2024.01.05

タンニンとは?基礎知識やワインへの影響|おすすめの1本もまるっと解説

タンニン、ワインが好きな方ならば、誰もが聞いたことのある単語ではないでしょうか。 ワインの味わいを構成するストラクチャーの一つであり、主に赤ワインなどの味わい表現をする時に使用する言語です。「渋み」などとも表現され、テイスティングにおいては品種を特定するために重要視する要素の一つです。 この記事ではタンニンがどのような成分や役割を持ち、ワインの味わいに影響を及ぼしているのかを解説いたします。最後には、豊富なタンニンを楽しむことが出来る、厳選おすすめワインもご紹介したいと思います。

タンニンとは?

タンニンは本来、植物が動物から身を守るために生成される物質です。 ポリフェノール(フラバノール)の一種であり、ワイン中の様々な成分と結合して複合体をつくる、重要な成分です。

強い渋みを感じる物質でもあるタンニンはワインの熟成にも関与しており、そのほかにも色素の安定やテイスティングにおいて使うボディという用語も関係してきます。 タンニンがどのようなものなのか、簡潔に解説していきます。

由来・歴史

タンニンは、私たちの身の回りにある様々な植物の樹皮(じゅひ)や幹、葉、実などに含まれており、古くから人々に利用されてきました。代表的なものが革製品の「なめし」です。 タンニンには、動物の皮膚を構成するコラーゲン(タンパク質)に作用してゼラチン溶液を沈殿させる性質があり、それにより皮を安定させ、腐敗(ふはい)や硬化(こうか)を防ぎ、加工がしやすい状態にします。このなめし製法は植物タンニンなめしと呼ばれ、その歴史は紀元前にもさかのぼると言われています。

含まれる食品は柿やお茶

ブドウ以外でタンニンが多く含まれる食品は何があるでしょうか?
紅茶や緑茶などの茶葉、渋柿や栗の皮などがあげられます。
どれも「渋み」や「苦味」が特徴的な味わいの食品です。
多くの方が飲んでいるコーヒーはタンニンを含む食品として代表的です。
その他には古くから種子が鎮痛剤として用いられてきたブラジル産の植物「ガラナ」にも含まれています。

作用

・抗酸化作用
熟成時の酸化を防ぐ作用があります。白ワインに比べて、赤ワインの方が長期の熟成に耐えるワインが多いのもこのためです。
また、健康面においても抗酸化作用は老化防止や発がん抑制の効果もあるといわれています。

・収れん作用
収れんとは、縮んだり、引き締まることです。赤ワインを口中に含むと、舌が乾いて引き締まったような感覚をもたらします。これはタンニンが唾液中に含まれるタンパク質と結合することによって起こる現象です。

ワインにタンニンが与える影響

タンニンがワインに与える影響を以下に味、色、保存期間の順番に解説します。

味(渋み)

・タンニンが豊富だと、重たい味わいになる。主にフルボディとされているワインの多くはタンニン豊富な傾向にある
・渋み、苦味、複雑さや余韻を作るのはタンニンの影響
・タンニンが化学変化することで、発酵直後の渋みや苦味の低減にも寄与し、熟成する

・タンニンは酸化されにくい性質があり、ワインの色合いが安定する
・時間が立つとタンニンが他の物質と結合し、澱が発生し色味が薄くなっていく

保存期間

・ワインは酸化すると劣化してしまうが、タンニンは酸化を防ぐ作用を持つため、保存期間にも寄与する
・抗酸化作用により、長持ちしやすくなり、長期熟成を可能にしている

ワインに含まれるタンニンは2種類ある

ワインにおけるタンニンは、ブドウ由来のものと、樽由来のものがあります。

これら、縮合タンニンと加水分解型タンニンを以下に解説します。

縮合タンニン

縮合タンニンとはブドウ由来のもので、縮合タンニンの多くはブドウ果皮や種子に分布する特徴があります。また、果皮と種子を一緒に発酵させたり長時間漬け込む方法で醸造される赤ワインやオレンジワインにはタンニンが多く抽出されます。

加水分解型タンニン

主に樽由来のもので、オーク(樫の木)にタンニンが多く含まれているため、オーク樽熟成の期間が長いほど、樽からワインへとタンニンが溶出します。溶出の割合は1年間で0.2g /Lといわれ、樽熟成すると酸化が抑制され、色合いも安定します。

タンニンの豊かなワインを楽しむコツ

タンニンが豊富なワインはフルボディと分類され、ワイン単体で飲むと少し重いと感じる場合があります。

この場合、料理と合わせることによってタンニンのバランスをとることが可能です。これは中和のペアリングの一つで、料理のもつ油の重さに対してワインの重さを合わせるという方法です。タンニンの豊富なワインは油分のお肉料理などで中和して楽しむことにより、お互いのバランスがとれます。

また、タンニンはワインが熟成することによりオリとなって瓶底に沈澱していきます。熟成すればするほどタンニンは滑らかになり、シルキーな口当たりになります。

料理と合わせても飲みづらい場合は是非、セラー温度(14度前後)で数年間寝かせてみてはいかがでしょうか。

タンニンの豊かなおすすめワイン

プティット・シレーヌ 2016

メルロー主体のフランス、ボルドー産の赤ワイン。
1855年のボルドー格付けの3級、シャトー・ジスクールの醸造チームが厳選したワインを購入して作り出しているとてもハイコスパなワイン。
赤い果実のスグリやプラムなどチャーミングな果実味はカジュアルなシーンでもパーティーなどでも楽しめます。程よいタンニンと酸味のバランスが赤身のお肉の料理は全般的にカバーできてしまう万能なワインです。


テロワール・チェレット バローロ コンテ・デル・ウニタ 2018

北イタリア、バローロDOCGのネッビオーロという土着品種。ピノ・ノワールのような淡い色をしながらもエレガントでありながらフルボディな品種で、王のワインと言われているのがバローロです。
14−16日間のアルコール発酵とマセラシオン(果皮の漬け込み)後、1年間は300Lのフレンチオークにて熟成、2年目にスラヴォニア産の大きな樽で熟成されて瓶詰めされます。
もともとタンニンの強い品種であるネッビオーロを小樽で熟成させることによって早くから丸みの帯びたスタイルに仕上がっています。熟したさくらんぼのような赤系果実、ポプリ、そして熟成によって生まれる微かなタバコのような香りが特徴です。
エレガントな力強いタンニンが余韻に残ります。


スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ ハンズ・オブ・タイム レッド・ブレンド 2019

強いタンニンを持つ世界で最も植えられている品種でもあるカベルネ・ソーヴィニヨン主体の果実味豊かなフルボディなスタイルです。

アメリカのカルフォルニア州の中でも高品質を作り出すワイナリーが密集しているナパヴェレーに拠点のある有名ワイナリー、スタッグス・リープ。カベルネ・ソーヴィニヨンのカシスなどの黒系果実とアメリカ産ではなく、フレンチオークを使うことにより生まれる上品なチョコレートやバニラと絶妙なバランス、そしてしっかりとしたボディとタンニンがワインを複雑に仕上げています。


まとめ

タンニン豊富なワインは味わいに複雑さや色調の安定などさまざまなプラス効果があります。タンニンが特に豊富なバローロなどは熟成することにより、滑らかさと他の要素との一体感が生まれるので、ワインを少し寝かせてからの変化も楽しんでみてはいかがでしょうか。

カーヴ・ド・リラックスでは幅広いタンニンの豊富なワインを取り扱っており、各ワインに的確な解説がされているので是非、下記のリンクをご覧ください。

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この記事を書いた人

高松 亨

高松 亨

CMS認定 マスターソムリエ

オーストラリア・シドニー出身。当時24歳にして世界最難関とも呼ばれるマスターソムリエに最年少、日本人として初めて合格。
現在は地域おこし協力隊として北海道・余市のドメーヌ・タカヒコにて研修中。