1. デキャンタとは
「デキャンタ」とは、主にワインに使用されるガラス製の器のことです。ワインを楽しむ際に、ボトルから直接グラスに注ぐ場合と、ボトルを開栓した後に一旦デキャンタに移し替える場合があります。ボトルからデキャンタにワインを移し替える作業を「デキャンタージュ」と呼び、これはワインをより一層美味しく楽しむための重要な工程とされています。
デキャンタにはさまざまな形状がありますが、一般的にはワインが空気とよく触れ合うように広口のデキャンタが好まれます。澱(おり)を取り除く目的の場合は、細口のデキャンタが適していますが、詳しいデキャンタの選び方については、後ほど紹介します。
2. デキャンタを使う理由と効果
デキャンタージュの主な目的は、「エアレーション」です。エアレーションとは、ワインを空気に触れさせることで、ボトルの中で密閉されていたワインをデキャンタに注ぎ、ワイン全体を空気に触れさせるのが目的です。
エアレーションによって酸化されたワインには、味や風味にさまざまな変化が生じます。このデキャンタージュの工程を行うことで、以下3点の効果が得られます。
- 味わいに丸みが帯びる
- 香りを開かせる
- ワインにある澱(おり)を取り除くことができる
ワインの味わいに丸みが帯びる
デキャンタージュによる主な効果の一つが、味に丸みを帯びさせ、まろやかな味わいに仕上げることです。熟成期間が5年以下の比較的若いワインの多くは、飲んだ際に渋みを感じることがあります。渋みの原因となるタンニンはワインにとって重要な成分ですが、デキャンタージュを行うことでタンニンが酸化し、より柔らかく、バランスの取れた味わいに変化します。これにより、ワインを飲む際の口当たりが格段に良くなります。
さらに、デキャンタージュすることによってワインの風味が豊かになるため、食事との相性もさらに良くなります。特に、肉料理や濃厚なソースを使った料理と合わせる際には、デキャンタージュされたワインのまろやかな味わいが引き立ちます。これにより、料理とワインのペアリングをより楽しむことができます。
ワインの香りを開かせる
ボトルで保存されていたワインには、本来持つ芳醇な香りが閉じ込められています。デキャンタージュを行い、ワインを空気に触れさせることで、本来の豊かな香りが出てきやすくなります。
香りの変化は、ワインの味わいと同様に重要です。デキャンタージュされたワインは、時間とともに香りが変化し、最初はフルーティーな香りが感じられ、次第にスパイスや土の香りが現れます。この変化を楽しむこともワインの醍醐味の一つです。
ワインにある澱(おり)を取り除くことができる
長期間保存されていた赤ワインには、澱(おり)と呼ばれる酒石酸やタンニンなどの結晶が沈殿していることがあります。澱は飲んでも問題ありませんが、口当たりが良くないため、ワイン本来の味わいを楽しむには取り除くのがおすすめです。
デキャンタージュを行う際にワインの液体部分のみをデキャンタに移し替えることで、ボトルの底に沈殿している澱を効果的に取り除くことができます。ポイントは、ボトルを開ける数日前から立てた状態で保管し、澱を完全に沈殿させておくことです。
澱の取り除き方にはいくつかの方法があります。一般的には、デキャンタージュを行う際にボトルの口にライトを当て、澱がデキャンタに入らないように慎重に注ぐ方法が取られます。これにより、ワインの液体部分のみをきれいにデキャンタに移し替えることができます。
3. デキャンタージュが効果的なワインの種類は?
デキャンタージュを行うことでワインの味がまろやかになり、香りの華やかさが増し、口当たりに不快感を与える不純物が取り除かれると聞くと、ワインを飲む際には常にデキャンタージュをしたくなるかもしれません。しかし、デキャンタージュが有効なワインと、あまり効果的でないワインがあるので注意が必要です。
デキャンタージュが効果的なワイン
デキャンタージュは主に赤ワインに行う工程ですが、白ワインにも同様の効果があります。特に熟成が浅い「若いワイン」に効果があり、若い赤ワインはタンニンが強いため、デキャンタージュを行うことでその強さが和らぎます。
若い白ワインもデキャンタージュすることで風味が開き、より豊かな味わいを楽しむことができます。ヴィンテージワインの場合、主な目的は澱の除去ですが、香りを開かせる効果も期待できます。
デキャンタージュを避けた方が良いワイン
若い白ワインに使われることはあるものの、一般的に白ワインにはデキャンタージュは不向きとされており、赤ワインでもピノ・ノワールのような繊細な風味が特徴のワインの場合、デキャンタージュをすると大切な風味が飛んでしまうため向いていません。ピノ・ノワールは繊細な風味と香りが魅力ですが、デキャンタージュによってそれらが失われることがあります。
4. デキャンタの使用方法
デキャンタージュの具体的な方法を紹介します。
- 長期間保存されていたワインの場合、澱がボトルの底に沈殿しています。これを飲む前にしっかりと沈めることで、デキャンタージュの際に澱が混ざるのを防ぎます。
- ボトルを開ける際には、静かに行うことが大切です。急に動かすと澱が浮き上がってしまうため、注意が必要です。
- ライトを使ってボトルの口元を照らしながら、澱がデキャンタに入らないように慎重に注ぎます。この際、ボトルの底に近づくにつれて注ぐ速度をゆっくりとし、澱が混ざらないようにします。
特にヴィンテージワインや長期保存されたワインの場合は、澱の取り除きが重要なポイントとなります。また、デキャンタを使用する際には、清潔な状態を保つことが大切です。使用後はしっかりと洗浄し、乾燥させてから保管しましょう。
5. 目的に合わせたデキャンタの選び方
デキャンタージュの目的によって適したデキャンタは異なります。デキャンタの目的は大きく2つあります。それはエアレーションでワインの風味を引き出すことと、ワインに沈殿する澱を取り除くことです。
エアレーションによってワインの美味しさを引き出す場合は、ワインが多くの酸素と触れ合う必要があるため、注ぎ口が広く開いたタイプのデキャンタを選択します。
一方、澱を取り除くことが目的の場合は、酸素との接触を回避するために注ぎ口が細く、酸素との接触が少ないタイプのデキャンタを選びます。
6. デキャンタにも合うおすすめの赤ワイン3選
デキャンタを使用する目的や効果を理解した上で、デキャンタージュにおすすめの赤ワインを3本紹介します。
カステッロ・デイ・ランポッラ キアンティ・クラッシコ 2020
ビオディナミの生産者及びスーパータスカンの先駆者として知られる造り手。
サンジョヴェーゼ特有の酸は控えめで果実味豊かな味わい。ノンフィルターで瓶詰めしているため澱が多いのでデキャンタするのがおすすめです。
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赤ワイン
カステッロ・デイ・ランポッラ キアンティ・クラッシコ 2020 *
赤ワインイタリア/トスカーナ州通常価格6,160 円 (税込)通常価格単価 あたり残り5個
750ml、サンジョヴェーゼ他、フルボディ 750ml、サンジョヴェーゼ他、フルボディ
果実味と酸のバランスが美しいワイン
レゼルヴ・ド・ラ・コンテス 1991
メドック格付け2級のシャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドのセカンドラベル。
骨格のしっかりとした、濃厚で力強いタンニンを持つ正統派ボルドーワイン。長期熟成で澱が発生している場合があるのでデキャンタを使用するのがおすすめです
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赤ワイン
レゼルヴ・ド・ラ・コンテス 1991 *
赤ワインフランス/ボルドー通常価格16,500 円 (税込) 送料無料通常価格単価 あたり残り3個
750ml、カベルネ・ソーヴィニヨン他、ミディアム 750ml、カベルネ・ソーヴィニヨン他、ミディアム
シャトー・ピション・ロングヴィル・ラランドのセカンドラベル
シャトー・カロン・セギュール 2019
ハートのエチケットが印象的なメドック格付け3級シャトー。
カシスやブルーベリーのアロマがあり、フレッシュで丸みのある味わいが特徴です。若いうちは堅さがあるので、デキャンタージュしてある程度香りを開かせてから飲むのがおすすめです。
7. まとめ
ワインを飲む際に使用するガラスの器「デキャンタ」について解説しました。ワインをデキャンタに移す「デキャンタージュ」には、ワインの風味を引き出したり、ワインの澱を取り除いたりする効果があります。デキャンタの特徴を理解し、さまざまなワインを飲み比べてみたいと感じたら、ぜひカーヴドリラックスのオンラインサイトを見てみてください。