リースリングは白ワインに使われる高貴な白ブドウ品種です。小粒で黄緑色の果皮を持ち、豊かな酸味と果実味のバランスが整ったワインに仕上がります。
リースリングから造られるワインの種類は非常に幅広く、シャープな辛口ワインから、貴腐ワイン、アイスワインといった極甘口のデザートワインまで多岐にわたります。ブドウ自体は繊細ですが、適応力が高く、冷涼な気候や痩せた土壌でもしっかりと個性を表現できるため、「テロワール(産地の個性)を映す鏡」とも称されるブドウ品種です。また、どんなスタイルでもエレガントな酸味と繊細な香りを失わないところが魅力の一つといえます。
歴史
リースリングの発祥はドイツとされており、1435年にリュッセルスハイム市の会計明細書に記載があるのが最古の記録です。とくに、ラインガウ地方とモーゼル地方がリースリング栽培の伝統を長く持つ地として知られています。
17〜18世紀には、ドイツ国内で国が推奨するブドウ品種とされ、19世紀から20世紀初頭にかけては、世界でも最も高価で高品質なワインとして名声を得ました。
また、近年のDNA鑑定によって、リースリングの片方の親は「グーエ・ブラン」というブドウであることが判明しました。グーエ・ブランは、他にもシャルドネやガメイといった有名品種の親でもあり、リースリングが由緒ある血筋を持つことが伺えます。
代表的な産地
リースリングは涼しく水はけの良い土地を好み、なかでもドイツのモーゼル・ラインガウ、フランスのアルザスが産地として有名で、そのほかオーストリア、アメリカ、オーストラリアも代表的な産地となっています。以下で簡単にご紹介します。
モーゼル:冷涼な気候とスレート土壌により、繊細で透明感ある酸味とミネラル感が特徴。
ラインガウ:モーゼルよりやや温暖なため、よりリッチで骨格のあるリースリングが生まれます。
ワインの味と香り
リースリングのワインは、辛口から極甘口までバラエティ豊かです。共通して見られる特徴は、シャープで清々しい酸味と、豊かな果実味の絶妙なバランスです。
リースリングが持つ主な香りは、レモンやライム、プラム、洋ナシといったフルーツ系や、ジャスミンの花、蜂蜜のニュアンスなどがあります。
熟成が進むと、リース
リング特有の「ぺトロール香」(ガソリンや重油を思わせる香り)が感じられることもあります。この香りは好みが分かれるものの、熟成を経たリースリングならではの複雑さを象徴する要素です。
ワインを味わうポイント
リースリングワインを最大限に楽しむためのポイントがいくつかあるので、以下で簡単に紹介します。
ワイン初心者の場合は、やや甘口タイプからスタートすると親しみやすいでしょう。
ワインと合う料理
リースリングは、その甘辛の幅広い味わいから、合わせる料理も多彩です。ここでは辛口の場合と甘口の場合でそれぞれ合う料理をご紹介します。