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トップ>日本ワインコラム>日本ワインコラム【番外編】北海道・余市齊藤町長へのインタビュー

中澤一行・由紀子 ~ 学生時代に魅了された北海道で辿り着いた地、「栗沢」まだ見ぬ完成形

日本ワインコラム【番外編】北海道・余市齊藤町長へのインタビュー

齊藤啓輔氏

北海道、ひいては日本で最も注目されるワイン生産地、余市。規模を問わず、ワイナリーが群れをなす、日本で最もブルゴーニュに近い産地だ。

2018年からその行政のトップに立つのが齊藤啓輔氏。外交官としてロシア駐在などの華々しい経歴を持つ齊藤氏は、地方創生人材支援制度の中で北海道天塩町副町長に就任。任期後に余市町長選へ出馬し、当選を果たした。

巧みに民間との連携をとりながら、余市を次世代へつなぐ行政を推し進める30代の若手町長。自らがワインラヴァーでもあるそんな齊藤氏に、余市のワイン産業について伺った。

余市をはじめとした日本ワインが流行する昨今であるが、それは恒常的なものなのだろうか。

ワインはまだ知られていない。日本ワインよりも前に、日本とワインという視点に立った時に、日本人とワインの接点の少なさに立ち返る。

「日本ではワインを飲む経験がやはり少ないですよね。アルコールといえば日本酒や焼酎、ビールとなる。メインは葡萄から作られるお酒ではありません。
余市も極端な話、赤ワインを飲むのにシャンパーニュ用のフルートグラスしかないようなお店があったりします。その点がひとつの課題です。
また一時期の大量に輸入されていたバルクワインの印象が未だに拭い切れてない。そこからの転換の歴史はまだ浅いですよね。それは品質への信頼という意味でダメージになっているかと思います。
また、これについては議論が分かれますが、生食用葡萄で作るワインがいいのかどうか。これもひとつの論点だと考えます。」

例えば余市という土地、日本ワインという名称。我々、ワインを職とする者や愛好家にとっては、ある程度浸透した固有名詞だ。しかし、それは広く消費者へ伝わっているのか。外交官というキャリアを経験した方からみた日本ワインのブランディングは、どのような課題を抱えているのだろうか。

「一括りに日本のワインとっても玉石混交で、テロワールを理解しているワインとそう感じられないようなワインがあると思っています。一方でこの差異に関しては、消費者にとって、指標がない限りよくわかりません。
国がやることによって角が立つのであれば、有識者でもいいのですが、そういった判断が可能な構造ができれば変化が起こると思っています。」

「日本は若い産地です。葡萄栽培の歴史も150年程度でしょうか。ですが、果樹栽培地の成長はめざましく、その結果、現状優れたワインが出てきていると思います。そういった中で、欧州では浸透している「地理的表示」や「格付」など、差別化を行うシステムをきちんと導入しなければ、他のワイン生産国との比較環境下において、平等なラインに立てないと感じています。
昨今では、「GI北海道」という呼称が発表されましたが、それでは範囲が広すぎる。可能であれば、「余市」まで絞っていくことが必要と考えています。」
 

余市町庁舎
日本、北海道、余市とレンズを換えたブランディングが必要とされる中で、齊藤氏が余市という土地に置く期待は大きい。

「余市は昔から果樹の産地です。ニッカウヰスキーが余市を選んだポイントも、ここがリンゴの栽培地だったことでした。余市はリンゴの商業栽培が初めて行われた土地なのです。1900年代のことですが、リンゴをロシアにも輸出をして、果樹産地として潤っていたこともありました。1917年のロシア革命を期に、ロシア通貨をため込んでいた余市は没落してゆくことになるのですが。ともあれ、果樹の栽培がなじんだ土地として成熟しているのです。」

余市町長として、ワインラヴァーとして多くの土地のワインを飲んできた齊藤氏。彼は外へ発信できる余市ワインの個性というものを確かに捉えている。

「余市ワインの魅力は、テロワール。余市産のあるワインを飲んだら、北海道・余市のテロワールをしっかりと味わいで表現しているのです。梅鰹出汁や朝露、下草、きのこのようなニュアンス、まさに土地の光景が浮かぶ味わいだと感じました。そういった主要産地とは違うワインができる。雨が多い地域なので陰性のニュアンスを含んでいて、カリフォルニアワインのような元気な印象ではありませんが、それが大きな強みだと捉えています。」

「また、最近面白かったのが、熊本のシャルドネです。
シャルドネというより、南ローヌのようなニュアンスを感じる。ねっとりとした質感やトロピカルフルーツのような印象です。
日本も南から北に長い国ですから、その土地に適した品種を植えることで面白いニュアンスが出る。そういったことは実感しています。」

日本ワインとしても、余市ワインとしても、土地の個性をもった特産品を生む力を持つワイン産業。
齊藤氏が将来の余市に描くヴィジョンの中で、中長期的な視点に立ったときに、それはどのように関わっていくのだろうか。

「地方だけでなく、日本全体で人口がどんどん減っていっています。2100年には約5000万人と試算されるほどです。そういった中で、国内では経済の停滞や税収の減少が見込まれます。」

実際に余市は消滅可能性都市にリストインしている自治体の一つだ。しかし、ワイン産業にはその逆風の中でも押し流されない潜在能力がある。
齊藤啓輔氏


「ひとつのポイントとして、ワインは国際マーケットで需要の高い製品です。産地の人口を問わず世界の注目を集めることができる。例えば、ヴォーヌ・ロマネ村には370人ほどしか居住していませんが、ワイン産地としての名声がありますから、非常に豊かです。シャンパーニュだって、さほどの人口を抱えているわけではありませんが、フランスで有数の豊かな産地。そういった例を念頭に置きながら、ワイン産地としての余市の魅力を国際をマーケットに伝えていくことが大切だと考えています。」

国際マーケットへの進出という中で、昨今、日本ワイン業界も脚光を浴びたニュースが、世界で最も予約困難なレストラン「noma」によるドメーヌ・タカヒコ ナナツモリ ピノノワールの採用だろう。

「北海道と北欧を比べた時、そこには類似性があると思います。北海道の食文化として、採取、狩猟、塩漬け、発酵と言った、寒冷地ならではの特色がある。それは、地中海に面するようなイタリア、フランス、スペインなどとはやや違う文化です。一方で、北欧とは共通するものがある。そういった気候的文化的背景の類似性から、ヨーロッパへのゲートウェイとして、北欧のマーケットを選ぶのも合理的な選択だと思います。加えて、「noma」は世界最高のレストランの一つでもありますから。世界のマーケットを獲得していくことについて、どこの誰をターゲットとするかによって、弱小地域でも可能性があるということを示していきたいと思っています。」

人口減少が進む地域の中でのワイン産業。
それは余市にとって、国際マーケットへの進出に最も近い道のりのひとつであるに違いない。巨大なマーケットと小さな土地が産む味わいという非対称に潰れることなく、今現在、新規就農者たちがリードする小さな産業が、農家一軒一軒へ点々と広がっていったときに、余市の価値が世界に伝わることを切に願う。
 

インタビュー:人見 / ライティング:山崎 / 訪問日:2020年9月9日

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