
埼玉県ご出身の西尾さん。大学卒業後大手製薬会社に入社、全国各地にある支店で30年近く営業として勤務されてきた。そんな中、25年前に在籍した名古屋支店でワインに目覚めたそう。色んなタイプのワインを飲むようになると共に、ワイン本も読み始める。日本語になっているワイン本はほぼ読破したとのこと!今も読むのはワインの本ばかり。ワインが好きになったからといって、仕事をしつつ、ここまで貪欲に知識を身に付ける人はそうはいないだろう。沼にはまるとは、正にこのことだ。

人は1か0かで考えがちだが、1と0の間には無数の数が並んでいて、その間にできることは山のようにある。西尾さんは0から1の間の準備をしっかりしていたからこそ、会社員と就農の間のタイムロスをなくすことができ、経済的にも負担が少ない形で就農することができたのだ。


2.2haの広さの畑は、標高50-60mの高さにある南南西向きの緩斜面だ。元々はサクランボやリンゴが植わっていた場所で、2000年頃に前の農家さんが一部をブドウに植え替えを行い、西尾さんが購入した際にはナイアガラ、ツヴァイゲルトレーベ、ケルナーが植わっていた。
畑購入後、スズメバチの被害があり、ケルナーがほとんど収穫できない年もあった。樹齢20年近いブドウ木は、そろそろ植え替えの時期を迎えるタイミングでもあったので、ある意味いい機会。現在、植替え中だ。
ワイン醸造に向いているとされるヴィニフェラ種にこだわるため、ラブルスカ種のナイアガラは他品種への改植のほか、全てを販売に回した。その他にも、ツヴァイゲルトレーベの一部と草地となっていたサクランボの跡地も植え替えを行っている。2022年にソーヴィニヨン・ブランとシャルドネを、2023年にソーヴィニヨン・ブランとピノ・グリを植えた。その数、白3種類で2000本!


実際に植えてみると、シャルドネとピノ・グリの成長が良いことに気付いた。シャルドネは2年目で果実が付いた程で、4年目には白ワイン品種合計で1トンくらいの収穫ができるのではないかと見込んでいるそうだ。
朴訥とした優しい語り口だけど、その行動力は爆発的で刺激的。見た目に騙されてはいけない。西尾さんはかなりのファイターであり、信念の人だ。その優しい風貌から想像できない、燃え滾るマグマが内に潜んでいて、西尾さんを突き動かしているのだ。
