白ワイン2023.05.10

リースリングは幅広い味わいが魅力!特徴や選び方とおすすめ10選を徹底解説

 

シャルドネやソーヴィニヨン・ブランと並ぶ白ブドウ三大品種の一つであるリースリング。一度は試したいという方も多いのではないでしょうか?一方で、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランに比べると手を出しづらい…名前は聞いたことあるけど、特徴がよく分からない…何を選んでいいのか分からない…という方も多いかと思います。
本記事ではリースリングの特徴や選び方を解説すると共に、オススメのリースリングを10本紹介します。ぜひ、参考にしてみて下さい。

リースリングの特徴

リースリングは他の白ブドウ品種にはないユニークな魅力があり、個人的にも大好きな品種です。では、何が違うのか?ここでは、大きく4つの特徴をご説明します。
1. 豊かな酸味と優美で華やかな果実味のバランスが◎
2. 産地の特徴をストレートに映し出す
3. 長期熟成が可能
4. 幅広いスタイルで造られる

特徴①:豊かな酸味と優美で華やかな果実味のバランスが◎

もし手元にリースリングがあれば、グラスに注いで、香りを嗅いでみて下さい。フルーツやお花、ハーブといった華やかな香りがしませんか?リースリングはブドウ品種特有の香りである「第一アロマ」がはっきりと感じられるアロマティック品種に分類されます。ブドウが育つ環境によって香りの幅に差がありますが、レモンやライム、プラム、洋ナシ、白桃、リンゴの他にもメロンやトロピカルフルーツといった果実香を感じるものもあるでしょう。また、白いお花やジャスミンのような香りがしたり、濡れた小石のようなミネラル感を感じたり、熟成が進んでいるものだと蜂蜜や石油っぽい香りが出てきます。
次に口に含んでみて下さい。先ほど述べたような風味が口に広がるのと同時に、強い酸味を感じませんか?鋭く揺るぎない印象のシャープな酸味です。酸味は白ワインの骨格に当たります。リースリングはこの非常に堅固な骨組みの上にしっかりとした果実味が重なるので、ただ酸っぱいのではなく、非常にバランスの良い味わいを楽しめるのです。

特徴②:産地の特徴をストレートに映し出す

リースリングは上述の「第一アロマ」を最大限に表現すべく造られるため、ヴァニラといった樽香等の醸造過程で得られる「第二アロマ」がないものが殆どです。純粋に品種由来の香りが前面に出るので、各産地のテロワールを鏡のように映し出すと表現されます。つまり、ブドウが育つ気候や土壌といった特徴がワインの味わいに直結する、ということですね。主な産地とその味わいについては後述しますので、参照してみて下さい。

特徴③:長期熟成が可能

長期熟成と聞くと赤ワインをイメージされる方が多いかと思います。確かに多くの白ワインはフレッシュさを味わうことを目的に造られており、長期熟成させるものは少ないです。
しかし、リースリングは白ワインの中でも珍しく、中には数十年単位で長期熟成が可能なものがあります。秘密は、先ほど申し上げた豊かな酸味と凝縮感のある果実味。豊かな酸味のおかげで、ワインの骨格が崩れることなく維持されます。その上に、質の高いものの場合、「第一アロマ」だけだった香りや風味に、熟成と共に現れる「第三アロマ」が加わり、複雑味が増してきます。リースリングの例でいえば、蜂蜜や石油香といった「第三アロマ」の香りが加わり、味わいに旨味や深みが増してくるのです。若い時にはちょっとキツイな、と感じるワインであったとしても、時間と共にまるみを帯び味わい深いものになっていく。何だか人間みたいですね…

特徴④:幅広いスタイルで造られる

汎用性の高さもリースリングの特徴の一つです。辛口、中辛口、中甘口、甘口、極甘口といった甘辛度の幅もあれば、スティルワインのみならず、スパークリングワインにも仕上げられるのです。甘口の造り方についても、発酵を途中で止めたりブドウ収穫期を遅らせて糖度を高めたりするだけでなく、ブドウ果皮に付着する貴腐菌を利用する貴腐ワインや、凍ったブドウを利用するアイスワインも造られています。
面白いのが、このように姿形を変えても、リースリングらしい酸味や華やかさが常に感じ取られることです。一筋縄ではいかない個性の強さと優美さが相まって、独特の魅力に繋がっていると言えます。

リースリングとシャルドネの違い

リースリングの特徴を何となくご理解頂けたでしょうか?同じ白ブドウ三大品種のシャルドネと比較すると、その違いがよりよく分かるかと思います。
例えば産地。両品種とも世界各国で栽培されていますが、リースリングは主にドイツ、シャルドネは主にフランスで栽培されています。また、リースリングは、温暖な地域で栽培すると品種固有の風味が生成される前に糖度が上がりきってしまうため、冷涼な場所でじっくり育てられる傾向にあります。一方、シャルドネは冷涼な場所でも温暖な場所でも育てられる高い順応性があります。リースリングの方が産地を選ぶということですね。
香りで比べてみましょう。上述の通り、リースリングはアロマティック品種ですが、シャルドネはノン・アロマティック品種です。そのため、リースリングはブドウ固有の香りが前面に表現されますが、シャルドネはブドウ固有の香りは控えめな一方、樽といった醸造の過程で得られる香りで複雑味を増すスタイルで造られるものが多いです。
最後に味わいで比べてみましょう。リースリングはその強い酸味が特徴と申し上げました。シャルドネの中にも酸味が強いスタイルのものもありますが、醸造の過程で酸味を抑えて特有の風味を得る手法を用いるケースが多く、酸味がまろやかなものが多いです。
リースリングは低~中程度のアルコール度数のものが多く、ヴォリュームがあるワインというよりは、華やかながら繊細でエレガントな印象のワインとなりますが、シャルドネはアルコール度数が中~高程度となり、ヴォリュームがあるものも多く、まろやかでバランスのよい印象のワインとなります。同じ白ブドウ三大品種とは言え、印象が異なりますので、もし機会があれば、飲み比べてみて下さい。

リースリングの選び方

リースリングを選ぶ際には、スタイルと産地で絞り込むと、求めるものを得やすいかと思います。

スタイルで選ぶ

リースリングは辛口から超甘口まで造られていて、スティルワインのみならず、スパークリングもあると申し上げました。
スパークリングの場合は、食前の乾杯から食中、食後までオールラウンドでいけるのが嬉しいですね。
辛口は、幅広い食事に合わせられるので重宝します。これは個人的な意見ですが、どのスタイルのリースリングでも、赤身のお肉には少し物足りなさを感じるかと思いますので、白身のお魚やお肉の方が相性がいいかと思います。
アルコールが得意ではないという方や、お酒を飲みなれていない方であれば、甘口を選んでみて下さい。優しい味わいですし、アルコール度数も低めで飲みやすいかと思います。また、甘味を感じるタイプのワインは、タイやインド料理といったスパイスを使った料理との相性もいいです。
そして、極甘口のものは、極上のデザートとして楽しんでみて下さい。

産地で選ぶ

リースリングは産地によって香りや味わいが異なる傾向にあります。大まかにではありますが、以下に主な産地とその特徴的な香りや味わいを記載しましたので、産地で飲み比べてお気に入りを見つけて下さい。

●ドイツ:リースリングと言えばドイツですが、中でもモーゼル地方とラインガウ地方のものが高品質と言われています。まずはモーゼル。色調は淡く、他の産地に比べて酸味が強く、アルコール度数は低いです。お花や青りんごのような香りがあり、軽やかで繊細、キリっとした酸味と相まって爽やかな印象で、長期熟成が可能なものも多く造られています。甘口が多い印象をお持ちの方もおられるかと思いますが、辛口タイプも多く造られています。一方のラインガウは、モーゼルと比べて暖かい場所なので、より重厚な仕上がりで、桃などの木成り果実や、時にはトロピカルフルーツのような香りもあります。辛口は少しオイリーな質感を感じるかもしれません。辛口が主流ですが、貴腐ワインも有名です。

●フランス(アルザス地方):主流は辛口。乾燥し日照量も多い地域なので、アルコール度数も高く、フルボディに仕上がります。色調は若干濃く、白桃や白いお花のような香りに加え、オイリーな質感やミネラル感、石油香を感じることも多く、がっちりとした印象があります。

●オーストリア:辛口が主流。鋼のような酸味というよりは柑橘系の酸味を感じ、ピュアでキリっとした印象があります。フルーツ香に加え、ミネラル感や土っぽさを強く感じるでしょう。

●オーストラリア:高品質な産地として有名なのが、クレア・ヴァレーとイーデン・ヴァレーです。レモンやライムといった香りに加え、トロピカルフルーツや白いお花、ジャスミンのような香りがあるものも。ミネラル感もありパンチが効いています。

●アメリカ:ワシントン州とニューヨーク州のものが有名です。前者は少し甘味の感じるオフドライ(中辛口)が多く、繊細ながら果実味がある印象です。後者は、酸味も強くエレガントで繊細な仕上がりのものが多いです。

リースリングで人気のおすすめワイン

では、最後にオススメのリースリング10選をご紹介してきます!

ローゼン “Dr. L” リースリング 2021

まずはドイツ、モーゼル地方から。やや甘口でクラシックなモーゼルのリースリングといった印象の一本です。
青りんごやアプリコットのような甘酸っぱさが特徴。アルコール度数も低めなので、入門編としてもオススメですし、バーベキューなどで皆でわいわい飲むのも楽しい一本です。


イミッヒ・バッテリーベルク ジュール・フィクセ リースリング ゼクト ブリュット・ナチュール 2016


同じモーゼル地方のリースリングでも、こちらは辛口のスパークリングタイプです。
酸味も強く、目の覚めるような味わいで、飲み応えもあります。微量の亜硫酸以外の添加物を一切使わずに、野生酵母だけで発酵した自然派のワインです。

ロバート・ヴァイル リースリング トロッケン 2021

次は、ドイツ、ラインガウ地方の辛口タイプのものです。しっかりとした酸味の上にライム、青リンゴ、桃といったしっかりとした果実味が乗っているので、ワイン単体で楽しむことも、色んなお料理と合わせても◎です!


クロスター・エーバーバッハ シュタインベルガー リースリング シュペートレーゼ 2017

3本目と同じラインガウのリースリングですが、遅摘みブドウで造られた甘口です。グレープフルーツ、洋ナシ、アプリコットのような凝縮感のある果実の風味を楽しめます。また、甘味、酸味、果実味が高いレベルでバランスされていて、長期熟成が可能な仕上がりになっています。甘口なので食後酒としてもお楽しみ頂けます。


フリードリッヒ・ベッカー ゾンネンべルク リースリング 2010

ドイツ、ファルツ地方のワインです。ファルツ地方もリースリングの生産量が多い場所です。フランス・アルザス地方と国境を接するこの地域は、ドイツ南部に位置する暖かい地域なので、フルーティーでリッチな仕上がりのリースリングが多いです。こちらは、青リンゴ、洋梨、ハチミツのようなアロマに、柑橘類のニュアンスも感じられる香りがあります。また、10年以上熟成された結果、酸は丸みを帯び、味わいのバランスもより洗練された最上の仕上がりになっています。


ボット・ゲイル アルザス リースリング ジュール・ゲイル 2020

こちらはフランス、アルザス地方のもの。フランス北部にありながら太陽が燦燦と降り注ぐアルザスらしく、ブドウの成熟度の高さを感じさせられます。色調は濃いゴールドイエロー、完熟した黄リンゴ、洋梨に加え、花の蜜、菩提樹等のフローラルなニュアンスもあります。味わいは、ほのかな甘みと、甘味にバランスする酸味があり、心地よいミネラル感が余韻として残ります。アルザスの太陽を感じてみて下さい。


ニコライホーフ リースリング 2019

オーストリアのヴァッハウ地域のものです。生産者は、熱狂的なファンを持つニコライホーフ。時にモーツァルトの音楽に例えられることもある魅惑的な味わいのワインを産み出すと評判の生産者です。こちらのリースリングは、みずみずしいミネラル感と共に、アプリコットのような豊かな果実味が楽しめる一本です。


コーナー ウォーターヴェイル リースリング 2021


南オーストラリア州クレア・ヴァレーにあるウォーターヴェイル町のリースリングです。野生酵母使用で、最小限の亜硫酸添加、清澄剤不使用&ノンフィルターと人的介入を最小限に抑えて造られています。
クレア・ヴァレーらしいライムのようなシトラス系の香りと鋭い酸味はありつつも、優しく包み込む果実味を楽しむことができます。

エロイカ リースリング 2021

アメリカワシントン州最大のワイナリー、シャトー・サン・ミッシェルと、1本目で紹介したドイツの有名生産者ドクター・ローゼン醸造所とのコラボワインです。しっかりとした酸味とマンダリンオレンジを思わせる明るい果実味のバランスが◎。また、ほんのりとした甘味が感じられるオフドライなので、幅広いお食事との相性がよいです。


シーグラス セントラル・コースト リースリング 2020

最後はアメリカ、カリフォルニア州のリースリング。モントレー地域のもので、冷涼な気候からエレガントなワインが生まれています。こちらは、ほんのりとした甘味と清涼感のある酸味が心地よく、美しいブルーボトルが食卓を華やかにしてくれること間違いなしです!


まとめ

いかがでしたか?様々なスタイルで提供されるリースリング。そして、どんなスタイルであったとしても、高い酸味と華やかで凝縮感のある果実味があり、一口飲むと虜になる味わいです。幅広い食事との相性がいいので、気軽に試してみて下さい。
カーヴ・ド・リラックスのオンラインストアには、今回紹介したリースリング以外の商品も揃えています。また、実店舗にも色んなリースリングがありますので、お近くにお越しの際はぜひ足を運んでみて下さいね。

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この記事を書いた人

山本 暖子

山本 暖子

WSET認定 Level4 Diploma
JSA認定 ワインエキスパート

学生時代の留学や総合商社勤務時の海外駐在などを通じ、世界各国のワインやその文化に魅了される。
現在は瀬戸内海に浮かぶ大三島で農的暮らしを営みながら、カーヴ・ド・リラックスのECサイト運営やコラム執筆など、ワインに関する情報発信に力を注いでいる。