2024.03.04

ピノ・グリージョの基本知識を解説!特徴や生産地ごとの味わい、おすすめワインも紹介

 

ピノ・グリージョはピノ・ノワールの突然変異で生まれた品種で、豊かな香りと味わいが特徴です。世界各地で栽培されていて、味わいのスタイルも多様です。本記事では、ピノ・グリージョの特徴や基礎知識、産地などを解説し、おすすめのワインについても紹介していきます。

ピノ・グリージョの基礎知識

まずはピノ・グリージョに関する歴史や品種の特徴といった基礎知識について解説していきます。

自然が生み出したピノ・グリージョの歴史

元々ピノ・グリージョは安価なスパークリングワインの原料として使われたり、2日ほど果皮と接触させた「ラマート」というタイプのワイン造りで使われるのが主流でした。「ラマート」はイタリア語で「銅色」という意味があり、ピノ・グリージョの果皮の色素がでて、銅色に近い色合いのワインになるのが特徴です。
1960年代以降になってからは、ラマートとは違う軽やかで爽やかな果実味を出した白ワインが造られるようになり、これがヒットしました。ちょうどイギリスやアメリカなどのワイン愛好家の間で「シャルドネ以外ならなんでも」というスローガン「ABC (Anything but Chardonnay)」が流行っていた時期にもなり、ありきたりの樽の効いたフルボディのシャルドネではなく、軽快で爽やかさを兼ね備えたピノ・グリージョのような品種に注目が集まってきました。

冷涼な気候で育つピノ・グリージョの特徴

ピノ・グリージョは、ピノ・ノワールとDNAが非常に似通っており、黒ブドウのピノ・ノワールが突然変異して皮の色がピンク色になりました。フランスでは「ピノ・グリ(Pinot Gris)」、イタリアでは「ピノ・グリージョ(Pinot Grigio)」と呼ばれています。フランス語で「グリ」、イタリア語で「グリージョ」は「灰色」という意味で、ブドウの果皮が灰色を帯びたピンク色をしていることに由来しています。ピノ・グリージョは比較的冷涼な気候で、風通しと水はけが良い土地を好みます。
かつてはブルゴーニュやシャンパーニュで広く栽培されていましたが、収量の低さと不安定さから現在では栽培量が減少しています。フランスのアルザス地方や北イタリアのフリウリなど、冷涼な気候で栽培量が伸びています。

ピンクの色合いをもつピノ・グリージョの香りと味わい

白ワインの色味は、普通の白ワインより黄色味が強いゴールドの色調になります。また、ピノ・グリージョは白ワイン以外にも、スパークリングワイン、ロゼ、オレンジワインなどさまざまなスタイルのワインが造られます。味わいは甘口~辛口まであり、ボディも軽やかなものから重厚感のあるものまで揃っています。産地によって味わいが異なりますが、産地ごとの特徴については後述します。

ピノ・グリージョにおすすめの料理

ピノ・グリージョから造られるアルザスの特級ワインやフリウリのオレンジワインは、果皮由来のタンニンもしっかり感じられるので、魚料理だけでなく、肉料理でも合わせることができます。シーフードや鶏肉・豚肉の炭火焼き、シュークルート、マッシュルームなどのきのこを使った料理とも相性が抜群です。また、フレッシュな酸とキレのある味わいの白ワインには、野菜のマリネやオイルパスタ、魚介類のフリットがおすすめです。

ピノ・グリージョの主な産地とワインの味わい

ピノ・グリージョの主な産地とワインの味わいについて解説していきます。原産地はブルゴーニュですが、現在ではほとんど造られていません。ここではイタリアやドイツ、オーストラリア、アメリカで盛んな地域を中心に解説していきます。

フランス アルザス

ピノ・グリージョはリースリング、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネールと並んでアルザスの高級品種の一つです。ヴォージュ山脈の丘陵にあるブドウ畑で、石灰質や粘土質など多様なテロワールがあります。辛口だけでなく、雨量が少ないことから遅摘みの甘口を造ることも可能です。
アルザスの特級ワインのピノ・グリージョは、辛口でまろやかな酸味とコクのある味わいが特徴です。洋ナシ、マンゴー、林檎、桃などを思わせる複雑で芳醇な香りがありつつも、味わいはふくよかで、余韻も長い傾向にあります。

北イタリア フリウリ

「イタリア白ワインの聖地」として知られているフリウリは、多様な気候と風土があり、ピノ・グリージョを含む多くの白ブドウの栽培に向いている産地です。ミネラルが豊富に含まれた土壌がワインの味に深みを与え、果実味と適度なミネラル感を持つ白ワインが造られています。また、一部の生産者が造るピノ・グリージョなどの白ブドウを果皮や種子とともに発酵させるオレンジワインは世界各地で高評価を受け、親しまれています。ステンレスタンクで発酵させたピノ・グリージョは、淡い黄色で、柑橘系のフレッシュな酸味とキレが特徴の辛口の白ワインに仕上がります。

ニュージーランド サウス・アイランド

ニュージーランドでもピノ・グリージョの人気は根強く、2022年は国内生産量は第3位になっています。繊細かつリッチな味わいで、リーズナブルなものも多く、カジュアルに楽しめるのが特徴です。また、高品質なものはヨーロッパのものに引けを取らない高い評価を受けています。

オーストラリア モーニントン・ペニンシュラ

良質なワイン産地として注目されている冷涼な気候のヴィクトリア州。なかでもメルボルン南部のモーニントン・ペニンシュラが名産地として有名です。軽やかな風味の白ワインが多く、カジュアルに楽しめるのが人気の一つです。

ドイツ バーデン

アルザスの向かいにある産地「バーデン」がピノ・グリージョの最大産地です。甘口タイプが多く、長期熟成に耐えられる高品質ワイン「グローセス・ゲヴェックス」も造られています。

アメリカ カリフォルニア

カリフォルニアを中心に、ソノマ、モントレー、サンタバーバラなどで栽培されています。白ブドウの栽培面積では国内第2位で、カリフォルニアのピノ・グリージョは柑橘系の風味とフレッシュな味わいが特徴です。また、カリフォルニア州の他、オレゴン州やワシントン州のピノ・グリージョも注目されています。

ピノ・グリージョのおすすめワイン

おすすめのピノ・グリージョを3選に絞って紹介していきます。白ワインだけでなく、ピノ・グリージョで造られるスパークリングロゼもセレクトしました。

アンコーラ ピノ・グリージョ 2022

すっきりとした辛口の白ワインで、白い花びらのようなアロマ、上品なフルーツ感に加えて、ミネラルやキレイな酸も感じられます。豊かな果実味がありつつも、後味はすっきりとした飲み口に仕上がっています。

ラ・ジャラ ピノ・グリージョ ロゼ スプマンテ ブリュット NV

いちごを思わせる爽やかな甘いアロマと、クリーミーな長い余韻が楽しめるロゼスプマンテ。細やかな泡が感じられる味わいが特徴です。天然酵母を使用したオーガニックワインで、飲み口も優しい一本。魚でも肉でも、メインディッシュに合わせやすいスパークリングワインです。

ノーティラス・エステート ピノ・グリ 2022

やや濃いめのゴールドの色調で、豊かな果実味が感じられる白ワイン。芳醇な洋ナシの香りが感じられ、飲み込んだあとはかすかにジンジャーやナツメグのニュアンス。後口はすっきりしているので、前菜や魚介類との相性がよいです。

まとめ

ピノ・グリージョは、ピノ・ノワールの突然変異で、白ワインを中心に、シャンパーニュやスパークリングワイン、オレンジワインなどさまざまなスタイルのワインが造られています。産地によって味が異なる点が面白く、魚にも肉にも合わせやすいのがピノ・グリージョの特徴です。ピノ・グリージョを使った多種多様なワインを取り揃えているカーヴ・ド・リラックスでは、知識と経験が豊富なスタッフが、最適な一本をセレクトします。

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この記事を書いた人

吉川 大智

吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。