です。
特にドメーヌでは、リシュヴール、クロ・ド・ヴージョを筆頭に、著名な畑を所有し、世界的に非常に高い評価と人気を得ています。
さて、今回はそんなジャン・ニコラ氏のワインを通して、「メオ・カミュゼ」の世界感に迫ります。
さらに、知る人ぞ知る?!ジャン・ニコラ氏がオレゴンで手掛けるワイナリー「ニコラ・ジェイ」もご紹介。
近年注目を集めている”オレゴンPinot Noir”の今を垣間見たいと思います!
はじめに、メオ・カミュゼの当主、ジャン・ニコラ・メオ氏をご紹介します。

左の方がジャン・ニコラ氏。
彼はブルゴーニュのヴォーヌロマネ村の生産者です。
お父様がドメーヌを所有してはいたものの、元々ワイン造りに参画するつもりはありませんでした。
お金持ちで生粋のパリジャンだった彼、学生時代には経済学を専攻し、アメリカ留学も経験しています。
なんでも金融関係の仕事に興味があったとか・・・。
さて、そんなワインと“畑違い”の道を歩んできた彼ですが、故郷ヴォーヌロマネへ里帰りした際、葡萄畑の素晴らしさに感銘を受けます。
これがきっかけとなり、当主としてドメーヌを継ぐことを決意したそうです。
この時、葡萄の栽培から醸造まで彼の指導を担当したのがアンリ・ジャイエ氏(写真右)。
その教えを忠実に受け継ぎながら、素晴らしいワインを生み出しています。
さて、本日は早速試飲に参りましょう!
最初の2本は、メオ・カミュゼ F&Sより「2015年ビンテージの比較試飲」です。
ジャン・ニコラ氏の試飲コメントと共にご紹介。
① メオ・カミュゼ F&S ブルゴーニュ・ルージュ 2015

サクランボの砂糖漬けのような甘い香りにミントのようなハーブのニュアンスも感じられる複雑な香り。口当たりはとても繊細でエレガント、チャーミングな旨味が広がるが、過度に重すぎない。バランスはまだ取れていないが十分期待できる味わいで2020年になれば素晴らしい状態に仕上がっているだろう。(ジャン・ニコラ氏試飲コメント)
② メオ・カミュゼ F&S マルサネ 2015

エレガントでミネラルを感じさせるような香り、フランボワ-ズやサクランボのような甘い果実のニュアンスも感じられる。なめらかな優しい口当たりで例年よりも酸味が控え目。ブルゴーニュルージュよりしなやかでとても飲みやすいので2018年から楽しめるようになるだろう。(ジャン・ニコラ氏試飲コメント)
さて、コメントにもあるように2015年ビンテージ、まだまだフレッシュで若々しいワインです。
夏場の乾燥のおかげで病害が無く、葡萄が良く成熟したこの年は「ジューシーでリッチな、非常に出来の良いビンテージ」と評されています。
皆さまの実感としては、2015年どんなイメージがありますでしょうか?
わりあい日本では、グッドビンテージ感が強いと思うのです。
海外では、いろいろな意見があるようですが…
ジャン・ニコラ氏はじめ、生産者にとっては葡萄の出来、気候の面から見ても軒並みブラボー!と言える当たり年だったようです。
試飲してみると、①番目の「ブルゴーニュ・ルージュ」はリッチな果実味、しっかりとした骨格、適度な酸味。
AOCブルゴーニュでこのクオリティ?!と初っ端から期待が高まりました!
豊かな果実味から「アルコールが高いのでは?」というご質問も出たほど・・。
この後に繊細なワインも登場しましたが、何度でも戻って飲みなおしたくなってしまうようなワインでした。
安定感抜群のブルゴーニュ・ルージュ、ぜひ皆さんもお試しください♪
②番目は「マルサネ」です。個人的には、どこか少し苦味?を感じてしまうマルサネ。
派手なイメージはなく、ともすると他の有名な村々に埋もれがちな印象です・・・。
そんなマルサネ村の特徴は、「開放的な香りと紫色の果実のニュアンス」だそうです。
・・・確かにそんな雰囲気も感じるような。
初めはスパイシーさが目立ち、若干固い印象でした。
そしてほのかな苦味。
しかし!セミナー終盤で改めて試飲したところビックリ。
時間を置くことで果実の滑らかさが上がってきて、最終的には丸みのある骨格の何とも味のあるワインに仕上がりました。
正直、「マルサネってハッキリしないなあ・・」なんて失礼なイメージを持っていたのですが、撤回です!
気取らない美味しさで本当に味わい深かったです。
素朴な味わいに癒されました(*´∀`*)
ここで、「メオ・カミュゼ F&S」をご紹介!

ドメーヌ・メオ・カミュゼのネゴシアンラベルです。
ドメーヌのワインは非常に高値で取引されていますが、こちらは手に入りやすい価格で「メオ・カミュゼ」のワインを味わえるとあって人気です。信頼できる生産者を厳選しブドウを買い付け、基本的には畑作業・醸造全てドメーヌのスタッフが手がけることで品質に妥協しないネゴシアンワインを造っています。
さて、続いての試飲に参りましょう。
今度は「2014年ビンテージで比較試飲」してみたいと思います。
「シャンボール・ミュジニ」と「モレ・サン・ドニ」を試飲します。
2014年は「酸がおとなしく飲みやすい、早くからジューシーさを感じられる早飲みビンテージ」と言われています。
そのせいか、抜栓してからどんどんと印象が変化していく面白い一面も!
2009年以来、低収量の続いていたブルゴーニュ。久々に安定した収穫が見込めた2014年は、生産者にとっても嬉しい年となりました。
③メオ・カミュゼ F&S モレ・サン・ドニ 2014

こちらのワインは、まさに飲み頃!参加者の皆様にも、大好評でした。
柔らかいけれど、芯の通ったワインです。
④メオ・カミュゼ F&S シャンボール・ミュジニ 2014

上品で、香り高く、高貴な味わい。
繊細ながらエレガントさやゴージャス感、そして強さも秘めたワインです。
さて、ブルゴーニュといえば「村による味わいの違い」がよく話題に上がりますね。
「ジュヴレ・シャンベルタン」といえば力強いイメージ!などなど。
今回は、「モレ・サン・ドニ」と「シャンボール・ミュジニ」。
いかがでしょうか、何か味わいイメージはお持ちですか?
世間一般的に言われるのは
「モレ・サン・ドニ」は「タニックで男性的」
「シャンボール・ミュジニ」は「繊細で女性的」なんだそうです。
そんなことも思い出しつつ、実際に試飲してみます。
すると、③番の「モレ・サン・ドニ」は肉厚で柔らかく、④番の「シャンボール・ミュジニ」は葡萄の凝縮感から来る力強さを感じるような・・・。
なぜか、一般的なイメージとは若干のギャップがあり、
「どちらが女性的なワインでしょう?」と聞かれたら、多分③の「モレ・サン・ドニ」と答えます。
えー!「モレ・サン・ドニ」って力強くて男性的なんじゃなかったの?!
その理由を、木嶋さんが説明してくれました。
ブルゴーニュの地層は非常に複雑に入り組んでいるため、「生産者ごとに持っている畑単位」でも味わいが変わってしまうのだそうです。
たとえば、メオ・カミュゼの所有する畑の例を挙げると、
■モレ・サン・ドニ
大地が肥沃な区画を所有。そのため葡萄は根を下でなく、横に張るため水をたくさん吸い、ふくよかな味わいになりやすい。
■シャンボール・ミュジニ
丘の上のやせた区画を所有。標高が高く、根を深くしっかりと張るため小粒で凝縮感のある葡萄に仕上がりやすい。
この違いが、ワインの味わいに出ていたのですね!
「村」の味わいはもちろん、「生産者」や「区画」の味わいも比べるとなお、ワインが面白くいただけますね。
興味のある方は是非、飲み比べてみてください♪
気軽にお試しされたい方は、当店の有料試飲コーナーがオススメです。
50ccで500円。ブルゴーニュ村名クラスも時々お出ししていますよ!
さて、後半2種はブルゴーニュを離れ、アメリカ、オレゴン州のワインです。
オレゴン州はアメリカ西海岸、カリフォルニア州のちょうど真上に位置します。太平洋に面し、カナダから流れる寒流の影響で冷涼な気候の為、近年Pinot Noirの産地として注目を集めています。
ブルゴーニュからもドルーアンやルイ・ジャドなど多くの醸造家が進出しています。
中でも1番ブルゴーニュらしい?と噂されるのが「ニコラ・ジェイ」。
メオ・カミュゼの手掛けるワイナリーです。

ジャン・ニコラ氏とアメリカ留学時代に出会ったジェイ・ボバーグ氏との共同経営によるワイナリー。
ジェイ・ボバーグ氏は、デジタル音楽配信会社社長として数多くのミュージシャンを輩出してきました。そんな彼が、音楽と同様に愛したのがワイン。オレゴン州、ウィラメットヴァレーの可能性を見出し、友人ジャン・ニコラ氏とワイン造りを始動しました。

オレゴンのウィラメットヴァレーは、アメリカのAVAの一つです。
AVA(American Viticultural Areas)とは、何かというと。
フランスのAOCとも似ていますが「品質の高いワイン生産地をくくった指定地域」のこと。
ちなみに、1番有名なAVAはみなさんご存知のナパですね。
ウィラメットヴァレーAVAは、オレゴン州で最大のAVA。
州北部の海沿いに位置しています。
⑤ ニコラ・ジェイ ウィラメットヴァレー ピノノワール 2015

新世界の熟したニュアンスがありつつも、ブルゴーニュのような酸味も感じられます。
バランスが取れ、軽く、チャーミングな印象です。
⑥ ニコラ・ジェイ ビショップクリーク ピノノワール 2015

ウィラメットヴァレー内にある自社畑「ビショップクリーク」の葡萄のみで作られた単一畑ワインです。
香りも味わいも開放的な印象。やや樽のニュアンスが強く、新世界らしさも感じます。
内に凝縮していくブルゴーニュに対し、明るさや華やかさが前面に表れるオレゴンのピノノワール。
これもブルゴーニュとの違いであり、面白いところです!
こちらの「ビショップクリーク」は熟成もできるポテンシャルを持っています。リリース3年目なのでまだまだ未知数ですが、熟成したらどんな味わいになるのか・・・今から興味深いところです。
アメリカワインの歴史は浅く、2000年もの歴史あるブルゴーニュとは簡単に比較できません。しかし、まだまだ研究の余地があるアメリカ、最新技術やデータも総動員してこれからどんなワインが出てくるのか非常に楽しみな国の1つです!
さて、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
今回は「メオ・カミュゼ」にまつわる6種のワインをご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?
講師の木嶋さんの深~いお話から、質問もたくさん飛び交い、大学講義のようなアカデミックなセミナーとなりました。
ご参加のみなさま、講師の木嶋さん、素敵なセミナーありがとうございました!

さて、THE CELLAR Roppongiではこれからも多彩な内容のセミナーをお届けしていきます。
今回ご参加できなかった方も、次回以降のセミナーでぜひお待ちしております。
今月のセミナー&パーティーもまだまだ残席ございます!!
11月7日(火)・16日(木)毎年恒例ボージョレパーティ !
11月11日(土) 【Staff Seminar】ワイン×チーズ マッチングセミナー 講師:石垣
11月14日(火)【Staff Seminar】ボーヌの向こう、ヴォルネ、ポマール 講師:山崎
11月22日(水)【Staff Seminar】カリフォルニア 赤組トップスター グランドテイスティング 講師:佐藤
詳しくは11月のセミナースケジュールをご覧ください。
ご興味ありましたら、店頭で、電話やメールでお気軽にスタッフまでお問合わせください。
みなさまのご参加お待ちしております!