キャンティ・クラシコ(Chianti Classico)は、イタリア・トスカーナ州で生産される赤ワインの一つです。「キャンティ」はトスカーナ州の中央部にある地方の名称で、「クラシコ」は「古典的」や「伝統的」という意味を持ちます。その名の通り、キャンティ・クラシコはこの地域で長い歴史を誇るワインです。
このワインの最大の特徴は、使用されるブドウ品種にあります。キャンティ・クラシコは、イタリアを代表する黒ブドウ品種「サンジョヴェーゼ」を最低80%以上使用しなければなりません。これは厳格な規定によって定められており、品質の高さを維持するための重要なポイントとなっています。
また、本物のキャンティ・クラシコには「ガッロ・ネーロ(Gallo
Nero)」という黒い雄鶏のシンボルマークがボトルの首部分や背ラベルに付けられています。このマークは、1924年に設立されたキャンティ・クラシコ協会によって認定された証であり、消費者が本物のキャンティ・クラシコを見分けるための重要な目印となっています。
ブドウの品種とワインの味わい
キャンティ・クラシコの主なブドウ品種はサンジョヴェーゼで、全体の80~100%を占めます。補助品種として、最大20%までの黒ブドウ(メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンなど)の使用が認められています。
サンジョヴェーゼは、強い酸味と渋みが特徴のイタリアを代表する黒ブドウ品種です。暑い年には濃厚でアルコール度数が高くなり、長期熟成に適したワインが生まれます。一方、涼しい年には酸味とタンニンがより際立つワインになる傾向があります。
さらに、キャンティ・クラシコには熟成期間の規定も設けられており、最低でも11ヶ月の樽熟成が必要とされています。この熟成によって、ワインに深みと複雑な風味が生まれます。果実味が強いものは、メルロー主体のボルドーワインのような印象を与えることもあります。
キャンティ・クラシコとキャンティの違い
キャンティ・クラシコとよく混同されるのが「キャンティ」です。両者は同じトスカーナ州で生産されるワインですが、いくつかの重要な違いがあります。
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産地の違い
キャンティ・クラシコは、トスカーナ州の中でも特定の地域で生産されるワインであり、厳格な品質管理がなされています。一方、キャンティはより広範な地域で生産されるため、品質にばらつきがあることが特徴です。 -
格付けの違い
キャンティ・クラシコは、1996年にD.O.C.G.(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)に認定されました。D.O.C.G.はイタリアワインの格付けの中で最上位にあたります。一方でキャンティも1984年にD.O.C.G.に認定されましたが、クラシコほどの厳しい規定は設けられていません。 -
価格の違い
キャンティ・クラシコは1,500円台から高級なものでは数万円するワインまで幅広く、一般的に品質が高いとされています。一方でキャンティは比較的安価で1,000円前後で購入できるものが多く、安いものでは500円程度のものもあります。
キャンティ・クラシコに合う料理
キャンティ・クラシコは、渋みと酸味のバランスが取れた味わいから、しっかりとした味付けの肉料理と相性が抜群です。
赤身の牛肉や羊肉を使用したステーキやローストビーフ、赤ワイン煮込みなどがおすすめです。トマトベースの料理との相性もよいので、ボロネーゼソースを使ったパスタやトマトベースのチーズピザとの相性も抜群です。
また、ローズマリーやタイムといったハーブを効かせた料理とも好相性なので、イタリアンスタイルのラムチョップやポルケッタ(イタリア風ローストポーク)がおすすめです。
キャンティ・クラシコは、単体で楽しむだけでなく、食事とのペアリングによってその魅力を最大限に引き出すことができるワインです。ワインと料理のマリアージュを楽しみながら、イタリアの風味を存分に味わってみてはいかがでしょうか?