お料理とワインを合わせたときに、「あれ、いつもよりもお料理が美味しく感じる」「この組み合わせの方がワインの香りが引き立つ」といった体験をされたことがありませんか?それはワインとお料理のマリアージュの成功例。その成功は偶然ではありません。マリアージュを成功させるいくつかのポイントをご紹介します。
マリアージュとは?
マリアージュとは、『ワインと料理がお互いに引き立てあい、相乗効果をもたらすこと』です。ワインと料理の、味・香り・テクスチャーが組み合わさり、絶妙なバランスが生まれた状態が『マリアージュ』となります。 組み合わせ方のいくつかの例をご紹介します。
①色を合わせる
1つ目のポイントは『ワインと食材の色を合わせること』です。
例えば魚貝類であれば、鯛や平目といった上品な味わいの白身魚には白ワインが合いますし、サーモンやエビにはロゼワイン、マグロやカツオなどの赤身魚には赤ワインが合います。これは肉でも同様に、鶏肉は白ワイン、牛肉は赤ワインとなります。ですが同じ鳥類でも鴨のように赤身の強いものには…やはり赤ワインの方が合うのです。魚には白ワイン、肉には赤ワインのような固定観念は捨てて、シンプルに色で考えてみましょう。
味付けとなるソースの色も同様に、色で組み合わせることができます。同じ食材を調理するのでも、白いクリーム系のソースで味付けであれば白ワイン、醤油やバルサミコを使った濃厚なソースであれば赤ワインとの相性がよくなります。
②共通する香りを見つける
2つ目のポイントは『ワインと食事の香りを合わせること』です。
ワインは様々な『香り』を持っています。フレッシュな果実、ドライフルーツ、ナッツやスパイス、ハーブや花…。
ワインの持つ香りと料理に使う食材を揃えると、味わいが同調し、互いに引き立てあいます。
例えば・・・
『ハーブを使ったサラダやマリネ、香草焼き×ハーブや青草のような爽やかな香りを持つソーヴィニヨンブラン』、
『クリームシチューやグラタン×バターやトーストのようなコクのあるシャルドネ』、
といったように香りが同調するペアリングでは、相乗効果によってお互いの風味が際立ちます。
③味わいを対照的に組み合わせる
3つ目は『対照的な味わいのものを組み合わせること』です。
例えば、タイ料理やメキシコ料理のようなスパイシーな料理に、甘口の白ワインや甘口のスパークリングワインを合わせると、スパイシーな食材の辛さとワインの甘さとが対照的な味わいを生み出します。塩辛いチーズや塩漬けの魚介類には、サンジョヴェーゼやピノ・グリージョなどの酸味のある白ワインが◎。ステーキやラム肉のような脂っこい肉料理には、タンニンのあるカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどのタンニンのある赤ワインが合いますよね。
『香り』の場合は対照的なものを合わせると互いに喧嘩してしまって綺麗なペアリングになりませんが、対照的な『味わい』の組み合わせはお互いを補完しあって美味しいマリアージュを生み出します。
④味の重さを合わせる
4つ目のポイントは『ワインと食事の味わいの”重さ”を合わせること』です。
料理とワインの味わいの重さをバランスさせることで、お互いの味わいを引き立て合い、
調和の取れた食事を楽しむことができます。
ワインはその味わいの重さによって、『ライトボディ』『ミディアムボディ』『フルボディ』と分けられます。
サラダやアペリティフのような軽めの食事には『ライトボディ』のワイン。
グリルされた鶏肉やポーク、野菜料理などの料理には『ミディアムボディ』のワイン。
ステーキやシチュー、クリーミーなパスタなどの濃厚な料理には『フルボディ』のワインをあわせると、
料理とワインのバランスが整います。
『サラダ×フルボディ』ではお料理が負けてしまいますし、
『ステーキやシチュー×ライトボディ』ではワインの味わいが楽しめません。
コース料理では、お料理もワインも『軽い方から重い方』へとシフトしていくのが一般的です。
マリアージュとペアリングの違い
「マリアージュ」と「ペアリング」は食べ物とワインの組み合わせにおいて似たような概念ですが、この二つの間には微妙な違いがあります。
マリアージュとは、ワインと料理の組み合わせによって『相乗効果がもたらされた状態』を指します。
一方、ペアリングは食べ物とワインの『組み合わせそのもの』を指します。
例えば、あるワインがある料理と特によく合うとされる場合、それは成功した『ペアリング』と言えますが、
反対に、美味しい組み合わせにならなかったとしても、それも『ペアリング』の一例です。
2つのものをペアリングして、その中でも相性のよいものが『マリアージュ』と表現されます。
マリアージュや良いペアリングというのは個々の好みや料理の特性によって異なります。
自分の味覚に合った組み合わせを見つけるために、さまざまなワインと料理を組み合わせてみることが大切です。
赤ワインに合うマリアージュ
『ステーキや焼肉』
赤ワインといえばやはりお肉料理!特にステーキや焼肉などの赤身のお肉と合わせると、
ワインのタンニンと肉の旨味が相まって素晴らしい味わいを楽しむことができます。
カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーなどのタンニンのある赤ワインがおすすめです。
『ハンバーガーやグリルチキン』
ハンバーガーやグリルチキンなどの軽めの肉料理も、赤ワインと相性が良いです。
軽めでフルーティーな赤ワインを選ぶと、肉の旨味をよく引き立ててくれます。
『トマトベースのパスタやピザ』
トマトの酸味と赤ワインの果実味や酸味が相まって、美味しいマリアージュを生み出します。
『チーズ』
赤ワインはチーズとの相性も抜群です。特に濃厚なチーズや硬めのチーズと合わせると
ワインのフルーティーさやタンニンがチーズの風味と絶妙に調和します。
例えば、マンチェゴやゴーダ、ブリーなどが良いでしょう。
白ワインに合うマリアージュ
『シーフード』
白ワインとシーフードは古くからの王道の組み合わせです。特に白身魚や貝類の料理との相性が抜群です。
例えば、白身魚のグリルや蒸し料理、ムール貝の蒸し、シーフードパスタなどが挙げられます。
『サラダ』
さわやかな白ワインは、サラダとの相性が良く、特に軽めのドレッシングを使ったサラダがおすすめです。
新鮮な野菜と合わせると、白ワインの爽やかさが引き立ちます。
『白身の肉料理』
赤身肉とは違い淡泊な味わいを持つ白身肉は、白ワインとも調和します。
例えば、鶏肉や豚肉の蒸し料理やグリル、クリームソースを使った料理などが挙げられます。
『チーズ』
白ワインはチーズとも良い相性を示します。
特に、軽めでクリーミーなチーズやソフトチーズと合わせると良いでしょう。
例えば、カマンベールやブリー、ゴーダ、フェタなどが挙げられます。
。
ロゼワインに合うマリアージュ
『シーフード』
ロゼワインの色を同じ『サーモン』や『エビ』はやはりよく合います。
ロゼワインの爽やかな酸味が、シーフードの風味を引き立てます。
『チーズの盛り合わせ』
クリームチーズやブリーチーズ、あるいはハードチーズでも、ロゼワインと相性が良いです。
特に、フルーティーでさわやかなロゼワインがチーズとのバランスを取ります。
『グリル野菜やサラダ』
ロゼワインの爽やかな味わいが、野菜の甘みや香りを引き立てます。
特にトマトやアスパラガス、ズッキーニなどの夏野菜との組み合わせがおすすめです。
『鶏肉や魚の料理』
軽めのソースやハーブの風味が加わった料理が良く合います。
ロゼワインのフルーティーさが、料理の軽やかな味わいを引き立てます。
『トマトソースの料理』
トマトソースを使ったシーフード料理など。
ロゼワインのフルーティーさが、料理の味わいを引き立てます。
スパークリングワインに合うマリアージュ
『生ハムやサーモン、シーフード』
スパークリングワインの活気ある泡と酸味が、生ハムやシーフードの脂っこさや風味を引き立てます。
『チーズの盛り合わせ』
クリーミーなチーズや柔らかいチーズとの相性が良いです。
特に、ブリーチーズやゴーダチーズなどのまろやかな味わいのチーズがおすすめです。
『サラダや軽めの前菜』
スパークリングワインの爽やかな酸味が、サラダや軽めの前菜の野菜の風味を引き立てます。
特に、柑橘系のドレッシングが加わったサラダとの相性が良いです。
『フルーツやデザート』
フルーティーなスパークリングワインには、フルーツやデザートをあわせて。
特に、ベリー系のフルーツやシャーベットなどがおすすめです。
『シーフードや鶏肉のパスタ』
軽めのクリームソースやトマトソースが加わったシーフードや鶏肉のパスタもよく合います。
スパークリングワインの活気と酸味が、パスタの風味を引き立てます。
【現地取材】ワイン大国スペインから学ぶマリアージュ
スペインの食文化は地域の多様性を反映しており、地域によってさまざまな料理を楽しむことができます。
そんなスペインのワインも、やはりつくられる地域によって特性は様々。豊かな果実味、豊富な酸味、海由来のミネラル、力強いタンニン…。組み合わせは無限大ですが、いくつかのペアリングをご紹介します。
『魚介料理×アルバリーニョ』
アルバリーニョはガリシア地方で生産される白ワインで、さわやかな酸味とフルーティーな香りが特徴です。
この爽やかさと果実味は海の幸と相性が良く、スペインの新鮮な魚介料理とよく合います。
『テンプラニーリョ×パエリア』
スペインで最も有名な赤ワインの一つであるテンプラニーリョは、赤い果実の香りと柔らかなタンニンが特徴です。
パエリアの豊かな味わいと相まって、絶妙なバランスを生み出します。
『チャコリ×ピンチョス(小皿料理)』/『チャコリ×アヒージョ』
チャコリはプチプチとした微発泡性と酸のある爽やかな味わいから、何にでも合わせやすい万能ワインと言われています。
微発泡で軽やかな味わいは、ピンチョスのような軽めの食事やアペリティフとの相性も抜群です。また、しっかりとした酸を特徴とするチャコリは、アヒージョなど油を使う料理とあわせると、油の重さを綺麗に流してくれますよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
『マリアージュ』なんて言葉にするとなんだか難しそうに思えますが、
『私が美味しいと思った組み合わせが、私にとってのマリアージュ』くらいの気持ちでOK。
ぜひ皆さんもいろんな食材や料理とワインの組み合わせを楽しんでみてくださいね。
この記事を書いた人
市川 瑠衣
Cave de Relax 管理部所属