2024.03.04

キャンティクラシコの味わいの特徴や造り方、産地を解説!おすすめのワインも紹介

 

キャンティ・クラシコとはイタリアのトスカーナ州を代表するワインの一つです。
土着品種のサンジョヴェーゼを主体としたワインで、若いうちはタンニンのしっかりとした印象をもちます。実は“キャンティ・クラシコ”と“キャンティ”は異なるワインで、もともとはキァンティという名の一つのワインでしたが、ある事がきっかけで別々の規定により区別されるようになりました。
本記事ではキャンティ・クラシコの基本的な知識や、どのようにワインを選択していけば良いかを紹介していきたいと思います。

キャンティ・クラシコとは?

キャンティ・クラシコとは、イタリアのトスカーナ州で生産されるワインの一つです。キャンティとはトスカーナ州の中央部にある地方の名で、クラシコは“古典的”という意味を持ちます。
トスカーナの最重要品種であるサンジョヴェーゼというブドウを最低80%以上使用しないとキャンティ・クラシコと認められない厳しい規定があります。(通常のキャンティは75%以上)
1924年に設立された品質保護協会(キャンティ・クラシコ協会)により、本物のキャンティ・クラシコには、「ガッロ・ネーロ」という黒い雄鶏をシンボルマークとしてボトルの首部分や背ラベルにつけることが定められています。

キャンティ・クラシコの産地はイタリアのトスカーナ

キャンティ・クラシコはトスカーナ州の中央部に位置するキャンティ地方で造られております。現在ではキャンティ・クラシコ※D.O.C.G.として単独のD.O.C.G.認定を持っています。
※D.O.C.G.(イタリアワインの格付けにおいて最上位の等級)
使用品種の80%はサンジョヴェーゼと定められており、20%までは決められた地域で収穫された黒ブドウあればブレンドが可能です。2006年までは白ブドウも認可されていましたが、規定改革により2006年以降は黒ブドウ100%で作られるようになりました。
なお、サンジョヴェーゼは南北アメリカ大陸でも栽培されている国際的な品種で、現在ではオーストラリアのヴィクトリア州でも栽培している生産者が多く、日本においても試験的に栽培している生産者が増加傾向にあります。

キャンティ・クラシコの味わい

キャンティ・クラシコの主要品種であるサンジョヴェーゼは、強い酸味とやや強い渋みが特徴的です。果実味の強さによってはメルロー主体のボルドーワインに似たような雰囲気も感じられます。
骨格または柔らかさを出すために、ほかのブドウ品種とブレンドしていることもあり、酸味と甘みのバランスが取れた品質の高いワインが生産されています。また、キャンティ・クラシコD.O.C.G.も栽培されている場所や標高により、土壌が異なります。標高が高いとされているラッダ村やカステリーナ村ではより繊細でエレガントなワインが多く作られています。

キャンティ・クラシコの歴史と名前の由来

本来、キャンティ地方で造られたワインはすべてキャンティ(キアンティ)と呼ばれていましたが、1870年頃、リカゾーリ男爵という人物によってそれまで硬くて飲みづらかったサンジョヴェーゼに白ブドウを混ぜて飲みやすくする「フォルムラ」と呼ばれる黄金比が考案されました。
さらには古典的なボルドー瓶ではなく、「フィアスコ」と呼ばれる藁に包まれた独特の形状のボトルに変えることで、一般家庭の「安酒」として世界的にも普及するようになりました。
しかし、世界的に人気になったキャンティは生産地域が拡大し、地方以外の周辺地域で造られたワインも「キャンティ」と名乗って販売されるようになってしまいました。
上質なワインとほかの地域のワインが混在してしまうことに危機感を感じた古くからの生産者たちは1924年にキャンティクラシコ協会を設立し、1996年にはキャンティと区別してキャンティ「クラシコ」として名乗れるようD.O.C.G.に認定されました。
「伝統的・古典的」といった意味を持つクラシコではキァンティよりも厳しい規定を設けられ、今でもその品質を守られています。

キャンティ・クラシコの醸造法や熟成期間

現在、キャンティ・クラシコは協会が定めた醸造法に従って造られており、ブドウ栽培からワインのボトリング(瓶詰め)まで、全ての工程をキャンティ・クラシコ地区内で行うなどの条件をクリアしたワインのみがキァンティ・クラシコと名乗ることを許されます。
また、キャンティが4ヶ月熟成するのに対してキャンティ・クラシコでは最低でも12ヶ月熟成されます。
このスタンダードな12ヶ月熟成がアンナータ、より厳しい規定をキャンティ・クラシコ・ リゼルヴァ、そしてリゼルヴァより上級のキャンティ・クラシコ・ グラン・セレツィオーネが2014年に制定されました。
キャンティ・クラシコ・ リゼルヴァは凝縮感のあるサワーチェリー、ザクロやスミレの香りと味わいはしっかりとしながらも滑らかなタンニンが楽しめます。
最上の格付けをされたキャンティ・クラシコ・ グラン・セレツィオーネは全体の5%ほどですが、卓越した香りと味わい、そして長期熟成が可能な極上のスタイルです。

キァンティ・クラシコDOCGの熟成規定

アンナータ

リリースは収穫翌年の101日以降のみ

80%以上がサンジョヴェーゼ

リゼルヴァ

収穫翌年の1月から最低24ヶ月熟成(うち瓶内3ヶ月)

80%以上がサンジョヴェーゼ

グラン・セレツィオーネ

収穫翌年の1月から最低30ヶ月熟成(うち瓶内3ヶ月)

90%以上がサンジョヴェーゼである

自社ブドウ、もしくは長期間契約している栽培農家のブドウを使用する

キャンティクラシコが人気な理由

キャンティ・クラシコの人気の理由は香り高く優美な品質の高さだけでなく、生産者たちの取り組みも挙げられます。キャンティ・クラシコ協会の設立当初は33生産者でしたが、現在では600以上が加盟しております。
1996年にサンジョヴェーゼ100%の使用が認められ、2000年にはほかの品種とのブレンド比率は20%までとなり、2006年には白ブドウとのブレンドを全面的に禁止するなど常に品質の向上を求めて活動しています。
厳しすぎるとも言われている規定ではありますが、協会の改革により、キャンティクラシコは重厚で優美な高級ワインとしてのブランドを確立させたと言えます。

キャンティクラシコにおすすめの料理

キャンティ・クラシコは渋みと酸味のバランスが取れている赤ワインのため、しっかりと味付けされたお肉料理に合わせやすいです。また、トマトを使用したソースなどが相性良く、ミートソースのパスタやトマトベースのピザが地元では楽しまれています。
ハーブを使用した子羊や牛肉の赤ワイン煮込みなどもおすすめです。

キャンティとの違い

キャンティ・クラシコはキャンティと比較や混同されることが多いですが、キャンティがトスカーナ州のシエナを中心とする幅広い地域で造られているものに対して、キャンティ・クラシコは定められた地方でのみの生産を許されています。
味わいとしては、キャンティ・クラシコに比べると柔らかな口当たりで親しみやすく安価です。キャンティでは使用できるブドウ品種がキャンティ・クラシコより多く、また最低熟成期間も短いのが理由の一つとして挙げられます。
日本でも1990年代に発生したイタリア料理ブームのときに「イタリア料理は親しみやすくてリーズナブル」というイメージが定着し、同時に輸入されていたイタリアワインのキャンティが安価なワインとして広まったとされています。

おすすめのキャンティクラシコ3選

今回のおすすめを3種類ご紹介させていただきます。(御社サイトでキャンティ・クラシコを取り上げている数が3つとなり、売り切れの商品も取り上げております)
現在発売中のワインはマッツェイ・フォンテルートリ・ フォンテルートリ・キャンティ・クラシコ(ハーフ) 2019をぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。

マッツェイ・フォンテルートリ フォンテルートリ・キャンティ・クラシコ 2019 (ハーフ)

12ヶ月熟成させたキャンティ・クラシコ「アンナータ」で2種類の大きさの樽を使用し、うちは40%新樽です。
滑らかな口当たりのまろやかなワインで、ダークチェリーや樽由来のスパイスの風味が特徴的です。
また、ハーフボトルのため量が少なく、お手頃な価格のため、キャンティクラシコを試してみたい方には大変おすすめです

ラーモレ・ディ・ラーモレ キアンティ・クラッシコ 2020

ワイン一家のスペシャリストが造る赤ワインで比較的標高の高い畑で栽培されています。
ラズベリーやレッドチェリーの赤い果実に加えて、美しい酸味のあるエレガントな味わいを楽しめます。余韻にはスパイスとハーブ、そして酸とタンニンの絶妙なバランスが残ります。
キャンティ・クラシコのスタイルの中ではエレガントな部類なので普段の食事をより味わい深く楽しみたい方におすすめのワインです。

マッツェイ・フォンテルートリ キャンティ・クラシコ グラン・セレツィオーネ 2020

6世紀に渡りワイン生産を行う造り手一族の赤ワインでエレガンスを追求し続けることを目指しています。
長期熟成されたこのワインはポプリなどのドライフラワーや赤系、黒系果実とスパイスの複雑な風味がしっかりと感じられます。
また、キャンティ・クラシコでは比較的稀なサンジョヴェーゼのみを使用しているキャンティ・クラシコのため、サンジョヴェーゼのポテンシャルを深く味わいたい方におすすめです。

まとめ

キャンティ・クラシコはイタリアのトスカーナ州を代表する赤ワインであり、過去の歴史から安ワインと混同されてしまうこともありましたが、長い時間をかけて高級ワインとしてのブランドを確立させました。
現在では、厳しい規定の元で本物のキャンティ・クラシコが造られているため、キャンティと飲み比べてみるとその違いがはっきりと認識できると思います。
スタンダードなキャンティとキャンティ・クラシコを是非飲み比べてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

高松 亨

高松 亨

CMS認定 マスターソムリエ
オーストラリア・シドニー出身。当時24歳にして世界最難関とも呼ばれるマスターソムリエに最年少、日本人として初めて合格。
現在は地域おこし協力隊として北海道・余市のドメーヌ・タカヒコにて研修中。