2023.02.01

ワインの選び方

品種の特徴を知ればワインボトルの中身が少し予想つくようになるかも知れません。
ただフランスなど伝統的なワイン産地は、ラベルに品種が載っていないことが多いです。ただそのような産地は使用される品種が大体決まっているのでセットで覚えてしまっても良いと思います。
ワイン用に栽培される葡萄は無数にありますがよく目にする代表的な品種は限られています。

赤ワイン用ブドウ品種

カベルネ・ソーヴィニヨン

Cabernet Sauvignon

フランス・ボルドー地方が有名ですが世界各地で広く栽培されています。しっかりとした果実味と渋みを持つワインになります。黒果実系やベリーや杉、鉛筆の香り。若いうちは渋みが強いですが熟成するとまろやかになります。チリやカリフォルニアなどでは、若いうちから楽しめる果実味たっぷりのワインも作られています。

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メルロ

Merlot

カベルネ・ソーヴィニヨンと並んでボルドーの重要品種。カベルネ同様、世界中に持ち出されてニューワールド各地でも栽培されています。熟した赤い果実の香り、スパイス、なめし革、トリュフ、けもの臭といった芳香に富んでいます。カベルネ・ソーヴィニヨンに比べるとタンニンは比較的柔らかく、まろやかです。

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ピノ・ノワール

Pinot Noir

主な産地はフランス、ブルゴーニュ。伝統的なその他の主要産地はアルザス、ドイツ、シャンパーニュ。近年ではニュージーランド、オレゴン、カリフォルニアなどでも高品質なピノ・ノワールが造られるようになっています。冷涼な気候を好み、繊細で酸味の利いたワインを生み出すブドウ品種です。 色はガーネットのような明るい赤、フランボワーズ、サクランボといった赤い果実の香り、熟成すると下草や枯れ葉、紅茶、けもの臭も出てきます。タンニンは少なめで、酸味、ミネラル感に富む。優雅で余韻の長いワインとなります。熟成させた上質なピノ・ノワールは官能的な香りをまとうようになります。

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シラー

Syrah

フランスのローヌ北部が伝統的な産地。この品種も世界各地で栽培されています。オーストラリア、南アフリカではシラーズと呼ばれています。味わいは濃厚・パワフル、花の香りに黒胡椒。北ローヌのシラーは綺麗に熟成するとブルゴーニュのピノ・ノワールのように官能的な香りを持つこともあります。

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白ワイン用ブドウ品種

シャルドネ

Chardonnay

シャルドネの銘醸地として有名なのはブルゴーニュですが世界各地で栽培されています。産地の気候、土地の特徴などをよく反映します。レモン、りんご、ライム、オレンジの香り、日当たりがよく温暖な所では杏、メロン、時にはマンゴーのようなトロピカルフルーツの香りがすることもあります。また樽で熟成したものは樽由来のヴァニラやトーストのような香りがでます。シャルドネというとこのタイプをイメージする人が多いようです。熟成するとバターやナッツのような香りも出てきます。

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ソーヴィニヨン・ブラン

Sauvignon Blanc

フランスのロワールが有名。ボルドーではセミヨンとブレンドされます。世界各地で栽培され、近年では特にニュージーランドが高品質なソーヴィニヨンブランの産地として定着しています。ハーブや若草のような特徴的な香りを持ちます。これにレモンやライムなどの柑橘や青りんご、グレープフルーツなどが加わります。ニューワールドではパッションフルーツや桃など華やかな果実の香りを持つこともあります。

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リースリング

Riesling

ドイツ原産。他にオーストリア・ヴァッハウ、フランス・アルザス、オーストラリア・イーデンヴァレーなど。植えられる土地を選びます。痩せた土壌、冷涼かつ十分な日照量を得られる土地。繊細かつタイトな果実味。さわやかでピリッとする青りんご、白桃、アプリコット、グレープフルーツ。時にオイリーな香りを持つこともあります。

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ワインはその土地の気候や土壌の影響をダイレクトに反映し、葡萄品種よりも土地の影響のほうが強く出ると言われています。
ものすごく単純化すると、温暖で日照量の多い土地ほど葡萄はよく熟し糖度も上がるので、ボディが強くしっかりとしたワインになります。冷涼な産地ほど豊かな酸を持ちキリっとしたワインに仕上がります。
では有名産地の特徴を駆け足で見てみましょう。

フランス

ボルドー

Bordeaux

フランス南西部、大西洋の近くに位置します。気候は温暖な海洋性気候です。夏に焼け付くような暑さになることはめったになく、冬の寒さも穏やかです。ただ海に面した土地であるがために気候は変わりやすくヴィンテージによって出来が大きく違います。ドルドーニュ川、ガロンヌ川の上流から運ばれた肥沃な土壌。ほとんどの赤はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロのブレンド。少量のカベルネフラン、マルベック、プティヴェルドなども混ざっています。年によって品種ごとの仕上がりを見ながらブレンドしています。味わいは中重口が多く、カラント、プルーン、などの果実に加えて、土、鉛筆の芯、杉、チョコレートなど複雑な香り。白ワインはソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル等からすっきりした辛口から、コクのある豊潤な辛口、そして貴腐ブドウから造られる甘美な甘さの貴腐ワイン(デザートワイン)まで造られています。

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ブルゴーニュ

Burgundy

フランスの中でも北部に位置し、冷涼な気候で大陸性気候。ボルドーがブレンドなのに対しほとんどのブルゴーニュワインは単一品種のみで造られます。白はシャルドネ、赤はピノ・ノワール。赤ワインはフレッシュでフルーティな軽いタイプのワインから、長期熟成によって官能的な味わいとなる芳香に富んだワインまであります。白ワインもフレッシュで爽快なタイプなワインから、豊潤でコクのあるタイプのワインまで様々なワインがあります。同じブドウを使っていても、村や畑、造り手によって味わいが大きく異なるワインが出来るのが、ブルゴーニュの面白さであり魅力です。

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その他の産地

 イタリア

Italy

北はアルプス山脈から南はアフリカからの熱風の吹くシチリア島まで南北に細長く海に囲まれた半島であるイタリア。ワイン栽培においては非常に恵まれた国土を持ち、20の州全てでワインが生産されています。それ故に地方ごとの地場品種もワインの種類も非常に多く、ワインの勉強を始める人がくじけそうになるのは大体イタリアかドイツ(←地名が難しい!)です。ただ逆に言うとイタリア特有の主な品種を覚えてしまえば味の予想をし易いという一面もあります。加えて北から南へ冷涼から温暖へと土地の気候もはっきりとしているのでワインの味わいもイメージし易いです。例えば北はピエモンテ州(アルプスの山麓)のネッビオーロ。“バローロ”や“バルバレスコ”に使われます。豊富なタンニンと酸、決して重いワインではないですが、一種の厳格さがあるワイン。熟成するとバラやスミレ、タバコなど複雑な芳香が出てきます。イタリア全土で栽培される、サンジョヴェーゼ。特に有名なのは中部のトスカーナ州で作られる “キアンティ”。プルーンやラズベリーにスミレの香り、また特徴的な酸味があります。南は、シチリア島で栽培されるネロダヴォラから作られるワインは濃くまろやかな果実味を持ち丸いタンニンンを持ちます。若干のスパイスのニュアンスも。素材の味を生かした、シンプルな料理法の多いイタリア料理はやはり素材を大事にする日本料理との共通点も多く、イタリアワインは日本食にも合わせやすいと言われています。

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 アメリカ

United States

ほぼ全州でワインが生産されていますが、生産量の90%はカリフォルニア州です。オレゴン州、ワシントン州、ニューヨーク州も優れたワインを生産しています。カリフォルニアでは温暖で比較的乾燥し安定した気候に恵まれているため栽培期間を長く取った熟度の高いブドウを収穫できます。そのためタンニンのやわらかく、果実味の凝縮した滑らかな赤ワインや、フルーティで瑞々しい白ワインが多く造られています。ワシントン州では豊富な日照量と、メリハリの聞いた寒暖差があるため、力強いが酸も隠し持つジューシーな赤ワインが造られます。オレゴン州はピノノワールとシャルドネで頭角を現し、ニューヨーク州は冷涼な気候を生かしエレガントなワインを生産しています。

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 オーストラリア

Australia

主に南極寄りの沿岸部にワイン生産地が集まっています。かつてはさまざまな産地の葡萄をブレンドし近代的な手法を駆使して、安定した品質~フルーティで濃厚でそれでいてタンニンのまろやかな赤ワインや、同じくフルーティな白ワイン~を大量生産、というのがこれまでのオーストラリアワインのイメージでした。しかし近年それぞれの産地の多様性に注目が集まり、土地の気候・土壌をワインに反映させる伝統的な造りをする小規模な生産者が、増えて来ました。オーストラリアというとなんとなく暑いイメージですが、実際にはボルドーの気象条件に近いと言われるクナワラから、シャンパーニュに匹敵する寒冷地であるタスマニアまでさまざまな気候の産地を抱え、多様なワインを生産しています。

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