ジュヴレ・シャンベルタンは、フランスのブルゴーニュ地方にある高級赤ワインの産地です。コート・ド・ニュイ最大の産地であり、最も多くのグラン・クリュを擁するエリアで、世界中のワインラバーから愛されている最高級ワインの一つとして知られています。本記事では、ジュヴレ・シャンベルタンに関する基礎知識やワインの格付け、通販で買えるおすすめのワインについて解説していきます。
目次
ジュヴレ・シャンベルタンの基礎知識
まずはジュヴレ・シャンベルタンについて知っておきたい歴史や土壌の特徴といった基礎知識を解説していきます。
13世紀からはじまったジュヴレ・シャンベルタンの歴史
イジュヴレ・シャンベルタンは、ワインの名前であると同時に、そのワインを生産する村の名前でもあります。
ジュヴレ・シャンベルタンの起源は13世紀まで遡ります。ジュヴレ村と呼ばれる地域で、ベーズ修道院が管理する畑「クロ・ド・ベーズ」で造られるワインが美味しいと評判になり、その噂を聞いた農夫ベルタンが隣の畑で同様に美味しいワインを造ることに成功したことがきっかけで、「ベルタンの畑」という意味の「シャン・ド・ベルタン」と呼ばれるようになりました。これが後にジュヴレ・シャンベルタンという原産地呼称に変わりました。
ジュヴレ・シャンベルタンの土壌の特徴
ジュヴレ・シャンベルタンは夏は乾燥していて日照時間が長く、さらに冬の時期は雨がよく降ります。全体的に冷涼な気候なうえ、水はけの良い土壌にも恵まれているので、世界的にもトップクラスの良質なブドウができるエリアです。
ジュヴレ・シャンベルタンは世界的にも有名な銘醸畑がずらりと並ぶ「グラン・クリュ街道」と呼ばれるエリアの中でも最北に位置していて、コート・ド・ニュイ最大の産地です。アンモナイトを含んだ石灰岩に粘土や酸化鉄が多い土壌から造られているため、タンニンが豊かで骨格のしっかりしたワインが生まれます。長期熟成にも向いているため、ヴィンテージを重ねたワインは非常に高い評価を受けています。
ピノ・ノワールから造られる赤ワイン
ジュヴレ・シャンベルタンのワインは、ピノ・ノワール100%で造られます。豊かな果実味にしっかりとしたタンニンが特徴で、酸味やミネラルも感じられます。若いうちは渋みも感じられますが、タンニンが豊富な分長期熟成にも耐えられるポテンシャルを持っています。長期熟成を経ると、まるでビロードのような気品ある口当たりに変化していきます。
ジュヴレ・シャンベルタンにおすすめの料理
ジュヴレ・シャンベルタンには、肉料理やきのこ料理との相性がよいと言われており、なかでも長期熟成させたグラン・クリュなら鹿やいのしし、鴨といったジビエ料理と合わせると良いでしょう。
鉄分の印象が強いのも特徴で、ジビエはもちろん、羊肉や牛肉のグリルなどにも合わせられます。肉厚な鴨のローストにベリーのソースを合わせたようなメインディッシュとの相性は抜群です。
ジュヴレ・シャンベルタンとシャンベルタンの違い
シャンベルタンはブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区北部のジュヴレ・シャンベルタン村にあるグラン・クリュ(特級畑)です。 一方でジュヴレ・シャンベルタンは村名、または村名ワインを指します。少々ややこしいですが、きちんと抑えておきましょう。
ジュヴレ・シャンベルタンのワインの格付け
ジュヴレ・シャンベルタンの格付けは、特級(グラン・クリュ)、1級(プルミエ・クリュ)、村名(ヴィラージュ)に分かれていて、ブルゴーニュ地方では最多の9つの特級畑(グラン・クリュ)を持っています。以下で9つのグラン・クリュ、代表的な6つのプルミエ・クリュについて解説していきます。
9つのグラン・クリュ
9つのグラン・クリュは以下になります。それぞれの特徴について簡単に解説していきます。
▶シャンベルタン
グラン・クリュの中でも飛びぬけたポテンシャルを持ち、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズとともに古くから別格とされています。濃厚で力強い味わいはまさにブルゴーニュの王様。ナポレオンが愛したワインとしても有名です。
▶シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ
シャンベルタンのはじまりとも言える村を代表するワイン。
最も歴史が古く、しっかりとしたストラクチャーとフィネスが感じられ、長期熟成することで素晴らしい味わいのワインに仕上がります。「Clos(クロ)」は石垣という意味で、この畑を開墾したベーズ修道会が優れた畑の目印として石垣で囲ったことに由来しています。
▶シャペル・シャンベルタン
クロ・ド・ベーズの斜面下方に位置し、果実の凝縮感とピノ・ノワール本来の気品あふれる酸が特徴のワインを生み出します。
▶シャルム・シャンベルタン
県道を挟んでシャンベルタンの正面に位置し、フレッシュな果実味と柔らかいボディが特徴のワインを生み出します。ジュヴレ・シャンベルタン村のグランクリュの中で最大の面積を誇ります。
▶グリオット・シャンベルタン
シャンベルタンとクロ・ド・ベーズが四方に囲んでおり、シャンベルタン村のグラン・クリュの中で最も小さく、生産量も少ないです。しっかりとした凝縮感のある果実味が魅力のワインを生み出します。
▶ラトリシエール・シャンベルタン
シャンベルタンの隣で最南端にある畑で、繊細でミネラル感のある味わいがあり、やわらかない印象のワインに仕上がります。
▶マジ・シャンベルタン
グラン・クリュの中で最も北方に位置し、畑の上部と下部では異なる気候で、表土が薄く太陽により地中まで温めらた土壌の上部と、渓谷から吹く風によって常に冷やされている土壌の下部の2つの特性を持ったブドウから造られるワインは、濃厚な果実味と、酸、タンニンのバランスが見事にとれたパワフルな味わいのワインになります。
▶リュショット・シャンベルタン
マジ・シャンベルタンと同じ斜面の上部に位置し、グラン・クリュの中でも勾配があり、やせた土壌のため若いうちは強い渋みを感じます。長期熟成を経ることで、きめ細やかで華やかな味わいに変化していきます。
▶マゾワイエール・シャンベルタン
シャルム・シャンベルタンの隣に位置し、味わいはシャルムに似ていて繊細なタイプ。シャルム・シャンベルタンと併合した方が良いという意見も出ていて、マゾワイエールのブドウで造られていてもほとんどの生産者がシャルムを名乗っているという実情があります。
代表的な6つのプルミエ・クリュ
ジュヴレ・シャンベルタン村のプルミエ・クリュは26ありますが、ここでは代表的な6つのプルミエ・クリュについて解説していきます。
▶レ・カズティエ
石の多い表土が特徴で、味わいは繊細でエレガントな仕上がりになります。
▶クロ・サン・ジャック
特級畑に肩を並べる一級畑。世界的にもファンが多いことで知られています。
▶ラヴォー・サン・ジャック
南向きの斜面と谷から吹く風が特徴で、日照量が多いエリア。調和の取れた味わいになります。
▶オー・コンボット
特級畑に囲まれた好立地で、ミネラルや花のアロマのような特徴があります。
▶クロ・プリウール
ラヴォー小渓谷の扇状地内に位置していて、深みのある果実味とエレガントな香りが特徴です。
▶プティト・シャペル
シャペル・シャンベルタンに隣接する畑で、シルクのような滑らかな舌触りが感じられます。
ジュヴレ・シャンベルタンのおすすめワイン3選
ジュヴレ・シャンベルタンのおすすめワインを3選にしぼって紹介します。
ブシャール・ペール・エ・フィス ジュヴレ・シャンベルタン 2019
ブラックチェリーのような果実味とキレイな酸味を生かした、豊かで複雑な味わいを楽しめるワインです。湿った土や鉄分など、ジュヴレ・シャンベルタンのテロノワールの特徴がよく表現されているので、まずはこちらの一本から味わってみるのも良いでしょう。
マルク・ロワ ジュヴレ・シャンベルタン クロ・プリュール 2020
ヴィラージュ(村名クラス)ながら、プルミエ・クリュ(1級クラス)に匹敵する高品質ワインで、ラズベリーや木苺のような果実味と、ブラックベリーのような黒系果実のニュアンスが感じられます。厚みのあるボディと複雑な味わいが特徴で、心地良い余韻が長く続く一本です。
ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン シャルム・シャンベルタン 2020
シャルム・シャンベルタンのピノ・ノワールで造られ、力強く、凝縮した旨みを持つ味わいに仕上がっています。深みを兼ね備えたワインで、なめらかなテクスチャーが特徴です。10〜15年ほど寝かせられるポテンシャルがあるので、セラーで静かに保管してください。
まとめ
ジュヴレ・シャンベルタンは、若いうちは渋みも感じられますが、長期熟成を経ることでビロードのような滑らかな口当たりになるのが特徴です。飲み比べることで、ブルゴーニュのワインを楽しむ醍醐味のひとつであるテロワールの違いを楽しんでみるのもいいかもしれません。カーヴ・ド・リラックスではさまざまなジュヴレ・シャンベルタンを用意していますので、飲み比べてみたい方はぜひ参考にしてみてください。
THE CELLAR online storeこの記事を書いた人
吉川 大智
JSA認定 ソムリエ