＜今月のスペシャルワインたち＞

① レメリュリ レメリュリ・レゼルヴァ 2013

スペイン・ラ・リオハ州・DOCaリオハ /テンプラニーリョ、ガルナッチャ、グラシアーノ

1本目はレメリュリのレゼルヴァ。リオハ最高のワイナリーの一つとして名前を知られ、数々のジャーナリストから最高評価を受けているつくり手です。オーナーのテルモ・ロドリゲスはリオハだけでなく、スペイン全土で素晴らしいワインを生産するこの国のトップ醸造家。100年近い樹齢のぶどうも一部使用され、オーガニック栽培で30hl/haを下回る低収量を維持し、大樽＋自然酵母で発酵、小樽（フレンチ＋アメリカン）熟成の伝統的なつくりで、素晴らしく複雑なワインを産んでいます。10年を超える熟成を経たレゼルヴァは、熟成したリオハならではのなめし革やタバコの風味を帯びつつ、しなやかなリキュール系の果実感やスイートスパイスの複雑さが顕れます。過去に20年を超える熟成期間を経たレメリュリのレゼルヴァを飲んだ事がありますが、たまらなく妖艶な魅力がありました。ボルドーの格付けシャトーにも例えられる落ち着いた魅力をきっと感じられると思います。

②ベルナール・ボードリー シノン ドメーヌ・ルージュ 2017

フランス・ロワール地方・ACシノン / カベルネ・フラン100％

シノンは産地としての名前は有名ですが、普段から飲みつけている方はそれ程多くないのではないでしょうか。ベルナール・ボードリーは多くのトップレストランで採用されているシノンのリーダーの一人。彼らのワインは一部の方がイメージしている、ピーマンの香りで酸の強い青臭い赤ワインではなく、とても繊細なテクスチュアと、豊かだけどフワリと浮くような軽やかな果実と酸味のとても上品な味わいです。ベルナール・ボードリーで思い出すのは、パリでブルゴーニュのとある有名ドメーヌのマダムと夕食をご一緒した時に「私、これ好きなのよねー、凄く上品じゃない？」と言って迷わずに彼らのワインをオーダーしていた事です。ブルゴーニュの生産者も魅了するカベルネ・フランを是非お試し下さい。これは彼らのドメーヌ名を冠した最も核となるキュベになります。7年の熟成を経て、豊かかつフローラルに開いているものと思われます。

③クロ・マリ ラングドック・ピク・サン・ルー オリヴェット・ルージュ 2015

フランス・ラングドック・ACラングドック・ピク・サン・ルー / グルナッシュ・ノワール60％、シラー30％、サンソー10％

ピク・サン・ルーは2016年ヴィンテージまではラングドックの地理的名称の一つでしたが、2017年ヴィンテージから正式にクリュの一つとして、ラングドック＋ピク・サン・ルーではなく、ACピク・サン・ルーに昇格しました。このワインは2015年ヴィンテージなので、まだラングドック＋地名の時代ですが、昇格を目前に控えて気合の入っている時期なのは間違いがないところです。ラングドック＝地中海性気候で暑いというイメージがあるかもしれませんが、ピク・サン・ルーは地中海からかなり北上したせヴェンヌ山脈の麓。高い標高と北から吹く冷たい風、そして粘土石灰質の土壌から、ラングドックで最もエレガントなワインを生むアペラシオンと言われています。クロ・マリは世界中からオファーが入るこの地のトップドメーヌ。オーガニック（一部ビオディナミ）栽培＋低収量（30hl/ha以下）、あまりに上品で涼やかな味わいに驚かれると思います。2015年はしっかりとした骨格を持ったワインが出来た優良年。まだまだ熟成可能なワインだと思います。

④マッセリア・リ・ヴェリ IGPサレント マッセリア・リ・ヴェリ 2016

イタリア・プーリア州・IGPサレント / ネグロアマーロ40％、プリミティーヴォ40％、カベルネ・ソーヴィニヨン20％

マッセリア・リ・ヴェリは、1999年にトスカーナのアヴィニョネージ（ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノのトップワイナリー）の創業者一族がプーリアに移住して立ち上げたワイナリー。リッカルド コタレッラをコンサルタントに迎え、プーリアの地ブドウを使って本気のグランヴァンをつくりに行っています。このワインはワイナリー名を冠したワイナリーのフラッグシップ。プーリアを代表する2大黒ぶどう密度のネグロアマーロと豊満さのプリミティーヴォを4割ずつ使い、2割のカベルネ・ソーヴィニヨンの骨格でそれらをまとめたフルボディ、フルフレーバーながらまろやかさを持っています。しっかり樽と甘いタンニン、15.5％のアルコール。この4本の中で、最も飲み応えのある1本だと思います。