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THE CELLAR NEWS

リースリング・ツアー in Germany ③

7/9  午後

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ゲオルグブロイヤー当主、テレーザ・ブロイヤーさんと待ち合わせ。

彼女の運転でまずはリューデスハイム付近の畑を見学させていただきます。

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前にも言ったようなきがしますが、ここラインガウはライン川沿いにすべて南向き斜面で、日当たりが素晴らしい条件。

土壌は、

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ローム、スレート、クオーツなどが混ざったもの。

4つのリージョンがくっついているけれども、4つとも違う条件とのこと。

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2ヵ月後には収穫がはじまるそうです。

今年はとても暑く、雨が6週間まともにふっていないそうです。

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畑はすごく細かく所有者がわかれていて、生育が所有者によってぜんぜん違うのがみてわかるかと思います。

急な斜面なので、機械はほとんど入れないけれど、上からロープで引っ張りあげるようなタイプのものは少しだけ使っている生産者もいるそうです。

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ブロイヤーが所有するリューデスハイムの3つのグランクリュ畑のうち、まずは標高の高いところにあるベルク・ローゼンエックへ。

写真のとおり、灰色粘板岩、紫色粘板岩、珪岩が中心のスレートだらけのごつごつした畑。

この石ころたちが昼間に熱をためて、冷える夜になっても畑の温度が冷えすぎない保温効果があるとのこと。

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畑はオーガニックで栽培しています。

川からはね返ってくる暖気がこの斜面を駆け上がります。

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その暖気がこのベルク・ローゼンエックの下側にある石垣のところで止まるとのこと。

なので、この石垣の下側にくると確かに気温が暖かかったです。

ちなみにここがグランクリュ畑のひとつベルク・ロットラントです。

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もう結構な斜面です。

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ここからさらに西へいくと、グランクリュの中でも最上級の評価をうけている、ベルク・シュロスベルクの畑です。

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あまりの急斜面(最大斜度60度)のため、水分が流れてしまうためブドウの樹に対する水分ストレスがすごいので、あまりにも足りないときはライン川の水を吸い上げて少しだけつかうときもあるとのこと。

写真の樹の下にみえるホース状のものが、その灌漑用のホースです。

せっかくここまで来たのだから、ちょっと斜面をおりてみましょうよ!とM氏。

ちなみに60度って想像しづらいと思うので、お手元に三角定規をご用意ください。(二等辺三角形じゃないほうのやつ)

それをテーブルに立ててみてもらうと、写真では伝わらない角度が実感できるかと思います。

まあ嫌だけど、せっかくだから少しだけね、降りましたよ。

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いやもうほんと信じられない斜度。

たっているのがやっとです。

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常識的で大人な私は4分の1くらいでおりるのを止めましたが、無謀なM氏は結構下までおりていきました。

雨が本当にふっていないので、地面がとても乾いていてとーーーーってもスリッピーで、ずるずる滑って本当に死に掛けました。

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そんな必死なときに、テレーザさんが上から「想像してみて、この斜面で収穫期は2つ収穫用の箱を支えながら収穫をして、その場でブドウの選別をするのよ!この斜面を年間100往復はするわよ!」

いやいやいや、クレイジーでしょ。ほんと。

クレイジー、クレイジーと連呼する私。

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やっとの思いで斜面をあがったときはショック状態でよく覚えてません。

車にのって一息つきながらちょっと移動です。

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リューデスハイム村内にある、ゲオルグブロイヤー醸造所へ。

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「さあ見て!ここが最新の醸造設備のある醸造所よ!」とテレーザさん。

なるほど、めちゃくちゃ手造り感でてますけどー。

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想像を遥かにこえる狭い醸造所。彼らが所有する畑は現在35haですが、それが5haだったころから同じスペースで醸造をしているとのこと。

量が7倍になっても同じところで作業するってちょっと意味がわからないですね!クレイジー。

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35haもっているといいましたが、大きい畑はなく、いろいろなところに小さい畑をたくさんもっているそうで、写真の紙にかいてあるのがラインガウの地図で、緑に色がついているところがブロイヤーの所有している畑だそうです。

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小さい畑ばかりなので、小さく仕込んではすぐに樽をあけて、すぐ次のブドウを仕込んで、という感じですすめるのですごーく大変とのことでした。

ラインガウは西へ行くほどクオリティがあがるが、この後行くラウエンタール村のノンネンベルクというブロイヤーが所有する4つ目のグランクリュの畑は、中心部ほどクオリティが高いとの説明をうけました。

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地下にある熟成庫へ移動。

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小さい畑がたくさんあるので、小さく仕込んでそれぞれ別に熟成をさせるとのことです。

ポテンシャルのある畑のブドウは大樽で、ベーシックなワインにするものはステンレスで熟成させ、ブレンドする場合は熟成がおわってからブレンドするそうです。

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最近は600リットルのサイズの樽をふやしていて、畑それぞれの特徴を生かしたつくりをしていきたいとのこと。ステンレスタンクも小さいものばかりが目立ちました。

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260年前にこのセラーはできたらしいですが、少しずつ拡張しているそうです。

セラーをでて、徒歩3分くらいのところにあるブロイヤーのオフィス?兼ショップ兼熟成庫へ移動です。

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地下へおりる階段が、企業のカラーである水色です。キレイ。

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細かいところまでこだわりがあるところは共感がもてるし、すごいなと思います。

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テレーザさんのおじいさんの代よりもっと以前には、いわゆるネゴシアン的なことをやっていたので、この場所で交渉やもてなしなどをしていたようです。

この部屋の一番奥に、立体のラインガウ全体の地図がありますのがみえますでしょうか。

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水色の線がライン川で緑がブドウ畑。横にうっすら赤い線がまっすぐ走っているのが、緯度50度のライン。

薄い黄色のテレーザさんが指差しているところがいわゆるグランクリュの畑です。緯度50度の線より下にあるんですね。

そして右端のほうにぽつんとひとつある薄い黄色のところがノンネンベルクの畑です。ここは緯度50度より上にあるんですね。なるほど。

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この部屋のすぐとなりに赤ワイン用の熟成庫があります。

マロラクティック発酵がおきやすい温度に設定してあるそうです。

そしておまちかねのテイスティングです。地上にあがります。

ショップの奥にテーブルと椅子が用意されており、当主自らが説明していただきながらの贅沢なテイスティング。ありがとうございます。

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椅子も水色。イエス。

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まずはリースリングツアーですが、グラウアーブルグンダー(ピノグリ)2018から。

フレッシュなスタイルのピノグリ。クールクライメットを意識して造っているそうです。とてもピュアでブロイヤースタイルのミネラルのはっきりとした堅牢な印象。ちょっとキウイとか。

スパークリングを造る用にむいているとおもっているそうで、たしかにそういう味だなと思います。

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リースリングチャンピオンにきてもらってるのにごめんねーとテレーザさん。

そう言いながら続いてはロゼ 2018。

ピノノワールを白ワインとしてブランドノワールで造っている。とてもおいしくて泡にしているが、スティルワインだとピノの白は売れなかったそうです。

でもなんとかしてこのスタイルで売りたいと考えて、赤につくったピノを1%だけ入れてカラーリングしたものです。考えましたねー。

サクランボの香り、サクランボアイスのようなさわやかでチャーミングな味わい。ここでもブロイヤースタイルの堅牢なミネラルを感じます。確かに白ワインのようなクリアな味わいでした。

ルージュ ピノノワール 2017。

2017はとても暑く水分が足りなかったが、収穫時に酸が高いまま、のったヴィンテージ。

ここでもアフターにより金属的なミネラル。あとはなめし革のような香り。

ゲオルグブロイヤー ゼクト 2010 写真なし。

ピノノワール、ピノグリ、ピノブランを1/3ずつ。

熟成感がでていていて、香りにも味わいにもボリュームを感じる。ただのファットなスタイルではなく酸もきれいでバランスがとてもよいと感じた。

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次はリースリング ソヴァージュ 2018。

ソヴァージュとはワイルドという意味。ハーブとミネラル。テロワールをすごく反映していると思われる味わい。キレがありまさにブロイヤースタイルの真髄ですね。

シャーン 2018.

シャーンはチャーム。チャーミングってことです。少し甘みを残したタイプですが、やはりミネラリーで甘みがある分スムースにのめてしまう恐ろしいワイン。青りんご的雰囲気。

エステート リューデスハイム 2018(写真なし)

リューデスハイム村付近の畑のブレンド。いわゆる村名ワイン。

やわらかく、果実味が豊か。でもしっかりとミネラルも感じる。

エステート ラウエンタール 2018(写真なし)

こちらはラインガウ東の端っこ、川から遠いラウエンタール村の畑から。村名ワイン。

すごくタイトでミネラルがはっきりしている。綺麗なワイン。

ちなみにゲオルグブロイヤーのワインの裏ラベルにはローマ数字が入っており、ⅠからⅣまであります。

Ⅰ:いわゆるグランクリュ。畑名の入ったトップキュヴェ。ベルク・シュロスベルク、ベルク・ロットラント、ベルク・ローゼンエック、ノンネンベルクの4種類。

Ⅱ:4つのグランクリュ畑からデクラッセ(格落)した樽のブレンド。いわゆるプルミエクリュ的位置づけ。テラモントーサというワイン(後述)

Ⅲ:村名ワイン。前述のエステート リューデスハイムとエステート ラウエンタールの2種類。

Ⅳ:いわゆるリージョンワイン。ソヴァージュ、シャーンがこれにあたる。

非常に国際市場を意識したわかりやすい格付けをしていますね。

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ちょっと話が長くなりましたが、つぎはテラモントーサ 2017。

先ほど述べたⅡのワイン。ラテン語で急斜面。まんまですね。

果実味がすごくのっていて、酸も高くて華やか。すごい。

これ安すぎない?

最後はベルク シュロスベルク 2017。

4つのグランクリュの中でも最高位のもの。私が死に掛けた畑からつくられるワイン。

抜栓1週間のものをテイスティング。しかしまだ硬い印象で香りはひらきかけでまだ奥に何かを感じます。

味わいはだいぶひらいた印象で、超硬質なミネラルがまんなかにズバッと存在しています。

世界で最も偉大なリースリングのひとつだと確信しました。

このワインはシャトームートンに次ぐ、アートラベルを採用した長い歴史をもつワインです。

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毎年違うアーティストに依頼し、ラベルを作成しています。

2017のシックさは今までと異質な感じがしますが?と質問したら、実はテレーザさんもびっくりしたそうです。

ドイツで著名なカラフルな色をつかうアーティストに依頼をしたら、モノトーンのこのラベルになった、とのこと。いや私にはわかりませんね、そういう世界は。

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ショップなのでほかのお客さんもいっぱいいて、やっぱり世界的に有名な生産者だけあって人気なんだなと改めて実感しました。

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愛犬のルイちゃん

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毎朝畑に一緒にいって走り回るので、夕方のこの時間にはもう眠そう。かわいい。

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ちょっとわちゃわちゃしたあと、テレーザさんの運転で念願のノンネンベルクの畑へ移動。車で20分くらい。

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リューデスハイム付近の畑にくらべて樹齢が高く、70年くらいの古木もあります。

ノンネンベルクは修道女の山という意味らしいです。かつてこのあたりに修道院があったことが由来です。

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1990年代にテレーザさんのお父さんベルンハルトさんが購入した畑です。

そのときにいろいろあって、VDPというドイツの生産者組合からゲオルグブロイヤーが脱退することになったいわく付の畑。

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土壌は細かくもろい風化した赤色のスレートが特徴的な畑。ライン川からはかなり離れているので、その影響はほとんどありません。

川も遠く、もろい粘板岩が中心というのもあり、地熱をあまり蓄えないのでリューデスハイムの畑にくらべると冷涼な気候になるそうです。

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個人的にこのゲオルグブロイヤー エステート ラウエンタールのワインを13年くらい前に飲んで衝撃をうけ、ドイツワインの認識を改めたということがあったので、この畑に実際に来ることができて感無量です。

はっきりいって今回の旅は、ここにくることが最大の目的だったと言えます。(内緒です)

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ノンネンベルクにはピノノワールも植わっています。

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そのピノノワールの畝に変なブドウを発見。明らかにピノノワールと違います。

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これ何ですか?との質問に、最初聞き取れなかったのですが、ドゥルケンフェルダーという品種だそうです。

マニアックなM氏が、あードゥルケンフェルダーね、と言ってテレーザさんも、え、知ってるの?というくらいマイナー品種ですが、これは色が非常に濃くなるブドウらしく、ピノノワールの畝にたまにいれることで、ピノノワールが勘違いをして色を濃くする、らしいです。

へぇ、そういうこともあるんだなぁ。

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より斜度のたかいところのブドウをノンネンベルクに、ゆるやかなところをエステート ラウエンタールにつかうとのことでした。

大満足でした、ありがとうございます。

帰りにドイツワインの歴史に触れれる場所へ寄ってもらいました。

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シュロスヨハニスベルク。ドイツワインの歴史において、シュペートレーゼ(遅摘)の発見がなされた場所です。何年だったかは忘れました。

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写真の銅像に書いてありましたね。

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もう夕方だったので、お店もワイナリーもしまっていたので、ホテルにもどります。

そして少しの休憩のあとで泊まっているホテル、リューデスハイムシュロスでテレーザさんとディナー。贅沢です。

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そこで特別なワインをいただきました。

さきほど行ったばかりのノンネンベルクのバックヴィンテージ 2012。

おぉ、これは・・・。と絶句していると、テレーザさんが、これは旨みのワインよ。

確かに熟成によって表現されるこの味わいはまさに旨み。辛口のリースリングの熟成したものはあまり飲む機会がないですが、こういう方向にいくのであれば、もっと可能性は広がるし、もっと市民権を得てもいいはずだと思います。

旨すぎです。。。

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二日目にしてすでにじゃがいもと肉とじゃがいもとじゃがいもに疲れていた私に軽めの食事を出して頂き、助かりました。

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3段階あるブロイヤーのピノノワールの2番目のワイン。

ブルゴーニュクローンのピノノワールでつくったもの。

コートドボーヌの中でも北のほう、ショレレボーヌとかラドワとかのイメージ。

これこの価格でこの味わいだったらもっと知られてないとやばくない?もったいなくない?

めっちゃいいじゃん。

とか勝手なことをベラベラとまくしたて、クレイジーなアメリカ人観光客の団体にかこまれながらの騒がしいくも楽しいディナーは終わりました。

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テレーザさん、一日中ありがとうございました!!

ワインを飲めばその凄さはなんとなくわかっていたつもりでしたが、実際にワインができる畑に行ってみて改めてその凄さがわかった非常に貴重な1日となりました。

ライン川の偉大さ、伝統の息づく畑、恐怖の斜面。どれをとっても印象的で独創的。世界でも唯一のワインが出来上がる理由は実際に目にしたほうが、より美味しくのめることでしょう。

みなさんも是非行ってみてください。

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次の日へつづく。