希少な「アイスワイン」の魅力を徹底解説!
希少な「アイスワイン」の魅力を徹底解説!

歴史や美味しく味わうポイントも紹介

歴史や美味しく味わうポイントも紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Daichi Yoshikawa

「貴族のワイン」と呼ばれるほど、希少性が高いアイスワイン。デザートワインとして人気を博しており、希少性の高さから高価な値段で取引されています。
本記事では、アイスワインの特徴や歴史、美味しい飲み方などを紹介します。アイスワインと比較されることの多い、貴腐ワインとの違いについても解説していきます。
「貴族のワイン」と呼ばれるほど、希少性が高いアイスワイン。デザートワインとして人気を博しており、希少性の高さから高価な値段で取引されています。
本記事では、アイスワインの特徴や歴史、美味しい飲み方などを紹介します。アイスワインと比較されることの多い、貴腐ワインとの違いについても解説していきます。

希少な「アイスワイン」の魅力を徹底解説!歴史や美味しく味わうポイントも紹介

歴史や美味しく味わうポイントも紹介
2024.07.25

1. アイスワインとは?

アイスワインとは、樹上で凍結した状態のブドウを原料に造られるワインです。凍結したまま圧搾するので、ブドウ果実に含まれる水分は凍りますが、エキスが凍らないため、凝縮された糖度の高い果汁を得られます。これにより、極めて甘口のデザートワインに仕上がるのが特徴です。
アイスワインは寒冷な気候が必須であるため、生産地が限られています。そのうえ生産過程は非常に手間がかかり、厳しい気候条件とタイミングが要求されるので希少性が高く、「貴族のワイン」と称される所以となっています。

2. アイスワインの歴史

アイスワインの歴史は、今から200年以上前に遡ります。ドイツのフランコニア地方で、完熟を迎えたブドウが偶然収穫前に凍ってしまった出来事が起源と言われています。
当時の農家は、凍ってしまったブドウを廃棄せずワインを作ってみたところ、非常に香り高い甘口のワインが完成したことが始まりです。その後、アイスワインは甘美な味わいが評判となり、希少価値の高い高級品として広まりました。特にドイツでは、寒冷な気候を生かしてアイスワインの生産が続けられました。
しかし、地球温暖化などの影響で安定した生産が難しくなり、生産者たちはより寒冷な気候を求めてカナダへと移住しました。現在ではカナダが世界一のアイスワイン生産量を誇り、品質の高いアイスワインが多く生産されています。

3. アイスワインの希少性

アイスワインの希少性

アイスワインは限られた地域でのみ生産される希少性の高いワインで、ドイツ、オーストリア、カナダの3か国でのみ「アイスワイン」を名乗ることができます。これらの地域は寒冷な気候でブドウが自然に凍結する条件が整っているため、アイスワインの生産が可能となります。
ドイツはアイスワインの発祥地であり、歴史的に多くの高品質なアイスワインを生産してきました。オーストリアもまた、アイスワインの生産地として知られており、特にニーダーエスタライヒ地方で優れたアイスワインが造られています。そして現在最もアイスワインの生産が盛んなのはカナダであり、オンタリオ州やブリティッシュコロンビア州などで厳格な条件のもとで生産されています。カナダでは、アイスワインの品質を保つために厳しい規制が設けられており、その高品質なアイスワインが世界中で評価されています。

4. アイスワインと貴腐ワインの違いは?

アイスワインと同様に、希少なデザートワインとして人気なのが「貴腐ワイン」です。アイスワインと貴腐ワインではまず、使用するブドウが異なります。アイスワインは樹上で凍ったブドウを使用しますが、貴腐ワインは貴腐菌が付いて水分が蒸発したブドウを用います。この違いにより、両者の味わいや香りに大きな差が生まれます。
アイスワインは凍結したブドウから得られる高糖度の果汁を使用するため、非常に甘く、フルーティーな味わいが特徴です。一方貴腐ワインは、貴腐菌が付いたブドウから得られる濃縮された果汁を使用するため、甘味に加えて独特の複雑な風味が加わります。どちらも極甘口のワインですが、アイスワインはフレッシュでフルーティー、貴腐ワインはリッチで複雑な味わいを楽しむことができます。
どちらもブドウの実に含まれる水分が減ることで、エキスが凝縮されほどよい酸味のある極甘口ワインに仕上がりますが、果実の水分が減る過程の違いによって味わいにも差が出ます。

5. アイスワインを美味しく味わうポイント

アイスワインを美味しく味わうポイント

アイスワインの特徴に合った、美味しく味わうポイントを紹介していきます。

アイスワインの美味しい温度

アイスワインの甘味や酸味を最大限味わうなら、よく冷やして飲むのがおすすめです。ぬるい状態だと口当たりが重く、味がぼやけてしまいます。逆に冷やしすぎると風味が弱まるため、4〜10℃を目安に冷やすと良いです。この温度帯はアイスワインの繊細な風味を損なうことなく、最も美味しく感じる温度と言われています。
冷蔵庫で冷やしたアイスワインを少し時間をおいてから飲むと、より一層その風味を楽しむことができます。また、アイスワインを冷やしすぎた場合は、少し温めると風味が戻るため、適切な温度管理が重要です。

アイスワインにおすすめのグラス

アイスワインならではの華やかな香りを思い切り楽しみたい方は、大きめのグラスがおすすめです。少量を注いでスワリングしながら、広がる香りを楽しむことができます。大きなグラスを使用することで、アイスワインの豊かなアロマが引き立ち、香りと味わいのバランスが一層良くなります。
また、時間が経つごとに自然とアイスワインの温度が上がるので、さらに豊かな香りを感じられます。大きめのグラスでゆっくりと楽しむことで、アイスワインの多層的な風味を最大限に引き出すことができます。

アイスワインに良く合うおつまみ

単独でもデザートになるアイスワインですが、おつまみがあるとさらに味の組み合わせを楽しめます。特にマッチするのは、フルーツやフルーツ系のスイーツです。洋梨やシャインマスカット・イチジクなど食感も楽しめるフルーツや、フルーツを使ったアイスクリームなども良く合います。フルーツの自然な甘味と酸味が、アイスワインの風味と絶妙に調和し、口の中で素晴らしいハーモニーを奏でます。

また、ワインのお供の定番であるチーズとの相性も良いです。柔らかな食感の白カビ系のチーズや、塩気のあるブルーチーズもおすすめです。これらのチーズは、アイスワインの甘味と塩気のバランスが絶妙で、味覚を豊かに楽しむことができます。さらに、ナッツやドライフルーツ、チョコレートなどもアイスワインと相性抜群です。

6. おすすめのアイスワイン・甘口ワイン5選

おすすめのアイスワインや甘口ワイン5選を順番に解説します。

フリードリッヒ・ベッカー ピノ・ノワール アイスワイン 2018(ハーフ)

フリードリッヒ・ベッカー ピノ・ノワール アイスワイン 2018(ハーフ)

真冬に気温がマイナス8℃まで下がり、樹に付いたまま凍結したぶどう果実を摘み取り、凍ったまま搾汁して造られた、甘みと酸味が見事に調和した最高級デザートワインです。とろけるような甘みの中に、オレンジのような果実感とコクがほんのり感じられる味わいが特徴です。強すぎず丸く上品で口当たりの優しい限定品のアイスワインです。
このアイスワインは、フリードリッヒ・ベッカー醸造所が誇る最高品質のワインであり、その製造過程においても非常に手間がかかっています。厳しい寒さの中で収穫されたブドウは、そのまま搾汁され、時間をかけて発酵させることで、独特の風味と甘味を引き出しています。

エロイカ リースリング アイス・ワイン 2016(ハーフ)

エロイカ リースリング アイス・ワイン 2016(ハーフ)

深夜に手摘みで収穫されたブドウはすぐにプレスされ、高い糖分を含んだ果汁が抽出されて造られたワインです。アプリコットや蜂蜜を思わせる、エキゾチックで官能的、リッチで凝縮感のある品種香とフレーバーが特徴です。ドイツ・モーゼルの優良生産者、ドクター・ローゼン醸造所とのコラボワインです。
このアイスワインは、エロイカとドクター・ローゼンのコラボレーションによって生まれた特別なワインであり、その品質と風味は非常に高く評価されています。リースリング品種の特徴を最大限に引き出したこのワインは、甘さと酸味のバランスが絶妙で、どのようなシーンでも楽しむことができます。

チェレット モスカート・ダスティ 2022

チェレット モスカート・ダスティ 2022

アルコール度数が5.5%と低めに抑えられた、微発泡の甘口デザートワインです。甘味はもちろん酸味もしっかり感じられ、引き締まったバランスの良い味わいです。豊かな果実味を感じられるワインです。
このワインは、チェレット醸造所のモスカート・ダスティの一つであり、その繊細な泡立ちとフレッシュな果実味が特徴です。モスカートの品種特性を最大限に生かしたこのワインは、軽やかな飲み口と豊かな香りが魅力で、デザートワインとしても、食前酒としても楽しむことができます。

都農ワイン キャンブルスコ レッド NV

都農ワイン キャンブルスコ レッド NV

優しい果実の甘味を楽しめるスパークリングタイプの赤ワインです。キャンベル・アーリー種から造られた、都農ワインの新商品です。凝縮された香りに、適度な渋みも感じられるワインです。
このワインは、日本の気候と風土に適したキャンベル・アーリー種を使用しています。スパークリングワインとしての爽やかな泡立ちと、赤ワイン特有の果実味が見事に融合しており、様々な料理との相性も抜群です。

ミュンツェンリーダー トロッケンベーレンアウスレーゼ

ミュンツェンリーダー トロッケンベーレンアウスレーゼ

貴腐ワインならではの濃厚な甘味に、香ばしい香りを楽しめます。豊かな果実味が特徴のハーフボトルです。甘いデザートはもちろん、ブルーチーズやフォアグラと相性が良いです。
このトロッケンベーレンアウスレーゼは、ミュンツェンリーダー醸造所の代表的な貴腐ワインであり、その製造には非常に手間と時間がかかっています。貴腐菌が付いたブドウから得られる濃厚な果汁を使用し、長期間にわたって発酵・熟成させることで、深みのある味わいと香りを引き出しています。

7. まとめ

アイスワインは、自然環境の中で凍結したブドウを用いて造られる希少価値の高いワインです。凝縮された果実の甘味を楽しめるデザートワインとして人気を博しています。本記事では、アイスワインの特徴や歴史、おすすめの飲み方などを紹介しました。
アイスワインのような果実感を楽しめる甘口ワインを試してみたい方は、THE CELLAR online storeをぜひのぞいてみてください。

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吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。