1. タンニンとは?
タンニンは本来、植物が動物から身を守るために生成される物質です。
ポリフェノール(フラバノール)の一種であり、ワイン中の様々な成分と結合して複合体をつくる、重要な成分です。
強い渋みを感じる物質でもあるタンニンはワインの熟成にも関与しており、そのほかにも色素の安定やテイスティングにおいて使うボディという用語も関係してきます。
タンニンがどのようなものなのか、簡潔に解説していきます。
由来・歴史
タンニンは、私たちの身の回りにある様々な植物の樹皮(じゅひ)や幹、葉、実などに含まれており、古くから人々に利用されてきました。代表的なものが革製品の「なめし」です。
タンニンには、動物の皮膚を構成するコラーゲン(タンパク質)に作用してゼラチン溶液を沈殿させる性質があり、それにより皮を安定させ、腐敗や硬化を防ぎ、加工がしやすい状態にします。このなめし製法は植物タンニンなめしと呼ばれ、その歴史は紀元前にもさかのぼると言われています。
含まれる食品は柿やお茶
ブドウ以外でタンニンが多く含まれる食品は何があるでしょうか?
紅茶や緑茶などの茶葉、渋柿や栗の皮などがあげられます。どれも「渋み」や「苦味」が特徴的な味わいの食品です。多くの方が飲んでいるコーヒーはタンニンを含む食品として代表的です。
その他には古くから種子が鎮痛剤として用いられてきたブラジル産の植物「ガラナ」にも含まれています。
2.タンニンの効果
抗酸化作用
熟成時の酸化を防ぐ作用があります。白ワインに比べて、赤ワインの方が長期の熟成に耐えるワインが多いのもこのためです。
また、健康面においても抗酸化作用は老化防止や発がん抑制の効果もあるといわれています。
収れん作用
収れんとは、縮んだり、引き締まったりことです。赤ワインを口中に含むと、舌が乾いて引き締まったような感覚をもたらします。これはタンニンが唾液中に含まれるタンパク質と結合することによって起こる現象です。
3. タンニン以外のポリフェノールとは?
タンニンとはポリフェノールの一種です。
ポリフェノールとは一体何か、そしてタンニンのほかにも代表的なポリフェノールはアントシアンやクロロゲン酸などがあります。ポリフェノールとは色素成分であり、植物が紫外線から種子を守りためにあります。
アントシアニン:花や果実の赤や青色の色素でブドウでは主に黒ブドウに多く存在します。
クロロゲン酸:主にコーヒーやジャガイモに含まれる成分。抗酸化作用や脂肪の蓄積を抑える効果などで知られています。
カテキン:昔からタンニンと呼ばれてきた緑茶の渋みの成分です。
クルクミン:ウコンなどに含まれている、黄色の色素成分です。
イソフラボン:大豆胚芽に多く含まれる成分で植物性エストロゲンとも言われています。
4. ワインにタンニンが与える影響
タンニンがワインに与える影響を以下に味、色、保存期間の順番に解説します。
<味(渋み)>
・タンニンが豊富だと、重たい味わいになる。主にフルボディとされているワインの多くはタンニン豊富な傾向にある
・渋み、苦味、複雑さや余韻を作るのはタンニンの影響
<色>
・タンニンは酸化されにくい性質があり、ワインの色合いが安定する
・時間が立つとタンニンが他の物質と結合し、澱が発生し色味が薄くなっていく
<保存期間>
・ワインは酸化すると劣化してしまうが、タンニンは酸化を防ぐ作用を持つため、保存期間にも寄与する
・抗酸化作用により、長持ちしやすくなり、長期熟成を可能にしている
5. タンニンはワインのまろやかさも関係する?
タンニンとはワインに「渋み」をもたらす要素ですが、熟成したワインは味わいがまろやかになります。
タンニンは他の成分と結合しやすい性質を持っているため、時間の経過とともにポリフェノールなどと結合、オリとなって沈殿することによりまろやかな味わいになります。
製造してから時間が経つほどに渋みが減少してまろやかな味わいになるため、ワインの渋みが苦手な方は熟成度合いも基準の一つに選んでみてはいかがでしょうか。
6. ワインに含まれるタンニンは2種類ある
ワインにおけるタンニンは、ブドウ由来のものと、樽由来のものがあります。
これら、縮合タンニンと加水分解型タンニンを以下に解説します。
縮合タンニン
縮合タンニンとはブドウ由来のもので、縮合タンニンの多くはブドウ果皮や種子に分布する特徴があります。また、果皮と種子を一緒に発酵させ長時間漬け込む方法で醸造される赤ワインやオレンジワインにはタンニンが多く抽出されます。
加水分解型タンニン
主に樽由来のもので、オーク(樫の木)にタンニンが多く含まれているため、オーク樽熟成の期間が長いほど、樽からワインへとタンニンが溶出します。溶出の割合は1年間で0.2g /Lといわれ、樽熟成すると酸化が抑制され、色合いも安定します。
7. タンニンの豊かなワインを楽しむコツ
タンニンが豊富なワインはフルボディと分類され、ワイン単体で飲むと少し重いと感じる場合があります。
この場合、料理と合わせることによってタンニンのバランスをとることが可能です。これは中和のペアリングの一つで、料理のもつ油の重さに対してワインの重さを合わせるという方法です。タンニンの豊富なワインは油分の多いお肉料理などで中和して楽しむことにより、お互いのバランスがとれます。
また、タンニンはワインが熟成することによりオリとなって瓶底に沈澱していきます。熟成すればするほどタンニンは滑らかになり、シルキーな口当たりになります。
料理と合わせても飲みづらい場合は是非、セラー温度(14度前後)で数年間寝かせてみてはいかがでしょうか。
8. タンニンの豊かなおすすめワイン3選
最後にタンニンが感じられるおすすめワイン3選をご紹介します。
シャトー・フォングラーヴ ボルドー・ルージュ 2018
メルロー主体のフランス、ボルドー産の赤ワイン。
みずみずしい赤系の果実感にほんのり小梅のような旨味のあるこのワインはカジュアルなシーンでもパーティーなどでも楽しめます。濃厚で力強いタンニンと酸味のバランスが赤身のお肉の料理は全般的にカバーできてしまう万能なワインです。
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おすすめオーガニックワイン、赤ワインシャトー・フォングラーヴ ボルドー・ルージュ 2018
オーガニックワイン、赤ワインフランス/ボルドー通常価格1,738 円 (税込)通常価格単価 あたり750ml、メルロ他 750ml、メルロ他
ミディアムボディで親しみやすい飲み口
ベティッグ ヴィーノ・デ・プエブロ ピノ・ノワール 2023
ピノ・ノワールの特徴であるピュアな赤系の果実味と丸みのある緻密なタンニンと滑らかな酸があり、エレガントな仕上がりになっています。
手摘み収穫で自然酵母のみで発酵した後、ステンレスタンクとフレンチオークで10ヶ月間熟成しています。チリの最南端のマジェコ・ヴァレーにある特別な村「トライゲン」村のブドウのみで造られるお値段以上の質の高さに感動を覚える一本です。
2016年には「世界最優秀醸造家」にノミネートされる等、「ヴィーニャ・エラスリス」のチーフワインメーカーとして、世界的に高い評価を博してきたフランシスコ・ベティッグですが、2013年、従弟から土地を購入し、チリ最南端のマジェコ・ヴァレーで希望に満ちゆく夢への第一歩を踏み出しました。
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おすすめ赤ワインベティッグ ヴィーノ・デ・プエブロ ピノ・ノワール 2023
赤ワインチリ/マジェコヴァレー通常価格3,850 円 (税込)通常価格単価 あたり750ml、ピノ・ノワール、ミディアム 750ml、ピノ・ノワール、ミディアム
“真のブルゴーニュ愛好家に贈る”極上のデイリーワイン
マス・デル・ペリエ カオール レ・ゼスキュール 2021
平均樹齢約25年のビオロジック栽培法で育てられ、丁寧に手摘み収穫されたフランス南西地方のマルベックです。
タンニンと果実味のバランスが絶妙な、優しい口当たりの繊細さを感じるエレガントな仕上がりのワインです。
チェリーやカシス、複雑なスパイス感と程よい酸味を持ち合わせており、熟成させるとより複雑な味わいになります。
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おすすめオーガニックワイン、赤ワインマス・デル・ペリエ カオール レ・ゼスキュール 2021
オーガニックワイン、赤ワインフランス/南西地方通常価格3,498 円 (税込) 送料無料通常価格単価 あたり残り5個
750ml、マルベック、ミディアム 750ml、マルベック、ミディアム
エレガントで果実味が前面に出てくるスタイル
9. まとめ
タンニン豊富なワインは味わいに複雑さや色調の安定などさまざまなプラス効果があります。タンニンが特に豊富なバローロなどは熟成することにより、滑らかさと他の要素との一体感が生まれるので、ワインを少し寝かせてからの変化も楽しんでみてはいかがでしょうか。
カーヴ・ド・リラックスでは幅広いタンニンの豊富なワインを取り扱っており、各ワインに的確な解説がされているので是非、下記のリンクをご覧ください。