グラン・クリュの魅力とは?
グラン・クリュの魅力とは?

基礎知識や価格の目安、おすすめワインを紹介

基礎知識や価格の目安、おすすめワインを紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Taku Iguro

ワインの世界には、多くの専門用語がありますが、『グラン・クリュ』はフランス産ワインを語る上で欠くことができない存在です。ワイン初心者でも、グラン・クリュについて知っておくことで、ワイン選びや味わい方が一層楽しくなることでしょう。

本記事では、グラン・クリュに関する基本知識から魅力や初心者でも楽しめるポイントまでわかりやすく解説します。
ワインの世界には、多くの専門用語がありますが、『グラン・クリュ』はフランス産ワインを語る上で欠くことができない存在です。ワイン初心者でも、グラン・クリュについて知っておくことで、ワイン選びや味わい方が一層楽しくなることでしょう。

本記事では、グラン・クリュに関する基本知識から魅力や初心者でも楽しめるポイントまでわかりやすく解説します。

グラン・クリュの魅力とは?基礎知識や価格の目安、おすすめワインを紹介

基礎知識や価格の目安、おすすめワインを紹介
2024.08.08

1. グラン・クリュとは

グラン・クリュとは

『グラン・クリュ(Grand Cru)』はフランス語で『偉大な畑』という意味を持ちます。フランスでは地方によってブドウ畑を格付けをする制度があり、グラン・クリュは最高品質に当たる『特級畑』を指します。

ワインのラベルに『グラン・クリュ(Grand Cru)』と表記されている場合、”特級にランク付けされている畑のブドウのみを使用したワイン”という意味を持つのです。

2. 地方で異なるグラン・クリュの概念

ブドウ畑に対する『グラン・クリュ』という格付けは多くのフランスワインで使用されていますが、全ての地方で同じ概念で使用されているわけではありません。

フランスを代表するワインの産地である『ブルゴーニュ』『アルザス』『シャンパーニュ』『ボルドー』それぞれのグラン・クリュの概念に関して紹介します。

ブルゴーニュ

ブルゴーニュでのグラン・クリュは、『原産地統制呼称(Appellation d’Origine Controlee)』に基づいたブドウ畑の区分です。
原産地統制呼称は、フランスにおけるワイン産地ごとのブドウ品種や栽培方法、醸造方法を守るための制度であり『A.O.C.』と略されます。

ブルゴーニュのブドウ畑は、A.O.C.の区分によって以下の4段階に分けられます。
■グラン・クリュ(特級畑)
■プルミエ・クリュ(一級畑)
■ヴィラージュ(村名)
■レジョナル(地方名)

ブルゴーニュでは、最高峰のブドウ畑を『グラン・クリュ』として認定しています。
ブルゴーニュのワインのなかでグラン・クリュとして認められるものは、全生産量の1.5%程度です。
プルミエ・クリュからグラン・クリュに昇格した畑もありますが、非常に稀な事例です。
(1992 La Grande Rue, 1981 Clos des Lambrays)

アルザス

アルザスのA.O.C.は『アルザス “Alsace”』と『ヴァン・ダルザス “Vin d’Alsace”』の2階層から構成されます。
一部の優れたぶどう畑は『グラン・クリュ』と名乗ることが認められており、現在では51のグラン・クリュが存在しています。

アルザスのグラン・クリュの生産量は全体の4%程度です。
アルザスでグラン・クリュと認められるワインに使用するブドウの品種は以下の6品種に限られています。
■リースリング
■ゲヴュルツトラミネール
■ピノ・グリ
■ミュスカ
■シルヴァネール(Zotzenbergのみ)
■ピノ・ノワール(Kirchberg de BarrとHengstのみ)

シャンパーニュ

シャンパーニュにおける『クリュ』は、【ブドウ畑】ではなく【村】を指します。

昔のシャンパーニュ地方では、ブドウの取引に『公定価格』が採用されており、村単位で公定価格をベースにいくらでブドウを売るかを決定していました。
このブドウの取引において、公定価格100%の価格でブドウを販売することができた村が『グラン・クリュ』として認められたのです。なお、公定価格の90~99%の価格で販売した村は『プルミエ・クリュ』と呼ばれました。

公定価格制度は1919年に導入され、1999年に廃止されましたが格付けのみが現在も残っています。

ボルドー

ボルドーにおける格付けは、畑や村ではなく『シャトー』と呼ばれる『ワイン醸造所』を対象に使われます。
格付けがなされるのは、ボルドーの中でも『メドック地区』と『サン・テミリオン地区』のみです。

メドック地区では、1855年開催の『パリ万博』の際に制定された格付けをもとに、61のシャトーが5つの段階のクラスに分類されています。
サン・テミリオン地区は広域に対してグラン・クリュと表記を使用しており、品質の高さを表すものではありません。サン・テミリオン地区の高い品質を誇るワインは『プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ』という表記を用いています。

『プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ』はAとBがあり、合わせて14のワイナリーのみが認定されています。
(A: FigeacとPavieのみ)

3. グラン・クリュの価格

グラン・クリュの価格

『グラン・クリュ』の概念は地方によって若干の違いがありますが、総じて最高レベルのワインにのみ与えられる格付けであると言えるでしょう。

最高レベルのワインっていくらくらいするんだろう…?と気になりますよね。
高品質のワインを購入する際の価格の目安は地方によって異なります。

■ブルゴーニュ地方 最低3万円以上
■アルザス地方 1万円以上の価格が中心となるが、1万円以下のものも
■シャンパーニュ地方 1万円前後~
■ボルドー地方 1万円前後~

4. おすすめワイン3選

フランスワインの最高峰とも呼べる『グラン・クリュ』に認定されたワインを楽しみたい!
そんなあなたへ、グラン・クリュのおすすめワイン3本をご紹介します。

ドメーヌ・ウィリアム・フェーヴル シャブリ・グラン・クリュ ブーグロ 2020(ハーフ)

ドメーヌ・ウィリアム・フェーヴル シャブリ・グラン・クリュ ブーグロ 2020(ハーフ)

豊かな香りとリッチで滑らかな味わいのワイン。
短時間プレス(1時間~2時間)し低温にて軽く清澄。樽発酵50~70%、ステンレス発酵30~50%。
14~15ヶ月熟成(60~70%は小樽で5~6ヶ月熟成、残りの期間ステンレスタンクへ)
コート・ド・ブーグロと対照的で粘土質の土壌由来のリッチでなめらかな質感を持ちます。
ウィリアム・フェーヴルのグラン・クリュの中で一番酸味がやわらかいワインです。

ジャン・ラルマン・エ・フィス ブリュット・トラディション ヴェルズネイ・グラン・クリュ NV

ジャン・ラルマン・エ・フィス ブリュット・トラディション ヴェルズネイ・グラン・クリュ NV

フローラルな香りとグラン・クリュならでは力強い味わいを持つワイン。
ホーロータンクで発酵、瓶内熟成30ヶ月以上。
蜜林檎にジンジャー、ブリオッシュや焼きたてパンの香りがあります。
フレッシュで透明感のある伸びやかな酸味と柔らかくクリーミーな味わいが魅力です。

ドメーヌ・トラペ・アルザス ピノ・グリ ゾンネングランツ グラン・クリュ 2016

ドメーヌ・トラペ・アルザス ピノ・グリ ゾンネングランツ グラン・クリュ 2016

ストラスブルグの南のコルマールの町の近くにゾンネングランツの区画があります。
この区画の標高は約250メートルで粘土石灰質が主でムール貝の化石が多くみられる畑です。
果実味たっぷりでボディに厚みがあり、オイリーでリッチな味わいのワインです。
酸味が穏やかな品種なのでブドウを早摘みし、フレッシュな味わいになるように心掛けています。

5. まとめ

グラン・クリュは、フランスワインの中でも特別な存在であり、その品質において特に際立っています。
ワインに親しみがない方にとっては少し敷居が高いかもしれませんが、ぜひグラン・クリュの魅力を体験し、特別な日のワイン選びの参考にしてみてください。

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井黒 卓

ロオジエ ビバレッジ・ディレクター兼シェフソムリエ

2020年 第9回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
総合ワインコンサル TACTICAL WINE CONSULTANT代表
一般社団法人 日本ソムリエ協会 理事