赤ワイン2023.03.09

ランブルスコは初心者にもおすすめのワイン!人気の理由や美味しい飲み方も紹介

 

ランブルスコは価格が手ごろなので、試してみたいという方も多いのではないでしょうか?
一方、1970年代~80年代頃にアメリカなどで起ったランブルスコ・ブームをご存知の方は、「低価格の甘ったるい微発泡の赤」という印象が強く、食指が動かないという方もいらっしゃるのではないかと思います。
ランブルスコと一口に言っても、そのスタイルや味わいは千差万別。根強い人気の裏には、価格だけではない要素が沢山あります。
今回は、そんなランブルスコの魅力を掘り下げ、オススメの一本を紹介していきます!

ランブルスコとは

ランブルスコとは、イタリア北東部にある美食の街、エミリア・ロマーニャ州で主に造られるスパークリングワインのことです。
ランブルスコを語る上でまず認識すべきは、そのスタイルの幅の広さです。例として、いくつか記しました。バリエーションの多さにげんなりされる方もおられるかもしれませんが、心配ご無用!これからご説明する特徴やいくつかのポイントを抑えれば、お好みの商品を見つけられるはずです。

? 色:メインは赤(Rosso:ロッソ)。白(Bianco:ビアンコ)とロゼ(Rosato:ロサート)もある。
赤の中でも、色調は淡いピンク~濃いルビー色まで様々。
? 品種:少なくとも10以上。主な品種は後述の3つ。
? 甘さ:辛口~甘口
? 発泡度:微発泡(Frizzante:フリッツァンテ)~発泡(Spumante:スプマンテ)
? アルコール度数:7%~11%程度

ランブルスコの特徴と人気の理由

ランブルスコの特徴とその人気の理由を、大きく5つ挙げました。

①フルーティーでチャーミングな味わい

一般的にランブルスコは、イチゴ、ラズベリー、レッドチェリー、レッドプラムといった赤系果実、ブルーベリー、ブラックベリーといった黒系果実、スミレやバラといったお花の香りがあり、酸味も相まってチャーミングな印象になります。
その秘密は醸造手法にあります。まず、赤ワインとしては低温で発酵させることで、ブドウ品種固有のフルーツやお花の香りを残します。次に、マロラクティック発酵(※)を行わず、酸味をキープしフレッシュな印象にします。ベースワインが出来上がったら、酵母と糖分を加え、ステンレスタンク内で二次発酵。ここでシュワシュワした泡ができます。二次発酵後は、澱に触れさせることなく瓶詰め作業に移るので、フレッシュなフルーツやお花の香りが残るのです。
※マロラクティック発酵:乳酸菌がワインに含まれるリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに分解する工程。酸味の強いリンゴ酸が乳酸に変化するので、ワインの味わいがまろやかになる。

②食事に合わせやすい

基本的に、スパークリングワインはどんな料理とも相性が良いとされています。炭酸が料理の味わいを纏めたり、油分を洗い流してくれたりするので、食材や調理方法を選ばない万能選手です。その中でも、ランブルスコの守備範囲はピカ一。受け止める食事の幅が広いと言えます。なぜなら、赤・白・ロゼ全てが揃うので、クリームや淡白な魚系だったら白、お肉系やミートソース的なものだと赤、中華やタイ料理のようなエスニック系だとロゼと分けて楽しめるというわけです。
また、辛口から甘口まで揃うので、食前・食中・食後のいつでもバッチリなアイテムと言えます。食中は基本的には辛口がオススメですが、生ハムやチーズといったおつまみ系であれば甘口タイプも◎。アペリティフ(食前酒)にすれば、気分がグッと上がること間違いなしですし、食後であれば、甘口のランブルスコをデザート代わりにしたり、チーズやデザートと一緒に頂いたりするのもありですよね。

③アルコール度数が低めで飲みやすい

甘口は、二次発酵を途中で止めて糖分を残したり、最後に甘味成分を加えたりして造られ、アルコール度数が低め(7%強程度)のものが多いです。甘味がありアルコール度数が低いので、ジュースに近い感覚で飲みやすいのではないでしょうか。
また、辛口でも、アルコール度数は11%程度とそこまで高くありません。温暖化の影響で14%を超えるワインが増える中、アルコール度数が低めで飲みやすいので、ワインを飲みなれていない方やアルコールが強い飲み物が苦手な方にもオススメです。

④渋みがあまりなく飲みやすい

赤ワインの製造過程には、ブドウ果皮や種子を果汁に漬け込み、色(アントシアニン)やタンニンを抽出するマセラシオン(醸し)と呼ばれる工程があります。ランブルスコに用いられるブドウ品種は、そもそもアントシアニンを多く含むので、マセラシオンの時間を短くして抽出を抑えて造られる傾向にあります。その結果、色のみならずタンニン量の抽出も減り、赤ワイン特有の渋み成分が少なくなります。ワインは渋いから苦手…という方にもフレンドリーな仕上がりになっています。

⑤値段が手ごろ

シャンパンは非常に高価なイメージがありませんか?でも、同じスパークリングワインであるランブルスコの価格は低~中程度。しかし、決して「安かろう悪かろう」という訳ではないのです。
まず、ランブルスコ用のブドウは、ポー川流域の肥沃な大地で栽培されていて、温暖な気候と適度な降水量も合わさって、ブドウの収量に恵まれています。より多くのワインを仕込むことができるので、価格が抑えられます。また、ステンレスタンクを使って二次発酵させるので、安定した環境下で大量生産できるのです。更に、二次発酵後すぐに販売できるので、シャンパンのように澱と触れさせながらの瓶熟成や、澱を沈殿させるための動瓶・澱引きといった作業、瓶熟成のためのスペースも不要となります。
つまり、より少ない時間・スペース・労働力で大量のワインを安定的に市場に提供できるので、お手頃価格が可能となっているわけです。お財布に優しく、フルーティーなスパークリングワインを楽しめるのだから、消費者にとって非常に有難い飲み物ですよね。

ランブルスコの美味しい飲み方

さて、ランブルスコが消費者フレンドリーで、ワイン単体でも食事と合わせても最高な飲み物であることはご理解頂けたかと思います。折角なので、グラス、温度、合わせる料理にも注意してみて下さい。更に美味しくなりますよ!

グラス

ランブルスコは発泡性ですが、持ち味であるフルーティーさを味わうためには白ワイン用や赤ワイン用のグラスがオススメです。ただし、ボール部分が狭い方が泡立ちがキレイなのと、タンニン量やアルコール度数が低めの飲み物なので、フルボディ用の大型の赤ワイングラスよりは、ボールサイズが一般的なものの方がベターです。
スパークリングワイン用のフルートグラスやチューリップグラスがNGという訳ではありません。最初の乾杯で気分を上げたり、泡の立ち方も楽しみたいという方は、スパークリング用のグラスで楽しんで下さい。

温度

「赤ワイン」を軸に考えて「温度は常温の方がいいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、他のスパークリングワイン同様、ランブルスコは基本的には冷蔵庫でしっかり冷やして、そのチャーミングなフルーティーさを堪能して下さい。
しかし、そこは赤ワインをベースにしているということと、イタリアならではのおおらかさ(?)からでしょうか。多少温度が上がっても受け止めてくれる懐の深さがあります。特に、色調が濃く、しっかりとした造りのランブルスコの場合は、多少温度が上がっても料理との相性はいいので、あまり神経質にならなくてOK。また、ベースワインがしっかりと造られているものであれば、抜栓後2-3日経ってもスティルワイン感覚で楽しめるという特典まで付いてきます。

相性の良い料理

基本的に、料理と合わせるには辛口がオススメです。
色調が明るく、ボディが軽めであれば、ハムやサラミ、チーズはもちろんのこと、トマト系のパスタやピザとの相性がいいです。ワインはその土地のものと一緒に味わうべきと言われますが、パルマ産の生ハムやボロネーゼソースはエミリア・ロマーニャ州の銘品。ランブルスコと合わせたい料理の一つです。また、ランブルスコが持つ華やかな香りは、中華、タイ、インドといったエスニック系のスパイスの効いた料理に合うので、是非お試し下さい。
色調も濃く、重めのボディタイプのものであれば、ラザニアやミートボール、ソーセージ、バーベキュー、トンカツといったどっしりした料理と合わせたいところです。泡、心地よい酸味、タンニンが三位一体となってお肉の油分をすっきり流してくれます。

一方、甘口であれば、フルーツを使った前菜やデザート、またはチーズと合わせてみて下さい。パルミジャーノ・レッジャーノやモデナ産のバルサミコ酢は、これまたランブルスコと同じエミリア・ロマーニャ州の銘品。例えば、バルサミコ酢を煮詰めて甘味を出したソースを一口サイズに割ったパルミジャーノ・レッジャーノにかけると、デザートやおつまみに早変わり。こちらは辛口にも合うのですが、チーズの塩味が甘口にマッチするのでお試あれ。甘口でも中甘口程度のものや、甘味を感じる辛口タイプ(オフ・ドライやミディアム・ドライ)であれば、変化球的にハンバーガーなんかと合わせても美味しいです。炭酸甘味飲料がハンバーガーとの相性がいいように、少し甘味のあるランブルスコとハンバーガーの相性が良かったりします。

ランブルスコの選び方

ランブルスコがどんな飲み物で、どうやって楽しむかが分かった後は、数あるボトルからどう選ぶかという問題ですね。
基本的にランブルスコは複数の品種をブレンドして造られていますが、使用割合の高い品種を把握すれば味わいのイメージが沸くので、好みの味わいや合わせる食事に応じて選ぶことができます。
また、「辛口と思ったら甘かった」といった悲劇を起こさないために、ラベルに記載されている甘辛度の確認はお忘れなく!ある程度の品質保証が欲しいという方は、格付けでDOC認定を受けているボトルを選んでみて下さいね。

ブドウの品種

ランブルスコには、少なくとも10以上品種があると言われていますが、代表的な3品種とその特徴を紹介します。
? ランブルスコ・サラミーノ:ランブルスコの中で一番多く作付けされている品種。色調は濃く紫がかったルビー色。とてもアロマティックで、スミレやチェリーのような香りがある。アロマティックな果実味と高い酸味が調和し、フルボディタイプな仕上がりに。他の品種とブレンドされることが多い。
? ランブルスコ・グラスパロッサ:色調は濃く、ブルーベリーやブラックベリー、チェリーといったアロマの他、土や肉っぽさも感じる。タンニンがしっかりあり、少しざらっとする質感も。フルボディタイプ。
? ランブルスコ・ディ・ソルバーラ:淡い色調。果実味に凝縮感があり、赤スグリやイチゴ、ラズベリーといった赤系果実やバラやスミレのようなお花の香りが特徴的。繊細でフローラルな印象。酸味も強くライトボディタイプで、辛口に仕上げられることが多い。
ランブルスコは、これら主要品種(単体orブレンド)を主体に、他の土着品種を混ぜて造られることが多いです。品種が沢山記載されているケースがありますが、主要品種が何かをチェックして、味わいをイメージしてみて下さい。

甘口か辛口か

ラベルを見ると甘辛度が分かりますので、購入前の確認をお忘れなく。下の表に、ラベル表記とその読み方、おおよその甘辛度を纏めましたので、参考にして下さい。

甘辛度 表記(よみ) 残糖度
辛口 Secco(セッコ) 0-15g/L
中辛口 Semi Secco (セミ・セッコ)
Abbocato(アッボカート)
12-32g/L
中甘口 Amabile(アマービレ) 30-50g/L
甘口 Dolce(ドルチェ) 45g+/L

1点だけ注意点があります。辛口のSecco(セッコ)には幅があります。残糖度が6g/L以下のものであればドライと言えるのですが、6-12g/Lの領域になってくると少し甘味を感じ始めます。細かく把握しておきたい場合はお店の方に確認してみて下さい。

格付けされているか

ランブルスコの中には、イタリアの格付けDOCで認定されているワインもあります。2013年の生産量データによると、DOC認定を受けているのは全体の24%程度ですので、大半はIGT規格となります。
先ほどお伝えした主要3品種が使われたDOCは以下の通りです。

? ランブルスコ・サラミ―ノ・ディ・サンタ・クローチェDOC:ランブルスコ・サラミ―ノを85%以上使用。スミレのような香りが立ち上がるフルーティーな仕上がりで、ここちよいタンニンを感じる。
? ランブルスコ・グラスパロッサ・ディ・カステルヴェトロDOC: ランブルスコ・グラスパロッサを85%以上使用。色調は濃く、アロマも複雑でタンニン量も多い。残糖感があるものが多い。
? ランブルスコ・ディ・ソルバーラDOC:ランブルスコ・ディ・ソルバーラを60%以上使用。淡い色調で、ロゼを彷彿させる。ドライに仕上がるものが多く、エレガントでいきいきとした酸味を感じる。


ランブルスコ全体の品質向上が図られているので、IGT規格=品質が劣るというわけではありませんが、DOC認定の場合、地理的条件のみならずブドウ栽培やワイン醸造の手法についても一定の基準があるので、ある程度の品質が保証されます。ラベルに記載されているので、購入時にチェックしてみて下さい。

ワイン初心者におすすめのランブルスコ

最後に、カーヴ・ド・リラックスのおすすめのランブルスコをご紹介します!

カンティーナ・ディ・カルピ・エ・ソルバーラ ランブルスコ サラミーノ・ディ・サンタクローチェ NV


1本目は、創設120年以上という長い歴史がある生産者協同組合によるランブルスコ・サラミーノ・ディ・サンタ・クローチェDOC(微発泡、セッコ)です。品種はランブルスコ・サラミーノ主体なので、バラのようなお花の香りや、ブラックベリー、チェリーといった赤系果実と黒系果実の両方の香りがあります。アロマティックな果実味と微発泡性の細やかな泡、そしてキレイな酸味のバランスが良く、エレガントな仕上がりになっています。

カンティーナ・ディ・カルピ・エ・ソルバーラ ランブルスコ グラスパロッサ・ディ・カステルヴェトロ DOP NV


2本目は同じ生産者による、異なるDOC、ランブルスコ・グラスパロッサ・ディ・カステルヴェトロDOC(微発泡、セッコ)のものです。グラスパロッサ種らしい色の濃さと、ブルーベリーやブラックベリーといった黒系果実のアロマが特徴的です。こちらは1本目よりもタンニン量が多い仕上がり。酸味とタンニンのバランスもよく、お肉系と合わせたい味わいです。

ドネリ ランブルスコ・レッジャーノ・セッコ NV


3本目は、1915年創業で、家族経営のランブルスコの造り手の中では最大のグループとして知られるドネリから。こちらは、各種ランブルスコ種のブレンドで、レッジャーノDOC認定の微発泡タイプのものです。セッコとありますが、やや辛口な仕上がりなので、少し甘味を感じるかと思います。
フルーティーさと柔らかいタンニン、それでいてしっかりとしたボディもあるので、様々な料理と相性がいいです。

ドネリ ランブルスコ・レッジャーノ・アマービレ NV

ラストは3本目と同じ生産者の同じDOCのものですが、こちらは中甘口(Amabile:アマービレ)の微発泡タイプとなります。紫がかった濃いルビー色で、華やかでフルーティーな香りがあります。ブドウジュースのようなフレッシュな果実味と甘さを感じますが、べたつくような甘さではなく、飲みやすい味わいに仕上がっていますので、食前酒やデザートとしてはもちろん、生ハムやサラミ、チーズとも合わせてみて下さい。


 

まとめ

ランブルスコは飲みやすく、値段も手頃ですし、ワイン上級者のみならず初心者にとっても挑戦しやすいワインです。
いろんなスタイルで展開されていますので、合わせる料理やオケージョンに応じて、ボディタイプや甘辛度を変えて楽しんで下さいね。
カーヴ・ド・リラックスのオンラインストアには、今回紹介したランブルスコ以外の商品も揃えています。また、3本目と4本目に紹介したドネリのランブルスコは、カーヴ・ド・リラックスのオンラインストアのみならず、実店舗でも常時販売していますので、是非お手に取ってみて下さいね。

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この記事を書いた人

山本 暖子

山本 暖子

WSET認定 Level4 Diploma
JSA認定 ワインエキスパート

学生時代の留学や総合商社勤務時の海外駐在などを通じ、世界各国のワインやその文化に魅了される。
現在は瀬戸内海に浮かぶ大三島で農的暮らしを営みながら、カーヴ・ド・リラックスのECサイト運営やコラム執筆など、ワインに関する情報発信に力を注いでいる。