2024.04.02

ワインペアリングとマリアージュの違いは?料理の組み合わせ方やおすすめワインも紹介

 

「ペアリング」や「マリアージュ」、最近耳にすることが多くなって来たこの言葉ですが、ワインは料理との組み合わせでより味わいが深くなることがあります。
とはいえ膨大な種類のワインからどんな組み合わせが良いか迷う方も多くいらっしゃるかと思います。
本記事では、あまり難しく考えすぎずに、ちょっとした知識を身に付けるだけで今まで以上にワインを楽しめるようになる方法をお伝えします。ワインペアリングの基礎知識やマリアージュとの違い、自宅で楽しめるワインペアリングにピッタリの料理、ペアリングにおすすめのワインを紹介いたしますのでぜひチャレンジしてみてください。

ワインペアリングとは?マナーについても解説

ワインペアリングとは、ワインと相性の良い料理の組み合わせを指します。ワインと料理をそれぞれ単独で味わうよりも、一緒に味わうことで相乗効果的に美味しさが増すことがあります。
ちなみにワインと料理にさらにフルーツなどもう1品加える「トリプリング」という楽しみ方もあります。

レストランでペアリングを楽しむ際は「ペアリングメニュー」をチョイスするというのも1つの手です。ソムリエ(店側)が用意した料理と相性の良いワインを料理毎に持ってきてもらえるので、食事の最中に会話を遮られたりせず楽しむことができます。
基本的に1皿ごとに1杯のワインをサーブしてくれますが、必ずしもその料理用のワインとして飲み切る必要はありません。逆に残したうえで次の料理と合わせてみて新たな発見があるかもしれません。

ペアリングを楽しむ手順としては以下がおすすめです。
1.口の中で料理を楽しむ
2.ワインを一口飲み、「風味」を合わせる

ペアリングは料理を食べ、飲み込んだ後にワインを一口飲み、双方の風味が感じられ、心地よく溶け合っていれば成功といえるでしょう。
料理を口に含んだ状態でワインを飲んで混ぜてしまうのはあまりおすすめはしません。

ワインペアリングの方法

ワインペアリングの方法や楽しみ方としては大きく以下の3つがあります。
○色や香り・味わいが似ているものを合わせる
○同産地で合わせる
○味わいが対照的なものを合わせる
それぞれ次の項で解説します。

ワインペアリングの方法①:色や香り・味わいが似ているものを合わせる

○色、香り、味わいが似ているものを合わせる方法
・ワインと食材の色を合わせた例
└赤ワイン×牛肉・鮪・鰹、白ワイン×鳥肉・鯛・平目、ロゼワイン×エビ・サーモン

・ワインと食材の香りを合わせた例
└スパイシーな香りの赤ワイン×香辛料が効いた肉料理
└柑橘系風味の白ワイン×レモンを絞ったお刺身
└熟成して風味が複雑な赤ワイン×熟成肉や木の子など香りが複雑な食材

・ワインと食材の味わいを合わせた例
└コクのある赤ワイン×力強い味わいのリブロースステーキ
└爽やかな白ワイン×あっさりした白身魚料理
└樽熟成でまろやかな白ワイン×乳製品を使用したクリームパスタ

ワインペアリングの方法②:産地で合わせる

ワインと料理を産地で合わせるときに知っておきたいこんな言葉があります。
「WHAT GROWS TOGETHER, GOES TOGETHER」
韻を踏んだソムリエの名言で、「同じ土地で育ったものは、相性が良い」という意味になります。ワインも料理もその土地の影響を受けているため、同じ産地のものを組み合わせると自然と互いを引き立て合うのです。お酒の種類は異なりますが、日本でもその土地の料理に地酒を合わせるという考えがあると言えばピンと来るかもしれません。まずはシンプルにイタリアワインとパスタ・ピザ、アメリカワインとBBQなどイメージしやすいものからトライするのもいいでしょう。

ワインペアリングの方法③:味わいが対照的なものを合わせる

3つ目は対照的な味わいのものを組み合わせるペアリング。意外にも味わいが深まることがあります。
・塩分が高いブルーチーズとポートやソーテルヌなどの甘口のワイン
・塩味が強い生ハムには果実味たっぷりの赤ワイン(チリやカリフォルニアの温かい産地)
・お酢などを使用した酸味の強い料理(エスカベッシュや南蛮漬けなど)には甘みを残したクラシックなドイツのリースリング
・辛味がある「刺激的」なお料理には、溌剌とした「刺激的」なスパークリング・ワイン
└一見、喧嘩しそうな合わせ方ですが、お互い自己主張が強く、強さを一緒にしてあげるとバランスが取れるという珍しい組み合わせです。

ワインペアリングとマリアージュとの違い

冒頭紹介した「ワインペアリング」と「マリアージュ」という言葉。実はレストランやワインの世界において意味合いの違いはほとんどありません。
マリアージュ(mariage)とは、フランス語で「結婚」の意味があります。つまり、お互いが最高の状態で「調和している」「溶け合っている」「ハーモニー」を意味します。
ワインと料理の組み合わせに使われることが多いですが、スイーツとお茶の相性などその他の組み合わせでも使われています。最近では「結婚」が必ずしもゴールではないという観点から、「ペアリング:組み合わせ」という言葉が主流になり(例『△最高のマリアージュ◎最高のペアリング』)、表現は使う本人次第ですが、お店やソムリエ側はそういった配慮も必要になります。
ワインのマリアージュとは?具体的な料理の組み合わせやペアリングとの違いも解説

レストランでのワインペアリングの相場

コース料理を提供するレストランなら、一皿ごとにグラスワインを提供する「ペアリングコース」を用意しているお店も増えてきました。ペアリングコースは、リーズナブルな価格からゴージャスまで金額も幅広くあります。シャンパーニュやワインをそのお店の料理と楽しむことができ、お店の価格帯によって5,000円程度のコースから50,000円以上のコースもあるのでお店選びの際に1つの判断基準にもなりえます。
最近はアルゴンガスなどプリザーバー(酸化を防ぎ状態を保つ方法)も充実し、ペアリングの種類も幅広くなってきたので、お好みによってシャンパーニュだけのペアリングや白ワインだけのペアリングなどソムリエ(お店)に相談すれば可能な場合があります。この料理にはこれ!という「ソムリエのオマカセ」はお店のセンスが試されるのでレストランで飲まれる積極的に相談してみてください。また、高級店だとお客様の好みによってワインを構成してくれるオートクチュール・ペアリングも存在します。

ワインペアリングは自宅でも楽しめる!料理との組み合わせを紹介

次にご自宅でのワインペアリングの楽しみ方についてご紹介します。
・脂身があるお肉や中華など油を使用した料理は、ワインの渋みがオイリーさを和らげる
└青椒肉絲に、スパイシーで渋みもしっかりしたシラーなどが◎

・酸を効かせた料理は、ワインの酸味が中和される
└チキンステーキにレモンを絞った場合など、料理の酸味がワインの酸味に勝つと味わいがぼけてしまうので酸味がしっかりしたワインを合わせましょう。

・甘味のある料理やデザートは、ワインの果実味が弱まる
└デザートなどに合わせる場合には、デザート以上の甘みがあるワインを選ぶ(ワインがドライでシンプルに感じてしまうため)

・旨味のある料理には熟成ワイン
└鰹節、きのこを使った旨みの強い料理には、熟成して旨みが増したワインが合う

・苦味のある料理は、ドライなワインを合わせると苦みが強調される
└春先の食材、山菜の天ぷらや鮎の肝などはワインと合わせても苦みを強く感じてしまうため、果実味たっぷりのワインで苦味を包むような合わせ方がおすすめです。

THE CELLARのペアリングにおすすめのワイン3選

ペアリングにオススメのワインをご紹介します。

旭洋酒 ソレイユ・クラシック 赤 2022

山梨県のワイナリーが山梨産ブドウ100%のワイン造る赤ワイン。チェリー、グミなどのフルーツの香りにミネラル感、酸味が感じられます。渋みが柔らかくすっきりとした飲み口なので、普段の食事に幅広く合わせられます。
ハンバーグやミートソーススパゲティなどの洋食、豚の生姜焼きや焼き魚、にんにくと玉ねぎスライスをトッピングした鰹のたたき、バラちらし寿司など、様々な料理に合うのではじめの1本にぴったりです。

ドメーヌ・サン・ミッシェル ミッシェル・ブリュット NV

アメリカ、コロンビア・ヴァレーの西部ヤキマ・ヴァレー産の選りすぐりのブドウを使用したスパークリングワインです。
香ばしいトーストの香りに、リンゴやシトラスといったフルーツを思わせる味わいで完熟したブドウの果実味と、キレイな酸が調和しています。
お刺身や魚介のサラダ、餃子や天ぷらなどの揚げ物にも試していただきたい1本です。お刺身の場合はぜひ煎り酒を作って醬油との相性の違いを楽しんでみてください。

レ・ザルム・ド・ラグランジュ 2020

フランス、ボルドーの格付け3級であるシャトー・ラグランジュの白ワインです。
柑橘系果実やハーブの香りと、充実した果実味、強めの酸が特徴です。
ボルドー地方は海に近いため、シーフードとボルドーブランの組み合わせは鉄板です。甲殻類や魚のハーブを使ったグリル、白身系の肉料理とぜひ合わせてみてください。

まとめ

ペアリングの3つの基本の考え方を軸に日々のワインタイムに取り入れてみてください。
ワインから組み立てるもよし、お料理から考えるもよし。自由に組み合わせてお好みのペアリングを探すのも楽しいかもしれません。ぜひ様々なワインとお料理をお楽しみください。

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この記事を書いた人

井黒 卓

井黒 卓

・2020年 第9回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
・ロオジエ ビバレッジ・ディレクター兼シェフソムリエ
・一般社団法人 日本ソムリエ協会 理事
・総合ワインコンサル TACTICAL WINE CONSULTANT代表