日本ワインコラム

THE CELLAR ワイン特集
長野・ソラリスシリーズ vol.2

長野・ソラリスシリーズ vol.2

日本ワインコラム | ソラリスシリーズ vol.2 / vol.1 はこちら マンズワイン最高峰のプレミアムワイン「ソラリス」シリーズを手掛ける小諸ワイナリー。営業部の島田さんと渡辺さんの計らいもあり、前回から約1年と間を空けず再訪することができた。翌週から梅雨入りするのだが、我々がお邪魔した日は快晴。暑かったぁ~!湿度はなく、日陰に入れば涼しいものの、標高が高い分紫外線は強く、日差しが痛いほど。そんなアツイ日に、チームの皆さんから激アツな話を沢山伺った。 ▲ 前回同様、ソラリス愛、チーム愛溢れる話を沢山シェアして下さった島田さん。 ▲ 新たにソラリスチームに加わった渡辺さんは、苦労も笑いに変えてしまう、ワイン愛とガッツの塊のようなお方。 ソラリスシリーズが生まれた背景やワインの美味しさの秘密については、前回のコラムに纏めているので参照頂きたい。確かに素晴らしい環境下でワイン造りが行われているが、条件全てに於いて恵まれているとも言いきれない。そんな中でも世界と肩を並べるワインを輩出している背景には、「制限」という存在や「基準」の不在に対してチームが真摯に向き合っていることも大きいと思われ、Vol.2となる今回はそこにフォーカスを当てたい。また、番外編として、小諸ワイナリーに訪れた際に足を運びたいスポットも紹介していく。 制限があることの難しさ~徹底的に考えるからこそ広がる可能性 小諸は冷涼な気候で、降雨量が少なく日照時間が長い、そして寒暖差が大きい内陸性の気候で、日本ではワイン用ブドウ栽培に向いている場所である。しかし、ソラリスシリーズを造る小諸ワイナリーがベンチマークとして捉えるのは世界の銘醸地だ。そうすると、否が応でも気候の違いや歴史の短さなどの様々な壁にぶち当たる。しかし、「難しい!」と嘆いて匙を投げるのではない。難しいからこそ挑戦し、高みを目指しているのだ。 有機という制限に挑戦する理由 世界に比べて圧倒的に降雨量が多い日本で有機栽培を行うことは極めて難しい。そんな中、前回のコラムの「有機栽培に挑戦する」という段落でも紹介した通り、2010年から有機栽培に挑戦し、現在は畑の40%程度が有機に移行済だ。有機JASの認定を受けているのは、市場にアピールしたいからではない。「JAS認定という制限があることで、ブドウ栽培に対して深く考えざるを得ないから認定を受けている」そうだ。病気の兆しが現れたらすぐ薬を撒いていては栽培者として成長しない。そもそも病気にならないためにできることを模索する。 「考え抜いた先にしか可能性は広がらない」 というのが栽培・醸造責任者の西畑氏がチームに説く姿勢だ。 ▲(左)株元の草刈りや、畑の周りの藪の整備はマスト。病気の原因になる虫の住処を与えないのだ。「1日かけて草抜いても、複数列終わる程度っすよ!!有機ってほっんとーに大変なんです!」と渡辺さんが力説すれば、その隣で「草を刈っても2週間で元通りになりますしね…」と常勤顧問の松宮さんが達観した表情で付け加えられた。 ▲(中央)徹底的に管理してもコウモリガの幼虫が樹に入り、食害を引き起こすことも。見つけたら即駆除するそう。 ▲(右)最近導入された自動芝刈りロボット。草食の羊から「めぇちゃん」と名付けられた。戦力になるかどうか…? 島田さんはこうも言う。 「我々が自社で管理する畑の広さは12haのみ。全て有機にしたところで、周辺環境に与えるインパクトは微々たるもの。それよりも、有機でもブドウ栽培できるということを他の農家に示し、業界全体に影響を与えることの方が重要」と。 その観点で、日本固有品種のマスカット・ベーリーAを有機栽培し、そのワインが「Japan Wine Competition 2024」で金賞を受賞したことは意義深い。慣行栽培を続ける周辺農家に対しても、有機で高品質のものができるという結果を見せることができたのだ。一つ一つ結果を積み重ねることで、いつか大きな変化が生まれる。そんな予感を感じさせる話だ。 ないものは作る ヨーロッパに比べ、日本ではワイン用ブドウの苗木を手に入れるのは難しい。ワイナリーの数が増える中、苗木不足も指摘されている。ワイン用ブドウは、フィロキセラという虫対策のため、フィロキセラに耐性のある北米系品種を台木とし、その台木にヨーロッパ系の品種を接いで1つの苗木にする。マンズワインの小諸ワイナリーでは、台木も栽培し、苗木作りまで行っている。昨年、3,000本ほど接いだというのだから、大規模だ!...

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長野・ソラリスシリーズ vol.2

日本ワインコラム | ソラリスシリーズ vol.2 / vol.1 はこちら マンズワイン最高峰のプレミアムワイン「ソラリス」シリーズを手掛ける小諸ワイナリー。営業部の島田さんと渡辺さんの計らいもあり、前回から約1年と間を空けず再訪することができた。翌週から梅雨入りするのだが、我々がお邪魔した日は快晴。暑かったぁ~!湿度はなく、日陰に入れば涼しいものの、標高が高い分紫外線は強く、日差しが痛いほど。そんなアツイ日に、チームの皆さんから激アツな話を沢山伺った。 ▲ 前回同様、ソラリス愛、チーム愛溢れる話を沢山シェアして下さった島田さん。 ▲ 新たにソラリスチームに加わった渡辺さんは、苦労も笑いに変えてしまう、ワイン愛とガッツの塊のようなお方。 ソラリスシリーズが生まれた背景やワインの美味しさの秘密については、前回のコラムに纏めているので参照頂きたい。確かに素晴らしい環境下でワイン造りが行われているが、条件全てに於いて恵まれているとも言いきれない。そんな中でも世界と肩を並べるワインを輩出している背景には、「制限」という存在や「基準」の不在に対してチームが真摯に向き合っていることも大きいと思われ、Vol.2となる今回はそこにフォーカスを当てたい。また、番外編として、小諸ワイナリーに訪れた際に足を運びたいスポットも紹介していく。 制限があることの難しさ~徹底的に考えるからこそ広がる可能性 小諸は冷涼な気候で、降雨量が少なく日照時間が長い、そして寒暖差が大きい内陸性の気候で、日本ではワイン用ブドウ栽培に向いている場所である。しかし、ソラリスシリーズを造る小諸ワイナリーがベンチマークとして捉えるのは世界の銘醸地だ。そうすると、否が応でも気候の違いや歴史の短さなどの様々な壁にぶち当たる。しかし、「難しい!」と嘆いて匙を投げるのではない。難しいからこそ挑戦し、高みを目指しているのだ。 有機という制限に挑戦する理由 世界に比べて圧倒的に降雨量が多い日本で有機栽培を行うことは極めて難しい。そんな中、前回のコラムの「有機栽培に挑戦する」という段落でも紹介した通り、2010年から有機栽培に挑戦し、現在は畑の40%程度が有機に移行済だ。有機JASの認定を受けているのは、市場にアピールしたいからではない。「JAS認定という制限があることで、ブドウ栽培に対して深く考えざるを得ないから認定を受けている」そうだ。病気の兆しが現れたらすぐ薬を撒いていては栽培者として成長しない。そもそも病気にならないためにできることを模索する。 「考え抜いた先にしか可能性は広がらない」 というのが栽培・醸造責任者の西畑氏がチームに説く姿勢だ。 ▲(左)株元の草刈りや、畑の周りの藪の整備はマスト。病気の原因になる虫の住処を与えないのだ。「1日かけて草抜いても、複数列終わる程度っすよ!!有機ってほっんとーに大変なんです!」と渡辺さんが力説すれば、その隣で「草を刈っても2週間で元通りになりますしね…」と常勤顧問の松宮さんが達観した表情で付け加えられた。 ▲(中央)徹底的に管理してもコウモリガの幼虫が樹に入り、食害を引き起こすことも。見つけたら即駆除するそう。 ▲(右)最近導入された自動芝刈りロボット。草食の羊から「めぇちゃん」と名付けられた。戦力になるかどうか…? 島田さんはこうも言う。 「我々が自社で管理する畑の広さは12haのみ。全て有機にしたところで、周辺環境に与えるインパクトは微々たるもの。それよりも、有機でもブドウ栽培できるということを他の農家に示し、業界全体に影響を与えることの方が重要」と。 その観点で、日本固有品種のマスカット・ベーリーAを有機栽培し、そのワインが「Japan Wine Competition 2024」で金賞を受賞したことは意義深い。慣行栽培を続ける周辺農家に対しても、有機で高品質のものができるという結果を見せることができたのだ。一つ一つ結果を積み重ねることで、いつか大きな変化が生まれる。そんな予感を感じさせる話だ。 ないものは作る ヨーロッパに比べ、日本ではワイン用ブドウの苗木を手に入れるのは難しい。ワイナリーの数が増える中、苗木不足も指摘されている。ワイン用ブドウは、フィロキセラという虫対策のため、フィロキセラに耐性のある北米系品種を台木とし、その台木にヨーロッパ系の品種を接いで1つの苗木にする。マンズワインの小諸ワイナリーでは、台木も栽培し、苗木作りまで行っている。昨年、3,000本ほど接いだというのだから、大規模だ!...

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広島・三次ワイナリー

広島・三次ワイナリー

日本ワインコラム |広島三次ワイナリー 「三次」と書いて「みよし」と読む。広島県の北部、中国地方の中心部に位置し、江の川、馬洗川、西城川の3本の大きな川が巴状に合流する盆地である。ブドウ栽培が始まったのは1955年頃からと言われており、今では“黒い真珠”と称されるピオーネの一大産地として有名な場所だ。 1994年に広島県初のワイナリーとしてこの地に誕生したのが、今回の訪問先である広島三次ワイナリー。今年創業30周年を迎える歴史のあるワイナリーだ。第三セクターとして誕生したという背景もあり、当初は観光ワイナリー的な位置づけで捉えられていたが、昨今は国内外から高く評価される本格的なワインで名を馳せ、多くのファンを魅了する。 ▲ 広島三次ワイナリーの外観。赤い屋根と高い塔が印象的で、外観からも広々した場所なのが分かる。沢山の方が訪れる場所で、到着した日も駐車場はほぼ満車! 質の高いワインを造り出す秘密はどこにあるのか?生粋の三次っ子だという製造課マネージャーの沖田さんに色々とお話を伺った。 ▲ 安心感のある語り口の沖田さん。広島三次ワイナリー栽培・醸造チームのインスタに“好青年を装った毒舌男”と紹介されていたのが気になる…笑。我々には“好青年“としか思えなかったです!! 観光ワイナリーからの脱却 広島三次ワイナリーは三次市やJAひろしま等が出資する第三セクターとして誕生。生食用ブドウを栽培する過程で出る大量の規格外のブドウを活用するという目的から創設された経緯もあり、設立当時は観光ワインとしての色合いが強いものだった。ワイナリーには観光客向けの施設も充実しており、集客も業績も安定していたが、日本ワインブームの到来と共に、土地の個性を活かした本格的なワインに注目が集まり、観光ワインが淘汰されつつあるという現実も目の当たりにする。 ▲ ワインショップの前には白い椅子が沢山並び、ゆったり過ごせるスペースも。 ▲ ワインショップの中の様子。ワインがずらり並ぶ! このままでは生き残れない…という危機感が募り、経営陣は1つの大きな決断をする。これまでの観光ワイナリーとして位置付けから経営方針をシフトし、原料から見直したのだ。2007年に自社圃場を確保しブドウ栽培を開始、2008年には三次産ブドウ100%で造るTOMOEシリーズをスタートした。 更に、2つ目の大きな決断となったのが、2013年に後にワイナリー長となる太田直幸氏を迎え入れたことだ。 ▲ 広島三次ワイナリーのHPより。優しい笑顔が素敵な太田氏。 太田氏はニュージーランドのリンカーン大学でブドウ栽培とワイン醸造の勉強をし、現地の農園やワイナリーで長く働いた経験を持つ。沖田さん曰く、太田氏は「ブドウのいいところを最大限に引き出す」という考えをお持ちで、これまでとは異なるアプローチで、質を重視した栽培や醸造を徹底したそう。その結果、ワインの質が向上し味わいも本格的に。国内外の数々のコンクールで受賞するまでになったのだ。 経営方針を180度変え、一から新しい文化を作り上げた広島三次ワイナリー。強いリーダーシップなしには成しえなかったと思うが、三次という場所の優位性、栽培家や醸造家一人一人の情熱も忘れてはいけない。まずは畑から見ていこう。 恵まれた畑の環境 盆地ならではの優位性 ワイナリーから車で程近く、山間部を切り開いた場所に畑がある。標高350m前後、一番高いTOMOEシリーズ「シャルドネ新月」の畑は標高400mに位置する。どの畑も開けた場所にあるので、日の出から日の入りまでしっかりと太陽が当たる。また、盆地ならではの気候で、昼夜の寒暖差が大きく、ブドウがゆっくり熟す環境にある。山肌を通る風も吹くので、比較的病気になりにくい環境なのも嬉しいところだ。 ▲ さーっと視界が開けた場所にあるブドウ畑。太陽の恵みを感じながら、心地よい風も吹き抜ける。 恵まれた環境とは言え、温暖化の影響はある。「シャルドネ新月」は、新月の夜に収穫するナイトハーベストを行っていたことから命名されたワインだが、昨今は夜間も気温が高い日が多く、夜に収穫するメリットが下がってきていることと、夜間の作業は摘み残しも起こりやすいことから、昼間に収穫した後、ブドウをしっかり冷蔵し酸化や腐敗を防ぐという手法に切り替えたそう。 ▲ 棚栽培されている「シャルドネ新月」の畑。棚の高さは奥に進むほど低くなっているそうで、「手前は問題ないのだけど、奥に行くほど中腰で辛くなる…けど、すごくいい農家さんが手入れしてくれて、素晴らしいブドウができている」と、沖田さん。 日本で珍しい貴腐ブドウが育つ場所...

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広島・三次ワイナリー

日本ワインコラム |広島三次ワイナリー 「三次」と書いて「みよし」と読む。広島県の北部、中国地方の中心部に位置し、江の川、馬洗川、西城川の3本の大きな川が巴状に合流する盆地である。ブドウ栽培が始まったのは1955年頃からと言われており、今では“黒い真珠”と称されるピオーネの一大産地として有名な場所だ。 1994年に広島県初のワイナリーとしてこの地に誕生したのが、今回の訪問先である広島三次ワイナリー。今年創業30周年を迎える歴史のあるワイナリーだ。第三セクターとして誕生したという背景もあり、当初は観光ワイナリー的な位置づけで捉えられていたが、昨今は国内外から高く評価される本格的なワインで名を馳せ、多くのファンを魅了する。 ▲ 広島三次ワイナリーの外観。赤い屋根と高い塔が印象的で、外観からも広々した場所なのが分かる。沢山の方が訪れる場所で、到着した日も駐車場はほぼ満車! 質の高いワインを造り出す秘密はどこにあるのか?生粋の三次っ子だという製造課マネージャーの沖田さんに色々とお話を伺った。 ▲ 安心感のある語り口の沖田さん。広島三次ワイナリー栽培・醸造チームのインスタに“好青年を装った毒舌男”と紹介されていたのが気になる…笑。我々には“好青年“としか思えなかったです!! 観光ワイナリーからの脱却 広島三次ワイナリーは三次市やJAひろしま等が出資する第三セクターとして誕生。生食用ブドウを栽培する過程で出る大量の規格外のブドウを活用するという目的から創設された経緯もあり、設立当時は観光ワインとしての色合いが強いものだった。ワイナリーには観光客向けの施設も充実しており、集客も業績も安定していたが、日本ワインブームの到来と共に、土地の個性を活かした本格的なワインに注目が集まり、観光ワインが淘汰されつつあるという現実も目の当たりにする。 ▲ ワインショップの前には白い椅子が沢山並び、ゆったり過ごせるスペースも。 ▲ ワインショップの中の様子。ワインがずらり並ぶ! このままでは生き残れない…という危機感が募り、経営陣は1つの大きな決断をする。これまでの観光ワイナリーとして位置付けから経営方針をシフトし、原料から見直したのだ。2007年に自社圃場を確保しブドウ栽培を開始、2008年には三次産ブドウ100%で造るTOMOEシリーズをスタートした。 更に、2つ目の大きな決断となったのが、2013年に後にワイナリー長となる太田直幸氏を迎え入れたことだ。 ▲ 広島三次ワイナリーのHPより。優しい笑顔が素敵な太田氏。 太田氏はニュージーランドのリンカーン大学でブドウ栽培とワイン醸造の勉強をし、現地の農園やワイナリーで長く働いた経験を持つ。沖田さん曰く、太田氏は「ブドウのいいところを最大限に引き出す」という考えをお持ちで、これまでとは異なるアプローチで、質を重視した栽培や醸造を徹底したそう。その結果、ワインの質が向上し味わいも本格的に。国内外の数々のコンクールで受賞するまでになったのだ。 経営方針を180度変え、一から新しい文化を作り上げた広島三次ワイナリー。強いリーダーシップなしには成しえなかったと思うが、三次という場所の優位性、栽培家や醸造家一人一人の情熱も忘れてはいけない。まずは畑から見ていこう。 恵まれた畑の環境 盆地ならではの優位性 ワイナリーから車で程近く、山間部を切り開いた場所に畑がある。標高350m前後、一番高いTOMOEシリーズ「シャルドネ新月」の畑は標高400mに位置する。どの畑も開けた場所にあるので、日の出から日の入りまでしっかりと太陽が当たる。また、盆地ならではの気候で、昼夜の寒暖差が大きく、ブドウがゆっくり熟す環境にある。山肌を通る風も吹くので、比較的病気になりにくい環境なのも嬉しいところだ。 ▲ さーっと視界が開けた場所にあるブドウ畑。太陽の恵みを感じながら、心地よい風も吹き抜ける。 恵まれた環境とは言え、温暖化の影響はある。「シャルドネ新月」は、新月の夜に収穫するナイトハーベストを行っていたことから命名されたワインだが、昨今は夜間も気温が高い日が多く、夜に収穫するメリットが下がってきていることと、夜間の作業は摘み残しも起こりやすいことから、昼間に収穫した後、ブドウをしっかり冷蔵し酸化や腐敗を防ぐという手法に切り替えたそう。 ▲ 棚栽培されている「シャルドネ新月」の畑。棚の高さは奥に進むほど低くなっているそうで、「手前は問題ないのだけど、奥に行くほど中腰で辛くなる…けど、すごくいい農家さんが手入れしてくれて、素晴らしいブドウができている」と、沖田さん。 日本で珍しい貴腐ブドウが育つ場所...

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岡山・コルトラーダ

岡山・コルトラーダ

日本ワインコラム |コルトラーダ 梅雨とは思えないほどの猛暑に見舞われた前週とは打って変わり、訪問前夜に大雨に見舞われた中国地方…波乱の幕開けである。東京からの参加組は首尾よく飛行機で岡山空港に入り、レンタカー移動したのだが、電車&バスで現地入り予定だったライターは大雨の影響で足止め。取材に間に合わなかったのだ(涙)。ということで、今回は、いつもと少し方法を変えて。チームから受け取った情報を元に、皆さまにお伝えしたいと思う。 ▲ ワイナリーの外観。木をふんだんに使った造りで趣がある。 ▲ 窓際のディスプレイに温かみを感じる。 岡山県新見市にあるコルトラーダ。岡山空港から車で北西に1時間半。岡山駅から特急電車とタクシーで移動した場合も1時間半といった距離感だ。この地に移住し、ワイン造りに向き合っているのが今回の取材相手の保坂耕三さん。淡々とした語り口だけど、おかしいと思うことはきちんと口にする様子に不屈の精神を感じ、全てを包み隠さず語られる姿に誠実で実直なお人柄を感じさせられた。やはり、強い人は優しいのだ。 ▲ くしゃっとした笑顔を見せてくれた保坂さん。つられて笑ってしまいそうだ。 今すぐ中国・四国のワインをチェック! ワインに出会う前 保坂さんが新見市に移住したのは2011年秋。以前は有機野菜の栽培、流通、販売などに長く従事されていた。また、1999年に法改正され導入された有機JASの認定審査の事務局にもおられ、初年度の認定業務を担当されたそう。「関係者全員が手探り状態だった」と振り返られた言葉から、その仕事の大変さがひしひしと伝わってくる… この頃の保坂さんは、ワインに対してちょっとお高くとまった印象をお持ちだったようだ。ところが、イタリア旅行でそのイメージは覆され、ワイン造りの道に進むことを決めてしまうのだ。 カーゼ・コリーニのロレンツォ氏との出会いで 運命の出会いとなったのが、イタリア、ピエモンテ州にあるワイナリー「カーゼ・コリーニ」。 持続可能で自然なワインを造ることで本国イタリアのみならず、日本でも人気のあるワイナリーなので、ご存知の方も多いだろう。保坂さんは2010年にここを訪れ、2021年に惜しくもお亡くなりになった前当主のロレンツォ氏と直接会話した。ロレンツォ氏は地質学を専門とする農業博士であり、イギリス・ケンブリッジにある研究機関で穀類の耐性遺伝性の研究プロジェクトに従事したり、国立ブドウ栽培研究所で持続可能なブドウ栽培についての研究をしたりと、学術的な活動でも知られる御仁だ。 もともと有機栽培の分野に長く身を置いていたからだろう、ロレンツォ氏とすぐに意気投合したようだ。土の重要性について語り合う中で、「ワインも農業だ」と腹落ちしたそうだ。 これまでも農業をしたいという希望はあったものの、鮮度が命で時間との勝負となる野菜栽培には二の足を踏んでいた。ワインはブドウを収穫してから醸造という時間が入る。いい、悪いは抜きにして、自分に向いていると思った。 「ワインを造ろう。」…即決だった。 鉄は熱いうちに打て ▲ コルトラーダのフェイスブックアカウントより。グラデーションのある青空、立ち上がる雲、こんもりした緑、そして遠目に見える虹!!!これは、恋に落ちてしまう景色だ。 イタリア旅行から戻ってからの動きが早い。会社を辞め、岡山県新見市に移住したのが2011年秋。北海道は函館のご出身で、移住前は首都圏におられたので、西日本は少し縁遠い気がするが、自然豊かな環境に魅了されたのと、ワイン用ブドウを栽培している法人が既にあったということが決め手になったようだ。 2012年には同じ地域にあるドメーヌ・テッタ( → 詳細はこちら)でブドウ栽培の研修を始める。2013年からは畑を少しずつ開墾し、2014年は栃木、2015、16年は長野のワイナリーで委託醸造した。2017年から2020年の間は県内にあるラ・グランド・コリーヌで委託醸造し、収穫以降はブドウ以外に何も加えないスタイルでのワイン造りを確立。 そして、2021年に自社ワイナリーを立ち上げた。ワイン造りを志してから、急ピッチで体制を整えられた保坂さん。年数だけ追っていると順風満帆のように思えるが、目まぐるしい10数年だったに違いない。 合理的な考え方から生まれる自然なワイン造り 保坂さんのワインは所謂「自然派」とカテゴライズされる部類に入るだろう。畑では除草剤は使わず、殺虫剤は使うとしても年に1回程度、農薬も必要最低限の使用に限られる。醸造の過程でも亜硫酸といった添加物は一切使わず、ブドウだけでワインを造っている。...

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岡山・コルトラーダ

日本ワインコラム |コルトラーダ 梅雨とは思えないほどの猛暑に見舞われた前週とは打って変わり、訪問前夜に大雨に見舞われた中国地方…波乱の幕開けである。東京からの参加組は首尾よく飛行機で岡山空港に入り、レンタカー移動したのだが、電車&バスで現地入り予定だったライターは大雨の影響で足止め。取材に間に合わなかったのだ(涙)。ということで、今回は、いつもと少し方法を変えて。チームから受け取った情報を元に、皆さまにお伝えしたいと思う。 ▲ ワイナリーの外観。木をふんだんに使った造りで趣がある。 ▲ 窓際のディスプレイに温かみを感じる。 岡山県新見市にあるコルトラーダ。岡山空港から車で北西に1時間半。岡山駅から特急電車とタクシーで移動した場合も1時間半といった距離感だ。この地に移住し、ワイン造りに向き合っているのが今回の取材相手の保坂耕三さん。淡々とした語り口だけど、おかしいと思うことはきちんと口にする様子に不屈の精神を感じ、全てを包み隠さず語られる姿に誠実で実直なお人柄を感じさせられた。やはり、強い人は優しいのだ。 ▲ くしゃっとした笑顔を見せてくれた保坂さん。つられて笑ってしまいそうだ。 今すぐ中国・四国のワインをチェック! ワインに出会う前 保坂さんが新見市に移住したのは2011年秋。以前は有機野菜の栽培、流通、販売などに長く従事されていた。また、1999年に法改正され導入された有機JASの認定審査の事務局にもおられ、初年度の認定業務を担当されたそう。「関係者全員が手探り状態だった」と振り返られた言葉から、その仕事の大変さがひしひしと伝わってくる… この頃の保坂さんは、ワインに対してちょっとお高くとまった印象をお持ちだったようだ。ところが、イタリア旅行でそのイメージは覆され、ワイン造りの道に進むことを決めてしまうのだ。 カーゼ・コリーニのロレンツォ氏との出会いで 運命の出会いとなったのが、イタリア、ピエモンテ州にあるワイナリー「カーゼ・コリーニ」。 持続可能で自然なワインを造ることで本国イタリアのみならず、日本でも人気のあるワイナリーなので、ご存知の方も多いだろう。保坂さんは2010年にここを訪れ、2021年に惜しくもお亡くなりになった前当主のロレンツォ氏と直接会話した。ロレンツォ氏は地質学を専門とする農業博士であり、イギリス・ケンブリッジにある研究機関で穀類の耐性遺伝性の研究プロジェクトに従事したり、国立ブドウ栽培研究所で持続可能なブドウ栽培についての研究をしたりと、学術的な活動でも知られる御仁だ。 もともと有機栽培の分野に長く身を置いていたからだろう、ロレンツォ氏とすぐに意気投合したようだ。土の重要性について語り合う中で、「ワインも農業だ」と腹落ちしたそうだ。 これまでも農業をしたいという希望はあったものの、鮮度が命で時間との勝負となる野菜栽培には二の足を踏んでいた。ワインはブドウを収穫してから醸造という時間が入る。いい、悪いは抜きにして、自分に向いていると思った。 「ワインを造ろう。」…即決だった。 鉄は熱いうちに打て ▲ コルトラーダのフェイスブックアカウントより。グラデーションのある青空、立ち上がる雲、こんもりした緑、そして遠目に見える虹!!!これは、恋に落ちてしまう景色だ。 イタリア旅行から戻ってからの動きが早い。会社を辞め、岡山県新見市に移住したのが2011年秋。北海道は函館のご出身で、移住前は首都圏におられたので、西日本は少し縁遠い気がするが、自然豊かな環境に魅了されたのと、ワイン用ブドウを栽培している法人が既にあったということが決め手になったようだ。 2012年には同じ地域にあるドメーヌ・テッタ( → 詳細はこちら)でブドウ栽培の研修を始める。2013年からは畑を少しずつ開墾し、2014年は栃木、2015、16年は長野のワイナリーで委託醸造した。2017年から2020年の間は県内にあるラ・グランド・コリーヌで委託醸造し、収穫以降はブドウ以外に何も加えないスタイルでのワイン造りを確立。 そして、2021年に自社ワイナリーを立ち上げた。ワイン造りを志してから、急ピッチで体制を整えられた保坂さん。年数だけ追っていると順風満帆のように思えるが、目まぐるしい10数年だったに違いない。 合理的な考え方から生まれる自然なワイン造り 保坂さんのワインは所謂「自然派」とカテゴライズされる部類に入るだろう。畑では除草剤は使わず、殺虫剤は使うとしても年に1回程度、農薬も必要最低限の使用に限られる。醸造の過程でも亜硫酸といった添加物は一切使わず、ブドウだけでワインを造っている。...

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岡山・domaine tetta

岡山・domaine tetta

日本ワインコラム |domaine tetta 山道をしばらく登っていくと、突如シャープでモダンな建物が現れた。一瞬「こんなところに美術館?」と思ったのだが、視線を奥にやると一面のブドウ畑が目に入り、ワイナリーだと気付かされる。 ここが今回の訪問先、岡山県新見市哲多町にあるdomaine tettaだ。洗練された空間使いと眼下に広がる一面のブドウ畑を目にすると、海外のワイナリーに来たような錯覚に陥ってしまう。 ▲ domaine tettaのホームページより。ワイナリー入り口からしてスタイリッシュ! ▲ ワイナリーのテラスから見える景色。ばーっと広がるブドウ畑に圧倒される。 そして取材のお相手は、代表の高橋さんと2020年から栽培・醸造長を任されている菅野さん。 高橋さんは泰然自若とした語り口の中に、青い炎のような静かな情熱と強靭な精神を感じさせられる方。一方の菅野さんは誠実で真直ぐな眼差しが眩しく、ストイックと言ってもいいほど真面目にワイン造りに向き合っておられるのがひしひしと伝わってくる。この2人が目指す世界はどんなところなのだろうか? ▲ 高橋さん(左)と菅野さん(右)。短時間のインタビューだったが、信頼関係が垣間見られ、いい関係だなぁ~としみじみ思わされた。 ワインありきでスタートしたのではない まず驚いたのが、高橋さんの家業が新見で代々続く建設業であること!全くジャンルの違うビジネスを経営する二刀流なのだ。でも、なぜ建設業からワインの世界に飛び込んだのだろう? ワイナリーの前に広がる8haの広大なブドウ畑。圧巻の景色だが、少し前までは全く違う姿だった。平成初期に県による造成で出来た生食用ブドウの畑だったのだが、経営していた農業法人が撤退し、20年近く耕作放棄地となっていたそう。ビジネスとして成り立たなかったのは仕方ない。しかし、地元の景色が荒れていく姿を見るのは、やはり辛い…。そういう想いもあり、高橋さんは手を挙げたという。自分がここでブドウ栽培しワインを造る、と。 しかし、なぜブドウ栽培をしたことも、ましてやワイン醸造の経験がない高橋さんが、ワイナリーを造ろうと思ったのだろう?・・・その秘密は畑の環境にある。 ▲ 15年ほど前までは耕作放棄地だったとは信じられないほど、整然と並ぶブドウ畑。 畑の秘密①:日本で珍しい石灰質土壌 畑に足を踏み入れると、白い岩や石が畑のあちらこちらにある。新見市は南北に広がり、場所によって土壌環境が異なる。南に位置する哲多町は、石灰岩と赤土で構成される石灰岩土壌を誇る。石灰質はブルゴーニュやシャンパーニュ地方といったワインの銘醸地に多く見られる土壌で、保水と水はけのバランスが良いことで知られている。日本で石灰を採掘できる場所は非常に限られている上、石灰岩土壌でブドウ栽培しているワイナリーは更に限られる。高橋さん曰く「日本では、domaine tetta以外で1、2社程度ではないか」とのこと。これはかなり貴重な武器である。実は、この土壌環境に目を付け、以前、勝沼醸造がこの地でメルロ、シャルドネ、ピノ・ノワールといった欧州系ワイン用ブドウを栽培していたそう。大手も認めるポテンシャルの高い場所なのだ。 ▲ 化石化したサンゴ礁が隆起したカルスト台地にある畑の土壌には、白い岩や石がゴロゴロと転がっている。畑の中には、雨でドリーネ(石灰岩地域で見られるすり鉢状の窪地)が出来て地表が陥没したところもあるそう。 畑の秘密②:ブドウ栽培に適した環境 以前は生食用ブドウを栽培していた場所というだけあり、ブドウ栽培に適した環境だ。 例えば、「晴れの国・おかやま」と称されるだけあり、降雨量の多い日本の中では、比較的晴れの日が多く、日照時間が長い。また、中国山脈を背に背負う場所に位置し、畑が標高400-420mのカルスト台地上にあることから、寒暖差が生まれ、ブドウの色付きも良く、酸落ちがしにくい。更に、南西に向かう斜面の谷から風が吹くことで、ブドウの熱を冷まし、湿気が溜まりにくい環境にある。 ▲...

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岡山・domaine tetta

日本ワインコラム |domaine tetta 山道をしばらく登っていくと、突如シャープでモダンな建物が現れた。一瞬「こんなところに美術館?」と思ったのだが、視線を奥にやると一面のブドウ畑が目に入り、ワイナリーだと気付かされる。 ここが今回の訪問先、岡山県新見市哲多町にあるdomaine tettaだ。洗練された空間使いと眼下に広がる一面のブドウ畑を目にすると、海外のワイナリーに来たような錯覚に陥ってしまう。 ▲ domaine tettaのホームページより。ワイナリー入り口からしてスタイリッシュ! ▲ ワイナリーのテラスから見える景色。ばーっと広がるブドウ畑に圧倒される。 そして取材のお相手は、代表の高橋さんと2020年から栽培・醸造長を任されている菅野さん。 高橋さんは泰然自若とした語り口の中に、青い炎のような静かな情熱と強靭な精神を感じさせられる方。一方の菅野さんは誠実で真直ぐな眼差しが眩しく、ストイックと言ってもいいほど真面目にワイン造りに向き合っておられるのがひしひしと伝わってくる。この2人が目指す世界はどんなところなのだろうか? ▲ 高橋さん(左)と菅野さん(右)。短時間のインタビューだったが、信頼関係が垣間見られ、いい関係だなぁ~としみじみ思わされた。 ワインありきでスタートしたのではない まず驚いたのが、高橋さんの家業が新見で代々続く建設業であること!全くジャンルの違うビジネスを経営する二刀流なのだ。でも、なぜ建設業からワインの世界に飛び込んだのだろう? ワイナリーの前に広がる8haの広大なブドウ畑。圧巻の景色だが、少し前までは全く違う姿だった。平成初期に県による造成で出来た生食用ブドウの畑だったのだが、経営していた農業法人が撤退し、20年近く耕作放棄地となっていたそう。ビジネスとして成り立たなかったのは仕方ない。しかし、地元の景色が荒れていく姿を見るのは、やはり辛い…。そういう想いもあり、高橋さんは手を挙げたという。自分がここでブドウ栽培しワインを造る、と。 しかし、なぜブドウ栽培をしたことも、ましてやワイン醸造の経験がない高橋さんが、ワイナリーを造ろうと思ったのだろう?・・・その秘密は畑の環境にある。 ▲ 15年ほど前までは耕作放棄地だったとは信じられないほど、整然と並ぶブドウ畑。 畑の秘密①:日本で珍しい石灰質土壌 畑に足を踏み入れると、白い岩や石が畑のあちらこちらにある。新見市は南北に広がり、場所によって土壌環境が異なる。南に位置する哲多町は、石灰岩と赤土で構成される石灰岩土壌を誇る。石灰質はブルゴーニュやシャンパーニュ地方といったワインの銘醸地に多く見られる土壌で、保水と水はけのバランスが良いことで知られている。日本で石灰を採掘できる場所は非常に限られている上、石灰岩土壌でブドウ栽培しているワイナリーは更に限られる。高橋さん曰く「日本では、domaine tetta以外で1、2社程度ではないか」とのこと。これはかなり貴重な武器である。実は、この土壌環境に目を付け、以前、勝沼醸造がこの地でメルロ、シャルドネ、ピノ・ノワールといった欧州系ワイン用ブドウを栽培していたそう。大手も認めるポテンシャルの高い場所なのだ。 ▲ 化石化したサンゴ礁が隆起したカルスト台地にある畑の土壌には、白い岩や石がゴロゴロと転がっている。畑の中には、雨でドリーネ(石灰岩地域で見られるすり鉢状の窪地)が出来て地表が陥没したところもあるそう。 畑の秘密②:ブドウ栽培に適した環境 以前は生食用ブドウを栽培していた場所というだけあり、ブドウ栽培に適した環境だ。 例えば、「晴れの国・おかやま」と称されるだけあり、降雨量の多い日本の中では、比較的晴れの日が多く、日照時間が長い。また、中国山脈を背に背負う場所に位置し、畑が標高400-420mのカルスト台地上にあることから、寒暖差が生まれ、ブドウの色付きも良く、酸落ちがしにくい。更に、南西に向かう斜面の谷から風が吹くことで、ブドウの熱を冷まし、湿気が溜まりにくい環境にある。 ▲...

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岡山・グレープ・シップ

岡山・グレープ・シップ

日本ワインコラム |グレープ・シップ 倉敷駅から20分程車を走らせ、岡山県倉敷市船穂町にやってきた。倉敷といえば、昔ながらの白壁の街並みが美しい美観地区や日本初の私立西洋美術館である大原美術館が頭に浮かぶ。そういえば、国産ジーンズの発祥の地でもあったよな…あ、桃やブドウといったフルーツも捨てがたい…なんてことを思いながら到着したのが、今回の取材先のグレープ・シップ。 「晴れの国おかやま」として知られる岡山県の中でも瀬戸内側に位置し、温暖な瀬戸内海式気候に恵まれた場所で、マスカット・オブ・アレキサンドリアという品種を中心に栽培しナチュラルワインを造っているワイナリーだ。代表の松井さんとスタッフの木曽さんに色々とお話を伺った。 ▲ 代表の松井さん。倉敷やマスカット・オブ・アレキサンドリアに対する想い、コミュニティを大事にする姿勢、そしてワイン造りを楽しむ様子に「こんな振る舞いができたらな~」と思わせられる方だ。 ▲ カラッした笑顔と語り口が魅力的な木曽さん。明るく前向きな姿勢に話をするだけで元気をもらえる。 ワイン造りのきっかけ 松井さんは関西でフレンチのシェフとして長く活躍していたが、料理人としてフランスに留学した時にナチュラルワインと出会い、魅了される。その際、現地のワイナリーでブドウ栽培とワイン醸造に携わることに。帰国後もシェフを続けたが、ワインに携わりたいという気持ちが大きくなり、ブドウ栽培から始めようと一大決心されたのだ。 北海道を始めとする日本ワインの有名産地への移住も検討したそうだが、出身地の倉敷はブドウ栽培で有名で、親元にも近い。松井さんは2010年にUターンする形で船穂に移住し、2年間の農業研修を経て、2012年にマスカット・オブ・アレキサンドリアを栽培し始める。 ▲ ワインの香りを確かめる姿からもワインが好き!という気持ちが溢れている。 マスカット・オブ・アレキサンドリアを選んだのは、 「単に好きなだけ」ではあるが、「農家の高齢化で畑が耕作放棄地になったり、シャイン・マスカットの人気で栽培を切り替える農家が増えたりする中、マスカット・オブ・アレキサンドリアが衰退するのを何とかしたいという思いが強くなった。シャイン・マスカットの人気が高くなればなるほど、負けたくないという気持ちも盛り上がった」 と胸の内を明かしてくれた。 マスカット・オブ・アレキサンドリアの全国生産量の9割以上を占める岡山県の中でも、船穂地区は一大産地だ。この地で昔から栽培されてきた愛着あるブドウを残したい。そのためにも美味しいブドウを栽培し、生食の文化を絶やさないと共に、美味しいワインを造ることで文化の裾野を広げよう!そう決心したのだ。 有機JAS認定を受けた畑での取り組み 新規就農ということもあり、纏まった土地を入手するのは難しく、少しずつ畑を拡大してきた松井さん。現在はワイナリー近辺に13の圃場が点在する形でブドウ栽培を行っている。フランスでナチュラルワインに感銘を受けたこともあってだろう、グレープ・シップではワイン用ブドウは有機栽培、醸造の過程でも人為的介入は最小限に抑えられたワイン造りが徹底されている。まずは、畑に足を踏み入れよう。 恵まれた環境の畑 ワイナリーをお邪魔したのは、大雨の翌々日でまだ曇り空が残る空模様ではあったが、雲の切れ目に日差しの強さを感じる。やはりここは「晴れの国おかやま」で、日照時間も日照量も多い場所だ。そしてワイナリーから畑に向かう途中、瀬戸内海を遠目に眺めることができる距離感で、海風を常に感じる場所。ブドウにとって最高の環境だ。 ▲ ワイナリーから畑に向かう途中の一枚。左手奥に瀬戸内海が見える。景色のいい場所だ! 耕作放棄地となったビニールハウスを譲り受けブドウ栽培しているので、雨対策もバッチリだ。また、花崗岩の上に砂質の土がある砂壌土と呼ばれる土壌環境で、水はけもよい。なお、ハウス栽培ではあるが、施肥や灌水も行わないとのことで、適度にブドウにストレスがかかる環境にあり、小粒で凝縮感のある果実が育つ。 有機JAS認定を取得 グレープ・シップでは有機JAS認定を受けた畑でワイン用ブドウを栽培している。有機JASと聞いて「あ、あのマークね」と簡単に捉えてはいけない。認定を受けるためには様々な基準を満たす必要があり、条件をクリアしていることを証明する書類作成、認定を受けるコスト等々、生産者側の負担は少なくない。「いや~大変でした!」と木曽さんはからっと笑っておられたが、その道のりは相当大変だったに違いない。 ▲ 斜面に植わる、ハウス栽培されているブドウ。 ▲ 鳥害もあるそうで、ハウスの側面にはネットをかけて対策を施している。...

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日本ワインコラム |グレープ・シップ 倉敷駅から20分程車を走らせ、岡山県倉敷市船穂町にやってきた。倉敷といえば、昔ながらの白壁の街並みが美しい美観地区や日本初の私立西洋美術館である大原美術館が頭に浮かぶ。そういえば、国産ジーンズの発祥の地でもあったよな…あ、桃やブドウといったフルーツも捨てがたい…なんてことを思いながら到着したのが、今回の取材先のグレープ・シップ。 「晴れの国おかやま」として知られる岡山県の中でも瀬戸内側に位置し、温暖な瀬戸内海式気候に恵まれた場所で、マスカット・オブ・アレキサンドリアという品種を中心に栽培しナチュラルワインを造っているワイナリーだ。代表の松井さんとスタッフの木曽さんに色々とお話を伺った。 ▲ 代表の松井さん。倉敷やマスカット・オブ・アレキサンドリアに対する想い、コミュニティを大事にする姿勢、そしてワイン造りを楽しむ様子に「こんな振る舞いができたらな~」と思わせられる方だ。 ▲ カラッした笑顔と語り口が魅力的な木曽さん。明るく前向きな姿勢に話をするだけで元気をもらえる。 ワイン造りのきっかけ 松井さんは関西でフレンチのシェフとして長く活躍していたが、料理人としてフランスに留学した時にナチュラルワインと出会い、魅了される。その際、現地のワイナリーでブドウ栽培とワイン醸造に携わることに。帰国後もシェフを続けたが、ワインに携わりたいという気持ちが大きくなり、ブドウ栽培から始めようと一大決心されたのだ。 北海道を始めとする日本ワインの有名産地への移住も検討したそうだが、出身地の倉敷はブドウ栽培で有名で、親元にも近い。松井さんは2010年にUターンする形で船穂に移住し、2年間の農業研修を経て、2012年にマスカット・オブ・アレキサンドリアを栽培し始める。 ▲ ワインの香りを確かめる姿からもワインが好き!という気持ちが溢れている。 マスカット・オブ・アレキサンドリアを選んだのは、 「単に好きなだけ」ではあるが、「農家の高齢化で畑が耕作放棄地になったり、シャイン・マスカットの人気で栽培を切り替える農家が増えたりする中、マスカット・オブ・アレキサンドリアが衰退するのを何とかしたいという思いが強くなった。シャイン・マスカットの人気が高くなればなるほど、負けたくないという気持ちも盛り上がった」 と胸の内を明かしてくれた。 マスカット・オブ・アレキサンドリアの全国生産量の9割以上を占める岡山県の中でも、船穂地区は一大産地だ。この地で昔から栽培されてきた愛着あるブドウを残したい。そのためにも美味しいブドウを栽培し、生食の文化を絶やさないと共に、美味しいワインを造ることで文化の裾野を広げよう!そう決心したのだ。 有機JAS認定を受けた畑での取り組み 新規就農ということもあり、纏まった土地を入手するのは難しく、少しずつ畑を拡大してきた松井さん。現在はワイナリー近辺に13の圃場が点在する形でブドウ栽培を行っている。フランスでナチュラルワインに感銘を受けたこともあってだろう、グレープ・シップではワイン用ブドウは有機栽培、醸造の過程でも人為的介入は最小限に抑えられたワイン造りが徹底されている。まずは、畑に足を踏み入れよう。 恵まれた環境の畑 ワイナリーをお邪魔したのは、大雨の翌々日でまだ曇り空が残る空模様ではあったが、雲の切れ目に日差しの強さを感じる。やはりここは「晴れの国おかやま」で、日照時間も日照量も多い場所だ。そしてワイナリーから畑に向かう途中、瀬戸内海を遠目に眺めることができる距離感で、海風を常に感じる場所。ブドウにとって最高の環境だ。 ▲ ワイナリーから畑に向かう途中の一枚。左手奥に瀬戸内海が見える。景色のいい場所だ! 耕作放棄地となったビニールハウスを譲り受けブドウ栽培しているので、雨対策もバッチリだ。また、花崗岩の上に砂質の土がある砂壌土と呼ばれる土壌環境で、水はけもよい。なお、ハウス栽培ではあるが、施肥や灌水も行わないとのことで、適度にブドウにストレスがかかる環境にあり、小粒で凝縮感のある果実が育つ。 有機JAS認定を取得 グレープ・シップでは有機JAS認定を受けた畑でワイン用ブドウを栽培している。有機JASと聞いて「あ、あのマークね」と簡単に捉えてはいけない。認定を受けるためには様々な基準を満たす必要があり、条件をクリアしていることを証明する書類作成、認定を受けるコスト等々、生産者側の負担は少なくない。「いや~大変でした!」と木曽さんはからっと笑っておられたが、その道のりは相当大変だったに違いない。 ▲ 斜面に植わる、ハウス栽培されているブドウ。 ▲ 鳥害もあるそうで、ハウスの側面にはネットをかけて対策を施している。...

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長野・リュードヴァン

長野・リュードヴァン

日本ワインコラム |リュードヴァン 北陸新幹線上田駅から車で20分強。長野県東御市にある一本の「通り」に来た。今回訪れたワイナリー、Rue de Vin(リュードヴァン:ワイン通り)だ。県内初のワイン特区として認定を受けた東御市の、ワイン特区第1号ワイナリーでもある。 ▲ 青がテーマカラーのリュードヴァン。ワイナリーの前にある青いルノーがワイナリーの目印にもなっている。 2006年にこの地でブドウ作りを始めたのが、今回取材させて頂いた代表取締役の小山さん。東御市は、今でこそ沢山の個性豊かなワイナリーが集まるエリアだが、小山さんが移住した際は、ワイナリーが1社存在するのみ。その中でポテンシャルを見出した小山さんには、叶えたい夢とそれを実現するためのビジネスプランがあった。 事業としてのワイン造り 僕のワイン造りは趣味ではなく、事業です。事業だから利益を出して、持続可能な形で経営しているのです。 強い信念と自信を感じさせる言葉だ。 趣味がダメだと言っている訳ではない。ご自身も車やバイクといった乗り物が大好きで、輸入工具を購入するなどお金を費やして楽しんでいるそうだ。けれども、ワイン造りは趣味と一線を画して向き合っている。 ▲ 乗り物好きの一面が垣間見られる、カフェに飾ってあるオブジェ。 ワイナリーを始めるきっかけで多いのが、自分が思い描くワインを造りたいという思いだ。しかし、小山さんの出発点は少し違う。 「もともとはワイン愛好家。ただ、自分がワインを飲み続ける中で、日本人が日本で海外のワインを楽しんでいるという暮らしが、所謂ワイン生産地の暮らしと大きく違うということに気付いたのです。例えば、南欧を舞台にした映画で観る世界は、大きなテーブルに家族や友人が集まって、その土地のワインを飲みながら食事を楽しむ姿。こういう、ワインと共にある幸せな暮らしがしたかった。」 この気持ち、すごくよく分かる。大皿に盛られた色とりどりの食事を大人数で分け合いながら食べる。大声で話し、笑い、時に歌い、踊りながら…ワイン片手に笑顔。誰もが幸せを感じる瞬間だ。大抵の人は、ここで出てくるワインが輸入ものでも、「ま、いっか…」となる。しかし小山さんは気付いたのだ。その土地で作られたものが食卓に並ばない限り、一過性のイベントでしかない、と。 ワインブームでは流行で終わってしまう。流行り廃りではなく、事業として継続されれば、いずれ文化として根付いてくる。そういう大きな絵を描いているのが小山さんなのだ。 転んでも立ち上がればいい 初心を忘れず立ち上がる 事業としてのワイン造りをするのであれば、定年前くらいの歳で工場長レベルになっていないといけない。となると、30歳前にはワイン造りをスタートしなければ間に合わない。そう考えた小山さんは勤めていた大手電機メーカーを29歳で退職。進む先に選んだのは、山梨にあったワイナリー。海外に飛び込むというのも一つの手ではあったが、語学のバリアもあるし、例え語学ができるようになったとしても醸造学を学んでいなければ相手にもされないだろうと考えての決断だった。 ▲ 静かに、熱く語る小山さん。その視線は常に何年も先の景色を見据えている。 そのワイナリーには5年間在籍した。結論から言えば、「ワインと共に幸せに暮らしたい」という夢から大きく乖離した職場環境で苦しかった。が、今振り返れば、その中でも学びもあった。 任された仕事は、余剰ワインから酢を造るというプロジェクトの研究開発。ワインを造りたくて入社したのに、酢を造ることになり心が折れそうになったが、製品化にまでこぎつけた。この酢を使った清涼飲料を造る過程で、ハーブやスパイスを調合する過程を繰り返したそうで、リュードヴァンで製品化している「シードル・エピス」にこの経験が活かされている。何を組み合わせたらどういう味になるのか、即座に判断できるそうだ。 また、当時、農家から巨峰を仕入れるタイミングに変化を加え、熟度の異なる巨峰の仕上がりの差を研究した。その経験があるからこそ、現在、リュードヴァンで巨峰スパークリングを造る際には、契約農家にどのタイミングで収穫してほしいか希望を伝えることで、フォクシー・フレーヴァ―(ラブルスカ種に存在する、グレープジュースやキャンディのような特徴的な香り)のない仕上がりになっている。 ▲ 棚下段の左半分に飾ってあるのがシードル・エピス(青)とシードル・エピス・ルビー(ピンク)。サイズはフルボトルの750mlと地ビールなどに使用される飲みきりの330mlの2種類で展開中。そして、下段右端にあるのが、巨峰スパークリング。鮮やかなルビー色が美しい。 転んだからこそ分かる進むべき道 仕事だからと腹をくくって山梨のワイナリーで働き続けるというオプションもあったが、小山さんには「ワインと共に幸せに暮らしたい」という譲れない夢がある。つてを必至に手繰り寄せて、長野県安曇野市にあるワイナリーへ転職することに。...

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長野・リュードヴァン

日本ワインコラム |リュードヴァン 北陸新幹線上田駅から車で20分強。長野県東御市にある一本の「通り」に来た。今回訪れたワイナリー、Rue de Vin(リュードヴァン:ワイン通り)だ。県内初のワイン特区として認定を受けた東御市の、ワイン特区第1号ワイナリーでもある。 ▲ 青がテーマカラーのリュードヴァン。ワイナリーの前にある青いルノーがワイナリーの目印にもなっている。 2006年にこの地でブドウ作りを始めたのが、今回取材させて頂いた代表取締役の小山さん。東御市は、今でこそ沢山の個性豊かなワイナリーが集まるエリアだが、小山さんが移住した際は、ワイナリーが1社存在するのみ。その中でポテンシャルを見出した小山さんには、叶えたい夢とそれを実現するためのビジネスプランがあった。 事業としてのワイン造り 僕のワイン造りは趣味ではなく、事業です。事業だから利益を出して、持続可能な形で経営しているのです。 強い信念と自信を感じさせる言葉だ。 趣味がダメだと言っている訳ではない。ご自身も車やバイクといった乗り物が大好きで、輸入工具を購入するなどお金を費やして楽しんでいるそうだ。けれども、ワイン造りは趣味と一線を画して向き合っている。 ▲ 乗り物好きの一面が垣間見られる、カフェに飾ってあるオブジェ。 ワイナリーを始めるきっかけで多いのが、自分が思い描くワインを造りたいという思いだ。しかし、小山さんの出発点は少し違う。 「もともとはワイン愛好家。ただ、自分がワインを飲み続ける中で、日本人が日本で海外のワインを楽しんでいるという暮らしが、所謂ワイン生産地の暮らしと大きく違うということに気付いたのです。例えば、南欧を舞台にした映画で観る世界は、大きなテーブルに家族や友人が集まって、その土地のワインを飲みながら食事を楽しむ姿。こういう、ワインと共にある幸せな暮らしがしたかった。」 この気持ち、すごくよく分かる。大皿に盛られた色とりどりの食事を大人数で分け合いながら食べる。大声で話し、笑い、時に歌い、踊りながら…ワイン片手に笑顔。誰もが幸せを感じる瞬間だ。大抵の人は、ここで出てくるワインが輸入ものでも、「ま、いっか…」となる。しかし小山さんは気付いたのだ。その土地で作られたものが食卓に並ばない限り、一過性のイベントでしかない、と。 ワインブームでは流行で終わってしまう。流行り廃りではなく、事業として継続されれば、いずれ文化として根付いてくる。そういう大きな絵を描いているのが小山さんなのだ。 転んでも立ち上がればいい 初心を忘れず立ち上がる 事業としてのワイン造りをするのであれば、定年前くらいの歳で工場長レベルになっていないといけない。となると、30歳前にはワイン造りをスタートしなければ間に合わない。そう考えた小山さんは勤めていた大手電機メーカーを29歳で退職。進む先に選んだのは、山梨にあったワイナリー。海外に飛び込むというのも一つの手ではあったが、語学のバリアもあるし、例え語学ができるようになったとしても醸造学を学んでいなければ相手にもされないだろうと考えての決断だった。 ▲ 静かに、熱く語る小山さん。その視線は常に何年も先の景色を見据えている。 そのワイナリーには5年間在籍した。結論から言えば、「ワインと共に幸せに暮らしたい」という夢から大きく乖離した職場環境で苦しかった。が、今振り返れば、その中でも学びもあった。 任された仕事は、余剰ワインから酢を造るというプロジェクトの研究開発。ワインを造りたくて入社したのに、酢を造ることになり心が折れそうになったが、製品化にまでこぎつけた。この酢を使った清涼飲料を造る過程で、ハーブやスパイスを調合する過程を繰り返したそうで、リュードヴァンで製品化している「シードル・エピス」にこの経験が活かされている。何を組み合わせたらどういう味になるのか、即座に判断できるそうだ。 また、当時、農家から巨峰を仕入れるタイミングに変化を加え、熟度の異なる巨峰の仕上がりの差を研究した。その経験があるからこそ、現在、リュードヴァンで巨峰スパークリングを造る際には、契約農家にどのタイミングで収穫してほしいか希望を伝えることで、フォクシー・フレーヴァ―(ラブルスカ種に存在する、グレープジュースやキャンディのような特徴的な香り)のない仕上がりになっている。 ▲ 棚下段の左半分に飾ってあるのがシードル・エピス(青)とシードル・エピス・ルビー(ピンク)。サイズはフルボトルの750mlと地ビールなどに使用される飲みきりの330mlの2種類で展開中。そして、下段右端にあるのが、巨峰スパークリング。鮮やかなルビー色が美しい。 転んだからこそ分かる進むべき道 仕事だからと腹をくくって山梨のワイナリーで働き続けるというオプションもあったが、小山さんには「ワインと共に幸せに暮らしたい」という譲れない夢がある。つてを必至に手繰り寄せて、長野県安曇野市にあるワイナリーへ転職することに。...

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