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  • 「福島屋」と「THE CELLAR」に共通する想い

    「福島屋」と「THE CELLAR」に共通する想い

    密着取材 | 福島屋 目次 まっとうな食を届ける―福島屋のこだわりとは? 「食を選ぶことの大切さ」-福島屋が目指す現代の食文化 生産・加工・販売が一体となった福島屋の強み 福島屋の厳選素材を使用するレストラン―"食を体験する場" 食のコミュニケーションを生み出す場所 共に届ける「本物の食」 まっとうな食を届ける―福島屋のこだわりとは? まだまだ寒い風が吹く2月下旬。 首都高を走る車内は、雲ひとつない快晴のおかげで上着なんて必要のない暖かさ。 東京都で最も人口の少ない市で、とても小さな羽村市。 そんな情報を裏付けるかのように、羽村市のカントリーサインを境に、拓けた道路と長閑な街並みがしばらく続く。 カーナビの示す通りに、一瞬「ここ!?」と言いたくなる所で右折してほどなく現れた小さな街並み。 道路の左右には、ここに暮らす人たちが日々買い揃えるためのスーパーがならび、日常の1ページを描く風景となっている。 「食を選ぶことの大切さ」-福島屋が目指す現代の食文化 「当たり前のものだが、よく吟味してお客様へ届けたい。」 ▲ 会長の温かい笑顔と真剣な眼差しには、「本当にいいものを届けたい」というこだわりが表れており、「この間飲んだ、1本1200円のワインが美味しかったんだよ。」と飾らない一面を垣間見ました。 「えらぶ」 「つくる」 「まなぶ」 店内に掲げられているコンセプトだ。 日本の食材の本質を学び、味わい、体験するコミュニケーションの場所を目指している。 そんなコンセプトに賛同し、私たちTHE CELLAR 六本木店と虎ノ門ヒルズ店もFUKUSHIMAYA TASTING...

    わたし流。いまイチオシのワインたち

    「福島屋」と「THE CELLAR」に共通する想い

    密着取材 | 福島屋 目次 まっとうな食を届ける―福島屋のこだわりとは? 「食を選ぶことの大切さ」-福島屋が目指す現代の食文化 生産・加工・販売が一体となった福島屋の強み 福島屋の厳選素材を使用するレストラン―"食を体験する場" 食のコミュニケーションを生み出す場所 共に届ける「本物の食」 まっとうな食を届ける―福島屋のこだわりとは? まだまだ寒い風が吹く2月下旬。 首都高を走る車内は、雲ひとつない快晴のおかげで上着なんて必要のない暖かさ。 東京都で最も人口の少ない市で、とても小さな羽村市。 そんな情報を裏付けるかのように、羽村市のカントリーサインを境に、拓けた道路と長閑な街並みがしばらく続く。 カーナビの示す通りに、一瞬「ここ!?」と言いたくなる所で右折してほどなく現れた小さな街並み。 道路の左右には、ここに暮らす人たちが日々買い揃えるためのスーパーがならび、日常の1ページを描く風景となっている。 「食を選ぶことの大切さ」-福島屋が目指す現代の食文化 「当たり前のものだが、よく吟味してお客様へ届けたい。」 ▲ 会長の温かい笑顔と真剣な眼差しには、「本当にいいものを届けたい」というこだわりが表れており、「この間飲んだ、1本1200円のワインが美味しかったんだよ。」と飾らない一面を垣間見ました。 「えらぶ」 「つくる」 「まなぶ」 店内に掲げられているコンセプトだ。 日本の食材の本質を学び、味わい、体験するコミュニケーションの場所を目指している。 そんなコンセプトに賛同し、私たちTHE CELLAR 六本木店と虎ノ門ヒルズ店もFUKUSHIMAYA TASTING...

    わたし流。いまイチオシのワインたち
  • 山梨県にあるワイナリーの特徴は?違いやおすすめ10選、ワインもあわせて紹介
    違いやおすすめ10選、ワインもあわせて紹介

    山梨県にあるワイナリーの特徴は?違いやおすすめ10選、ワインもあわせて紹介

    山梨県は、奈良時代からブドウを栽培し、明治時代にワイン醸造を始めた日本ワイン発祥の地です。今では約100のワイナリーが集まり、日本ワイン生産量の1/4強を占めるなど、ワイナリー数、生産量ともに日本一のワイン名産地です。また、近年では、山梨のワインが世界的なコンクールで受賞するなど、海外でも高く評価されています。 ワイナリーの数が多いからこそ、飲み比べが楽しい産地でもあります。本記事では、産地特性を解説すると共に、県内のおすすめワイナリーやワインも紹介します。それぞれの個性や特徴を紹介しますので、ぜひ、山梨ワインを楽しむ際にお役立て下さい! 目次 山梨県のワインの歴史 山梨県のワインの産地とその特徴 山梨県のおすすめワイナリー10選 山梨ワイナリーのおすすめワイン3選 まとめ 今すぐ山梨のワインをチェック! 1. 山梨県のワインの歴史 日本におけるブドウ栽培の歴史は長く、奈良時代に山梨県勝沼で甲州ブドウの栽培が始まったのが起源と言われています。豊かな山々に囲まれた甲府盆地があり、昼夜の寒暖差が大きい、夏と冬の気温の差が大きい、日照量が多い、年間降雨量が少ないといった内陸性の気候が甲州の栽培に適していたと考えられます。 一方、ワインが造られたのは、明治時代になってから。1870年代に甲府でワイン造りが始まり、1877年には、日本初の民間ワイナリー「大日本山梨葡萄酒会社」から高野正誠と土屋龍憲がブドウ栽培とワイン醸造の勉強のためにフランスに派遣され、彼らの帰国後、山梨県でのワイン造りが本格化していったのです。その歴史は脈々と受け継がれ、今では日本ワインの年間生産量の約26%を占める、最大規模の生産地を誇ります。 2. 山梨県のワインの産地とその特徴 山梨県のワイン造りの大半は、甲府盆地周辺で行われており、大きく4つ地域に分けられます。 甲府盆地東部 甲州市、山梨市、笛吹市を含むエリア。日本ワイン発祥の地で、山梨のワイナリーの大半が集中する、県を代表するワイン産地。傾斜地が多く、山から流れる複数の河川により形成された扇状地が入り組むことで、斜面の向きや土壌環境が様々存在するのが特徴。甲州ブドウの主要産地だが、ヨーロッパ系品種の栽培も進む。 甲府盆地中央部 甲府市を含むエリア。ワイン産地の中では珍しい盆地の底部に位置する。土壌は水分の多く含まれる粘土質なので、ブドウ栽培は水はけのよい場所を選んで行われている。県内他地域に比べ、平均気温が高く、収穫時期が早め。 甲府盆地北西部 北斗市、韮崎市、甲斐市を含むエリア。2000年頃から開拓が進み、新規ワイナリーが増えている注目が集まる場所。県内他地域よりも標高の高いエリアにも畑が広がっているのが特徴。標高が高いエリアほど、気温や降水量が低い一方、日照量に恵まれる傾向にあり、ヨーロッパ系品種のブドウが多く栽培され、評価も高い。 甲府盆地西部 背後に南アルプスを背負う形の広大な扇状地で、甲州の栽培がメイン。 3. 山梨県のおすすめワイナリー10選 ここからは、山梨県のおすすめワイナリーを地域毎に解説していきます。 甲府盆地東部にあるおすすめワイナリー 以下で詳細説明するワイナリー以外にも、98wines、本坊酒造 、マルス山梨ワイナリー、サントネージュワインといった地域を代表するワイナリーが多数存在します。...

    ワインの豆知識
    違いやおすすめ10選、ワインもあわせて紹介

    山梨県にあるワイナリーの特徴は?違いやおすすめ10選、ワインもあわせて紹介

    山梨県は、奈良時代からブドウを栽培し、明治時代にワイン醸造を始めた日本ワイン発祥の地です。今では約100のワイナリーが集まり、日本ワイン生産量の1/4強を占めるなど、ワイナリー数、生産量ともに日本一のワイン名産地です。また、近年では、山梨のワインが世界的なコンクールで受賞するなど、海外でも高く評価されています。 ワイナリーの数が多いからこそ、飲み比べが楽しい産地でもあります。本記事では、産地特性を解説すると共に、県内のおすすめワイナリーやワインも紹介します。それぞれの個性や特徴を紹介しますので、ぜひ、山梨ワインを楽しむ際にお役立て下さい! 目次 山梨県のワインの歴史 山梨県のワインの産地とその特徴 山梨県のおすすめワイナリー10選 山梨ワイナリーのおすすめワイン3選 まとめ 今すぐ山梨のワインをチェック! 1. 山梨県のワインの歴史 日本におけるブドウ栽培の歴史は長く、奈良時代に山梨県勝沼で甲州ブドウの栽培が始まったのが起源と言われています。豊かな山々に囲まれた甲府盆地があり、昼夜の寒暖差が大きい、夏と冬の気温の差が大きい、日照量が多い、年間降雨量が少ないといった内陸性の気候が甲州の栽培に適していたと考えられます。 一方、ワインが造られたのは、明治時代になってから。1870年代に甲府でワイン造りが始まり、1877年には、日本初の民間ワイナリー「大日本山梨葡萄酒会社」から高野正誠と土屋龍憲がブドウ栽培とワイン醸造の勉強のためにフランスに派遣され、彼らの帰国後、山梨県でのワイン造りが本格化していったのです。その歴史は脈々と受け継がれ、今では日本ワインの年間生産量の約26%を占める、最大規模の生産地を誇ります。 2. 山梨県のワインの産地とその特徴 山梨県のワイン造りの大半は、甲府盆地周辺で行われており、大きく4つ地域に分けられます。 甲府盆地東部 甲州市、山梨市、笛吹市を含むエリア。日本ワイン発祥の地で、山梨のワイナリーの大半が集中する、県を代表するワイン産地。傾斜地が多く、山から流れる複数の河川により形成された扇状地が入り組むことで、斜面の向きや土壌環境が様々存在するのが特徴。甲州ブドウの主要産地だが、ヨーロッパ系品種の栽培も進む。 甲府盆地中央部 甲府市を含むエリア。ワイン産地の中では珍しい盆地の底部に位置する。土壌は水分の多く含まれる粘土質なので、ブドウ栽培は水はけのよい場所を選んで行われている。県内他地域に比べ、平均気温が高く、収穫時期が早め。 甲府盆地北西部 北斗市、韮崎市、甲斐市を含むエリア。2000年頃から開拓が進み、新規ワイナリーが増えている注目が集まる場所。県内他地域よりも標高の高いエリアにも畑が広がっているのが特徴。標高が高いエリアほど、気温や降水量が低い一方、日照量に恵まれる傾向にあり、ヨーロッパ系品種のブドウが多く栽培され、評価も高い。 甲府盆地西部 背後に南アルプスを背負う形の広大な扇状地で、甲州の栽培がメイン。 3. 山梨県のおすすめワイナリー10選 ここからは、山梨県のおすすめワイナリーを地域毎に解説していきます。 甲府盆地東部にあるおすすめワイナリー 以下で詳細説明するワイナリー以外にも、98wines、本坊酒造 、マルス山梨ワイナリー、サントネージュワインといった地域を代表するワイナリーが多数存在します。...

    ワインの豆知識
  • 山形・酒井ワイナリー vol.2

    山形・酒井ワイナリー vol.2

    日本ワインコラム |酒井ワイナリー/ Vol.2 / vol.1 はこちら 初めて酒井ワイナリー5代目当主の酒井一平さんを取材したのは約5年前。クロード・レヴィ=ストロースが唱えた構造主義や、同氏の代表作『野生の思考』の中で紹介されている「ブリコラージュ(日曜大工)」という概念を織り交ぜながら、ご自身のワイン造りについて語ってくれた。 今回も、ちょっと小難しい…(すみません!汗)、もとい、哲学的で思索的な印象はそのままに、更なるステージへ足を踏み入れている姿をみせてくれた。他のワイナリーの方々と話をしていると、酒井さんを「超人的」と評されるのをよく耳にする。点在する耕作放棄地を管理するだけでも大変なのに、化学農薬、殺虫剤、化学肥料、除草剤無しでブドウを栽培。そして、東北最古のワイナリーの当主という立場もあってか、様々な役職にも付いている。確固たる信念があるからこその行動だとは思うが、なかなかできないことだ。 今回は、そんな「超人的な」酒井さんの考え方の軸となる部分や現在の様子、そして今後の展望や課題について話を伺った。 ▲ 絵本に出てきそうな愛らしさのワイナリー外観。ワイナリーは赤湯温泉街にあり、そぞろ歩きも楽しめる。 『その土地の普通』を追い求めて 酒井ワイナリーは、1892年創業の東北で最も長い歴史を持つワイナリーだ。2004年に酒井さんが5代目を継いで20年強が経過している。今でこそ、「酒井ワイナリー=自然な造りのワイン」というイメージを持っておられる方が多いと思うが、化学農薬、殺虫剤、化学肥料、除草剤無しでブドウを育て、野生酵母で発酵し、無清澄・無濾過、亜硫酸は極少量ないし無添加でワインに仕上げる、という全行程が確立したのは、5代目になってからである。このスタイルに行きついた背景には何があるのだろうか? ▲ ワイナリーの中に貼られている酒井ワイナリーの歴史。 昔、(ドメーヌ・オヤマダの)小山田さんが主宰していた若手勉強会に参加した際に、自分で醸造したワインを持って行ったことがあるんです。『どうやって造ったの?』と聞かれたので、『普通に造りました』と答えたら、『普通って何?』って聞かれたんです。その時に絶句してしまって。自分の言う『普通』って何なんだろう?と凄く考えるようになりました。そこから、様々な書物を読んだりして自分なりに思考を深めたんです。 こんな禅問答がある勉強会に恐ろしさを感じなくもないが、この出来事をきっかけに、構造主義を始めとする哲学書や自然科学の本を読み漁るというところが、酒井さんが酒井さんたる所以なのかもしれない。 ▲ 深い思考を重ねた上で、ワイン造りに向き合う酒井さん。 『その土地における普通のワインとは何だ?』という問いを突き付けられたと考え、そこから、『その土地における文化的普遍性とは何か?』と考えを深めました。そして、自分の中で辿り着いた答えが、『その地域における自然の有り様』だったのです。自然は一定ではなく、万物流転で変化し続けますが、その中でその土地特有のものが生まれます。 ▲ 酒井さんのインスタより。畑の草刈りをしている時にヨシキリの巣を発見したとのこと。畑には多様な生き物が生息しているのだ。 その上で、ブドウ栽培における酒井さんの考えが続く。 だから、例えば自分の畑は『ブドウ畑』とは思っていません。牧草も植えているし、桜を始めとした色んな木が植わっています。あらゆる生き物の力に頼った畑なのです。畑にブドウと人間しかいないというのは不自然、つまりその土地の農作物ではなくなり、普遍性から離れる。だから除草剤や殺虫剤を用いて、微生物を始めとする生き物を殺すことはしない。たとえ、出来上がるブドウがどんなにきれいでも。畑の環境も森に近づけたいと思っています。 ワイン醸造においても、この考えが根底にある。 「ワインを野生酵母で発酵するのは、野生酵母で造った方が美味しいからという理由ではなくて、その土地で全てを自給することで初めて、その土地のブドウやワインの文化ができると考えているからです。ルイ・パスツールの発見によってワインは高品質且つ安定的なものになったかもしれないが、同時に優生的な思想を生み出した。ここから離れるべきだと考えています。」 因みに、ルイ・パスツールは「細菌学の父」と言われる偉大な人物で、アルコール発酵が酵母によるものだと発見したり、ワインの腐敗を防ぐため、微生物を殺菌する低温殺菌法を生み出したりした人物で、現代のワイン造りの父と言える人物だ。酒井さんの「優生的な思想から離れるべき」というのは、微生物をすべからく悪と考える思想にNOと言いたいということだろう。 「ワインはその土地を知る最良の方法の一つ」と酒井さんは言う。ヴィンテージ差もあるし、土地と品種の相性もある。造り手の思想も反映されやすい。そして、土地の歴史を感じるものでもある。例えば、赤湯は今でこそデラウェアの生産量は隣の高畠町より少ないが、長く日本一を誇っていた。土地の微生物を含め、栽培環境とデラウェアを始めとするブドウ栽培がマッチしているのだ。 全ては循環する ー ミッシングリンクは動物だった 酒井ワイナリーの近辺には3つの山がある—...

    日本ワインコラム

    山形・酒井ワイナリー vol.2

    日本ワインコラム |酒井ワイナリー/ Vol.2 / vol.1 はこちら 初めて酒井ワイナリー5代目当主の酒井一平さんを取材したのは約5年前。クロード・レヴィ=ストロースが唱えた構造主義や、同氏の代表作『野生の思考』の中で紹介されている「ブリコラージュ(日曜大工)」という概念を織り交ぜながら、ご自身のワイン造りについて語ってくれた。 今回も、ちょっと小難しい…(すみません!汗)、もとい、哲学的で思索的な印象はそのままに、更なるステージへ足を踏み入れている姿をみせてくれた。他のワイナリーの方々と話をしていると、酒井さんを「超人的」と評されるのをよく耳にする。点在する耕作放棄地を管理するだけでも大変なのに、化学農薬、殺虫剤、化学肥料、除草剤無しでブドウを栽培。そして、東北最古のワイナリーの当主という立場もあってか、様々な役職にも付いている。確固たる信念があるからこその行動だとは思うが、なかなかできないことだ。 今回は、そんな「超人的な」酒井さんの考え方の軸となる部分や現在の様子、そして今後の展望や課題について話を伺った。 ▲ 絵本に出てきそうな愛らしさのワイナリー外観。ワイナリーは赤湯温泉街にあり、そぞろ歩きも楽しめる。 『その土地の普通』を追い求めて 酒井ワイナリーは、1892年創業の東北で最も長い歴史を持つワイナリーだ。2004年に酒井さんが5代目を継いで20年強が経過している。今でこそ、「酒井ワイナリー=自然な造りのワイン」というイメージを持っておられる方が多いと思うが、化学農薬、殺虫剤、化学肥料、除草剤無しでブドウを育て、野生酵母で発酵し、無清澄・無濾過、亜硫酸は極少量ないし無添加でワインに仕上げる、という全行程が確立したのは、5代目になってからである。このスタイルに行きついた背景には何があるのだろうか? ▲ ワイナリーの中に貼られている酒井ワイナリーの歴史。 昔、(ドメーヌ・オヤマダの)小山田さんが主宰していた若手勉強会に参加した際に、自分で醸造したワインを持って行ったことがあるんです。『どうやって造ったの?』と聞かれたので、『普通に造りました』と答えたら、『普通って何?』って聞かれたんです。その時に絶句してしまって。自分の言う『普通』って何なんだろう?と凄く考えるようになりました。そこから、様々な書物を読んだりして自分なりに思考を深めたんです。 こんな禅問答がある勉強会に恐ろしさを感じなくもないが、この出来事をきっかけに、構造主義を始めとする哲学書や自然科学の本を読み漁るというところが、酒井さんが酒井さんたる所以なのかもしれない。 ▲ 深い思考を重ねた上で、ワイン造りに向き合う酒井さん。 『その土地における普通のワインとは何だ?』という問いを突き付けられたと考え、そこから、『その土地における文化的普遍性とは何か?』と考えを深めました。そして、自分の中で辿り着いた答えが、『その地域における自然の有り様』だったのです。自然は一定ではなく、万物流転で変化し続けますが、その中でその土地特有のものが生まれます。 ▲ 酒井さんのインスタより。畑の草刈りをしている時にヨシキリの巣を発見したとのこと。畑には多様な生き物が生息しているのだ。 その上で、ブドウ栽培における酒井さんの考えが続く。 だから、例えば自分の畑は『ブドウ畑』とは思っていません。牧草も植えているし、桜を始めとした色んな木が植わっています。あらゆる生き物の力に頼った畑なのです。畑にブドウと人間しかいないというのは不自然、つまりその土地の農作物ではなくなり、普遍性から離れる。だから除草剤や殺虫剤を用いて、微生物を始めとする生き物を殺すことはしない。たとえ、出来上がるブドウがどんなにきれいでも。畑の環境も森に近づけたいと思っています。 ワイン醸造においても、この考えが根底にある。 「ワインを野生酵母で発酵するのは、野生酵母で造った方が美味しいからという理由ではなくて、その土地で全てを自給することで初めて、その土地のブドウやワインの文化ができると考えているからです。ルイ・パスツールの発見によってワインは高品質且つ安定的なものになったかもしれないが、同時に優生的な思想を生み出した。ここから離れるべきだと考えています。」 因みに、ルイ・パスツールは「細菌学の父」と言われる偉大な人物で、アルコール発酵が酵母によるものだと発見したり、ワインの腐敗を防ぐため、微生物を殺菌する低温殺菌法を生み出したりした人物で、現代のワイン造りの父と言える人物だ。酒井さんの「優生的な思想から離れるべき」というのは、微生物をすべからく悪と考える思想にNOと言いたいということだろう。 「ワインはその土地を知る最良の方法の一つ」と酒井さんは言う。ヴィンテージ差もあるし、土地と品種の相性もある。造り手の思想も反映されやすい。そして、土地の歴史を感じるものでもある。例えば、赤湯は今でこそデラウェアの生産量は隣の高畠町より少ないが、長く日本一を誇っていた。土地の微生物を含め、栽培環境とデラウェアを始めとするブドウ栽培がマッチしているのだ。 全ては循環する ー ミッシングリンクは動物だった 酒井ワイナリーの近辺には3つの山がある—...

    日本ワインコラム
  • ラリュー ブルゴーニュ・アリゴテ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2020

    ラリュー ブルゴーニュ・アリゴテ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2020

    Go to slide 1 Go to slide 2 Go to slide 3 Go to slide 4 小山田 わいじょりーな 吉川 本名 いとう 山本 人見 時田 菅原 吉永 CASE 01 秋晴れのお天気に誘われて・・・ Cave...

    Staff Blog ~僕の、私の、ワインのある暮らし

    ラリュー ブルゴーニュ・アリゴテ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2020

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  • ドメーヌ デ ロッシュ ヌーヴ - ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ
    優しさとフィネス感じる、エモーショナルなワイン

    ドメーヌ デ ロッシュ ヌーヴ - ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ

    ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ。元々、ボルドーのヴィニュロン家系に生まれ育ったティエリー・ジェルマン氏がビオロジックを志して移り住んだのが、ロワールという歴史ある地。風景、土壌、光、そしてロワール川に惹かれ、「ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ」を引き継ぐ提案があったのも幸いしソミュールの地でヴィニュロンになることを決意した。クロ・ルジャールのシャルリー・フコーや、著名なビオディナミコンサルタントのフランソワ・ブーシェ、そしてルーションのドメーヌ・ゴビーのジェラール・ゴビーに出会ったのがきっかけで、ビオディナミを実践していくこととなった。 ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ 2022.11.10 --- writer Honna web サイト https://rochesneuves.com/ 目次 「ぶどう樹を対等な存在として敬意を払い理解する」という哲学 醸造の過程もぶどうに対して愛があふれる 丁寧な仕事ぶりとロワールのエモーションを感じるワイン 現地の評価の高さから、日本でもいずれ人気になることは間違いない 造り手のホンネに迫る?|質問状 元々、ボルドーのヴィニュロン家系に生まれ育ったティエリー・ジェルマン氏がビオロジックを志して移り住んだのが、ロワールという歴史ある地。風景、土壌、光、そしてロワール川に惹かれ、「ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ」を引き継ぐ提案があったのも幸いしソミュールの地でヴィニュロンになることを決意した。 クロ・ルジャールのシャルリー・フコーや、著名なビオディナミコンサルタントのフランソワ・ブーシェ、そしてルーションのドメーヌ・ゴビーのジェラール・ゴビーに出会ったのがきっかけで、ビオディナミを実践していくこととなった。 1. 「ぶどう樹を対等な存在として敬意を払い理解する」という哲学 ぶどうの樹に愛を注げば注ぐほど、ぶどう樹はその愛に応えてくれると語るティエリー氏。 発芽前には、樹液の流れを妨げないように、樹の生え方などに応じて樹の語りかけを聞きながら選定。発芽の時期はぶどう樹が垂直に育つよう、新梢が重ならないよう、自由に呼吸できるよう、自然な流れで育てる。そして、夏季はぶどうの蔓を伸ばし、ぶどう自身の生育サイクルを妨げず、実が育つよう導く。なにより、ポジティヴな気持ちで仕事をすること。 彼のぶどうに対する考え方はまるで大切な我が子を育てているかのよう。畑仕事は流麗であり、それがワインの味わいにも反映されている。自然の力を秘めた、美しいワインができあがる。 2. 醸造の過程もぶどうに対して愛があふれる 一番驚き、なるほどと思ったのが「育ったテロワールに合わせて、醸造・熟成する容器を選択していること。」 粘土質豊かな土壌はスペースが必要であり、力強さがある土壌だから広さが必要で、円形の幅の広い樽で熟成させる。一方で、石灰質豊かな土壌は垂直的だから、楕円形の縦型の樽を使用する。 土壌=容器と考えている生産者は世界中を見回してもそういないだろう。 この話を聞くだけで、彼の土壌違いのワインを試したくなるのは私だけではないはず。 3.丁寧な仕事ぶりとロワールのエモーションを感じるワイン 洗練されたブルゴーニュのようなピノ・ノワールと、ピュアでエレガントなドイツのリースリングと表現されるように、ロッシュ・ヌーヴのワインにはフィネスと洗練された奥行きのある味わいが感じられる。...

    造り手のホンネに迫る。
    優しさとフィネス感じる、エモーショナルなワイン

    ドメーヌ デ ロッシュ ヌーヴ - ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ

    ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ。元々、ボルドーのヴィニュロン家系に生まれ育ったティエリー・ジェルマン氏がビオロジックを志して移り住んだのが、ロワールという歴史ある地。風景、土壌、光、そしてロワール川に惹かれ、「ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ」を引き継ぐ提案があったのも幸いしソミュールの地でヴィニュロンになることを決意した。クロ・ルジャールのシャルリー・フコーや、著名なビオディナミコンサルタントのフランソワ・ブーシェ、そしてルーションのドメーヌ・ゴビーのジェラール・ゴビーに出会ったのがきっかけで、ビオディナミを実践していくこととなった。 ボルドーからロワール、そしてビオディナミへ 2022.11.10 --- writer Honna web サイト https://rochesneuves.com/ 目次 「ぶどう樹を対等な存在として敬意を払い理解する」という哲学 醸造の過程もぶどうに対して愛があふれる 丁寧な仕事ぶりとロワールのエモーションを感じるワイン 現地の評価の高さから、日本でもいずれ人気になることは間違いない 造り手のホンネに迫る?|質問状 元々、ボルドーのヴィニュロン家系に生まれ育ったティエリー・ジェルマン氏がビオロジックを志して移り住んだのが、ロワールという歴史ある地。風景、土壌、光、そしてロワール川に惹かれ、「ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ」を引き継ぐ提案があったのも幸いしソミュールの地でヴィニュロンになることを決意した。 クロ・ルジャールのシャルリー・フコーや、著名なビオディナミコンサルタントのフランソワ・ブーシェ、そしてルーションのドメーヌ・ゴビーのジェラール・ゴビーに出会ったのがきっかけで、ビオディナミを実践していくこととなった。 1. 「ぶどう樹を対等な存在として敬意を払い理解する」という哲学 ぶどうの樹に愛を注げば注ぐほど、ぶどう樹はその愛に応えてくれると語るティエリー氏。 発芽前には、樹液の流れを妨げないように、樹の生え方などに応じて樹の語りかけを聞きながら選定。発芽の時期はぶどう樹が垂直に育つよう、新梢が重ならないよう、自由に呼吸できるよう、自然な流れで育てる。そして、夏季はぶどうの蔓を伸ばし、ぶどう自身の生育サイクルを妨げず、実が育つよう導く。なにより、ポジティヴな気持ちで仕事をすること。 彼のぶどうに対する考え方はまるで大切な我が子を育てているかのよう。畑仕事は流麗であり、それがワインの味わいにも反映されている。自然の力を秘めた、美しいワインができあがる。 2. 醸造の過程もぶどうに対して愛があふれる 一番驚き、なるほどと思ったのが「育ったテロワールに合わせて、醸造・熟成する容器を選択していること。」 粘土質豊かな土壌はスペースが必要であり、力強さがある土壌だから広さが必要で、円形の幅の広い樽で熟成させる。一方で、石灰質豊かな土壌は垂直的だから、楕円形の縦型の樽を使用する。 土壌=容器と考えている生産者は世界中を見回してもそういないだろう。 この話を聞くだけで、彼の土壌違いのワインを試したくなるのは私だけではないはず。 3.丁寧な仕事ぶりとロワールのエモーションを感じるワイン 洗練されたブルゴーニュのようなピノ・ノワールと、ピュアでエレガントなドイツのリースリングと表現されるように、ロッシュ・ヌーヴのワインにはフィネスと洗練された奥行きのある味わいが感じられる。...

    造り手のホンネに迫る。