シラーワインの特徴とは?
シラーワインの特徴とは?

代表的な2つの産地や味わい、ほかのワインとの違いも解説

代表的な2つの産地や味わい、ほかのワインとの違いも解説

THE CELLAR JOURNAL Feb.2023 --- writer : Wataru Iwata

赤ワインの代表的なブドウ品種の1つで、様々なスタイルの赤ワインを産む品種として知られる「シラー」。
その中でもブラックペッパーのようなスパイシーな香りがこの品種の特徴として知られ、多くの消費者を魅了しています。
フランスを代表する黒ブドウの1つとして知られ、主に北ローヌ地方を中心に栽培されており、現地では果実の凝縮感と共に、ブラックペッパーやスミレのような香りに加え、ストラクチャーがしっかりとした赤ワインが作られており、フルボディのワインが好きな方には非常におすすめなブドウ品種です。様々なエリアでも栽培が広まっており、その人気の高さが伺えます。
レストランやご家庭でよりその魅力を味わえるように、今回は基本的なシラーの品種の特徴とともに、代表的な銘柄を紹介させていただきます。
赤ワインの代表的なブドウ品種の1つで、様々なスタイルの赤ワインを産む品種として知られる「シラー」。
その中でもブラックペッパーのようなスパイシーな香りがこの品種の特徴として知られ、多くの消費者を魅了しています。
フランスを代表する黒ブドウの1つとして知られ、主に北ローヌ地方を中心に栽培されており、現地では果実の凝縮感と共に、ブラックペッパーやスミレのような香りに加え、ストラクチャーがしっかりとした赤ワインが作られており、フルボディのワインが好きな方には非常におすすめなブドウ品種です。様々なエリアでも栽培が広まっており、その人気の高さが伺えます。
レストランやご家庭でよりその魅力を味わえるように、今回は基本的なシラーの品種の特徴とともに、代表的な銘柄を紹介させていただきます。

シラーワインの特徴とは?代表的な2つの産地や味わい、ほかのワインとの違いも解説

代表的な2つの産地や味わい、ほかのワインとの違いも解説
赤ワイン2024.05.20

1. シラーとは?

シラーとはフランスのコート・デュ・ローヌ地方原産の赤ワイン用ブドウ品種であり、フランス国内におけるブドウ栽培面積でもメルロ、グルナッシュに次ぎ、第3位の栽培面積を誇ります(約67,000ha)。もちろんフランスだけでなく、世界中で栽培されている国際品種で基本的には温暖な気候を好むブドウ品種です。

ニューワールドでも主にオーストラリアでは「シラーズ」という名前で呼ばれていて、オーストラリア国内のブドウ品種の栽培面積では最大を誇ります。 その他のエリアでもアメリカやチリ、アルゼンチンと北米から南米諸国、そして南アフリカやニュージーランドでも高いクオリティのものが近年は作られています。

シラーの2大産地

前述したようにシラーを代表する生産国としたらフランスとオーストラリアが有名です。
フランスの産地であれば北ローヌ地方、そしてオーストラリアであれば南オーストラリアのバロッサ・ヴァレーがとても有名です。

フランス「北ローヌ」

フランス「北ローヌ」

ローヌ地方はヴァランスという街を境に南北で分かれており、同じシラーでも異なるタイプのワインが北、そして南ローヌ地方で作られています。 南ローヌ地方でもシラーは栽培されており、基本的にはグルナッシュという品種のブレンドパートナーとして使用されます。 一方、シラーの品種のキャラクターがより明確に感じられるのが北ローヌのシラーであり、主に100%、または少量他の品種(ヴィオニエなど)とブレンドされます。

オーストラリア「バロッサ・ヴァレー」

オーストラリア「バロッサ・ヴァレー」

オーストラリアを代表するシラー(シラーズ)の銘醸地であるバロッサ・ヴァレーは南オーストラリア州の州都であるアデレードから北東50kmの位置にある内陸のワイン産地です。
樹齢が100年を超えるような古木が数多く見られ、果実味に富む、濃厚でエレガントなスタイルのワインが数多く作られています。また、気候もフランスの北ローヌ地方に比べて、より温暖で乾燥しているエリアでもあるので、より凝縮感が顕著に感じられるスタイルが多いのも特徴です。

滑らかなタンニンを楽しめるシラーの味わい

シラーは栽培される産地の気候や土壌によっても大きく味わいが異なり、テロワールをワインに反映させやすいブドウ品種の1つでもあります。

フランス - シラーの品種特徴であるブラックペッパーのスパイシーな香りが全面的に出ると共に、レザーのような動物的なニュアンスや甘草、タール、スミレのお花のような香りが出やすいです。
オーストラリア - より熟した黒い果実の凝縮感が全面的に出る、非常にパワフルで濃厚なスタイルが多いです。

両者に共通して感じられる特徴としては、しっかりとしたストラクチャーを持ちながら、穏やかなタンニンの質感と豊かなコクがバランスよく味わいに現れ、とても滑らかで上品なテクスチャーが楽しめます。

シラーの歴史と名前の由来

シラーの品種名の由来はインドヨーロッパ言語の”ser”に由来すると言われていて、「長期間」ということを意味する言葉から来たと言われています。 ラテン語で「晩熟」を意味するserusという言葉ができ、シラーのシノニム(同義語、別名)であるSerine(セリーヌ)が生まれ、それが転じて現在知られているシラーという名前が流通したと考えられています。

長らくフランスの北ローヌ地方で栽培されていましたが、英国の駐在員であるジェームズバスビーがフランスのモンペリエよりオーストラリアに持ち込んだとされており、その当時はScyrasと呼ばれており、その名残でオーストラリアではシラーズと呼ばれていると言われています。

シラーワインの醸造法

シラーワインの醸造法

シラーのワインの醸造法としては多岐にわたっており、産地によってそのブドウの扱い方も異なってきます。 大きく分けると「全房発酵」「混醸」「ブレンド」の3種類があります。

全房発酵 - ブドウの果皮と種子、果肉、梗を一緒に醸す醸造方法
特徴 -もクラシックな醸造方法であり、華やかな香りやハーバル、スパイシーなニュアンスをワインに与える
産地 -ルナスなど

混醸 -数の品種のブドウを同一のタンクで醸す醸造方法
特徴 -素を安定させるための補助や、タンニンの抽出を和らげることができる
産地 -ート・ロティ、エルミタージュなど

ブレンド -々なブドウ品種を組み合わせる醸造方法
特徴 -パイス的な要素として最終的に出来上がるワインにアクセントを加えたり、バランスを整える
産地 -ローヌ地方、南オーストラリア州など

2.シラーワインが人気な理由

シラーのワインは前述したように黒コショウのようなスパイシーなアロマを持つ非常に特徴的なワインで、他の品種ではあまり感じることがないようなキャラクターを持ちます。また長期熟成が可能なブドウ品種の1つとしても知られています。

オーストラリアのバロッサ・ヴァレーに代表されるような重厚感があるワインが多いですが、タンニンは決して角があるような味わいに厳しさを与えるような質感ではなく、とても柔らかく滑らかでもあることから、充実感がありながら、同時に親しみやすさを与えてくれる特徴があるのも人気な理由の1つです。
また、オーストラリアでは南オーストラリア州に限らず、ヴィクトリア州やニューサウスウェールズ州などでも数多く栽培されており、国を代表するブドウ品種となったことでさらにその名前を世界に知らしめています。

3.シラーワインにおすすめの料理

シラーワインの醸造法

シラーはもちろんそのままワインだけで十分に楽しむことができる品種ですが、その本領を発揮するのは、やはりそれに合うお料理と合わせる時です。特にシラーが持つスパイシーなアロマやアクセントとして感じる動物的なニュアンスが魅惑的なワインで、飲みごたえもしっかりとあります。
そのため、様々な肉料理との相性がとても高く、フレンチでもメインディッシュの際に提供されることが多々あります。その中でも非常におすすめな料理の一例を挙げるとしたら、

フランス シラー - のロースト ソースポワブラード、鳩のロースト ソースサルミなど
オーストラリア シラー(シラーズ) -羊のロースト、BBQ、和牛のステーキなど

4.カベルネ・ソーヴィニヨンとの違い

カベルネ・ソーヴィニヨンとの違い

他の品種との違いについて比較するとよりシラーの持つ特徴がわかりやすくピックアップできると思います。同じフランスを代表する国際品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンと比較してみます。

類似する品種としてよく挙げられるのがカベルネ・ソーヴィニヨンですが、いくつか大きく異なる特徴があります。 この品種の香りの特徴としては主に黒系のフルーツが中心で、ローズマリーやタイムといったようなハーブ的な香りと共に、ナツメグやバニラのようなスパイスが調和するようなアロマを持つことが多いです。またタンニンの質感もシラーに比べるとより堅牢で、しっかりとした噛みごたえのあるようなテクスチャーを持ちます。

つまり、黒コショウのようなスパイシーで少し香りにもパンチが効いているような赤ワインを楽しみたい場合であれば、またそのような料理を選んでいる際にはフランスのシラーを、または重厚感ある果実味を楽しみたい場合や豪快な肉料理やコッテリとした味わいの料理の際にはオーストラリアのシラー(シラーズ)やカベルネ・ソーヴィニヨンをチョイスすると、異なったシチュエーションであっても、それぞれを楽しむことができます。

オーストラリアの土地で育ったシラー(シラーズ)は北ローヌのシラーと比べるとより熟した果実の凝縮感が全面的に出やすいスタイルが多く、タンニンの含有量自体もやや高く感じる場合も多いので、気分に合わせて産地を変えるのも良いでしょう。
類似した品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンについて詳しく知りたい方は、是非こちらのリンクもチェックしてみてください。

-- カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴とは?品種の比較をしてわかりやすく解説

5.シラーを使用しているおすすめのワイン

それではシラーを使用した代表的な銘柄をいくつか紹介したいと思います。どれもシラーの特徴が表れているテキストブックのようなワインたちです。

E.ギガル コート・デュ・ローヌ・ルージュ 2018

E.ギガル コート・デュ・ローヌ・ルージュ 2018

まずはローヌを代表する偉大な生産者の一人、E.ギガルのシラーから紹介します。
ヴィンテージのバリエーションに関わらず常に品質の高いシラーを世に生み出す生産者で、安定した味わいが特徴です。 ブラックベリーやプラムの果実香に、スミレを思わせるフローラルな香りが楽しめる一本です。 赤ワインに飲み慣れていない方、またはシラーを初めて飲んでみる、という方にはおすすめの一本です。

赤ワイン
E.ギガル コート・デュ・ローヌ・ルージュ 2018

原産国 フランス / ローヌ
品種 シラー、グルナッシュ、ムールヴェドル
度数 14.5%

ローラン・ファヨール クローズ・エルミタージュ クロ・レ・コルニレ 2020

ローラン・ファヨール クローズ・エルミタージュ クロ・レ・コルニレ 2020

次のワインは樹齢60年を超える古木のシラーから作られるよりシリアスな赤ワインです。 古木らしいエネルギッシュな味わいでより力強く、密度が高い、ストラクチャーのしっかりとした味わいで、のびやかな酸がとても上品にワインの味わいをまとめています。
シラーらしいスパイシーでパンチの効いた本格的な赤ワインを楽しみたい方におすすめです。

赤ワイン
ローラン・ファヨール クローズ・エルミタージュ クロ・レ・コルニレ 2020

原産国 フランス / ローヌ
品種 シラー
度数 15%

イヴ・キュイユロン リパ・シニストラ ヴァン・ド・ペイ・デ・コリンヌ・ローダニエンヌ 2009

イヴ・キュイユロン リパ・シニストラ ヴァン・ド・ペイ・デ・コリンヌ・ローダニエンヌ 2009

最後は北ローヌの名門ドメーヌであるイヴ・キュイユロンが手がける最高峰シラーの一本。
口当たりはしっかりとしていて、タンニンは柔らかく熟しており、2009年のヴィンテージということもあり、シラーの熟成した際のポテンシャルを最大限に発揮したワインです。熟成による円熟味が感じられ、奥深い秀逸なワインで、ガストロノミックな肉料理、ジビエ料理と最高の愛称を見せます。

赤ワイン
イヴ・キュイユロン リパ・シニストラ ヴァン・ド・ペイ・デ・コリンヌ・ローダニエンヌ 2009

原産国 フランス / ローヌ
品種 シラー

6.まとめ

シラーは比較的しっかりとした飲みごたえのあるワインを生む黒ブドウですが、それぞれの産地によってもそのスタイルが大きく異なるように、色々なスタイルを楽しむことができます。 単一でもブレンドでもワインが作られるため、同じく有名なカベルネ・ソーヴィニヨンとも比較的似ている部分があります。 フランスのシラーは黒コショウのようなスパイシーな香りが顕著で、しっかりとパンチの効いたワインを楽しみたい時によりおすすめです。 またオーストラリアのシラー(シラーズ)はその異なるテロワールの影響で、よりフルーティーで凝縮感ある味わいを楽しむことができます。

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