
そんな日本ワインの歴史が詰まった塩尻市の片丘地区で山梨大学・大学院でワインの勉強をし、1980年代にはフランスでワインを学び、シャトー・メルシャンという、長い歴史を持った「日本ワインの原点」ともいえる会社で長くワイン醸造の責任者として活躍されてきた。
そんな日本ワイン会の大御所と言える方が、塩尻でのメルロに特化したワイン造りをしている味村さん。2016年に塩尻市片丘地区でブドウ栽培を開始し、2019年にご自身の名前を付したワイナリーをオープンした。

山梨大学院卒業後、味村さんはメルシャンに入社し研究所での業務をスタートする。1980年代後半にはフランス・ボルドー大学へ派遣され、その後パリ事務所でも勤務された。日本に戻ってからは、メルシャン勝沼工場で醸造責任者として、多数のワインを世に送り出してきた。メルシャンの「甲州きいろ香」という大ヒットした商品をご存知の方もおられるだろう。味村さんが醸造責任者として携わったものだ。
ワイナリーがある場所は、温暖化の影響がない訳ではないが、標高700mに位置し、寒暖差も十分ある。国際品種を育てるには、最高の場所だと踏んだ。

同じ国際品種でも、例えば、カベルネ・ソーヴィニヨンは日本の気候で完熟させるのは難しく、年によって質にバラツキが出やすい。ピノ・ノワールは栽培場所を選ぶ品種であり、世界的に見ても産地は限定的で、日本で成功させるのはハードルが高い。その中で、メルロは絶対成功できる品種だという自信があった。それに自身も好きな品種である。
ドメーヌ・コーセイにとってバラはシンボル的存在で、ワインボトルのエチケットにも用いられている。とは言え、実際にバラを取り寄せ、植えるとは!バラはブドウよりも繊細で病気になりやすいため、ブドウに影響が出る前に変化に気付いて対処ができるという説もある。ただ、「バラの発色がキレイなので、寒暖差は間違いなくある」と仰った。確かにバラの色は綺麗で、この場所がブドウ栽培に適していることを証明している。

