ヴーヴ・クリコは世界的に有名なシャンパーニュのブランドです。フランス・シャンパーニュ地方を拠点に、200年以上の歴史を誇る老舗メゾンとして知られています。ブランド名の「ヴーヴ(Veuve)」はフランス語で「未亡人」を意味し、その名は創業者の義娘にあたるバルブ・ニコル・クリコ・ポンザルダンに由来します。1777年、ランスで紡績業を営む家に生まれた彼女は、27歳の若さで夫を亡くした後、義父が設立したシャンパーニュメゾンの経営を引き継ぎます。
当時は男尊女卑が色濃く、海外輸出を行うワインビジネスに女性が関わることは極めて珍しいことでした。しかしマダム・クリコはその壁を打ち破り、1810年にはシャンパーニュ地方初のヴィンテージ・シャンパンを誕生させます。同年、社名を現在の「ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン」に改称しました。
1814年には、禁輸措置が続く中でロシアへの輸出を強行。その行動力が実を結び、ロシア皇帝の末弟ミハイル大公が「ヴーヴ・クリコしか飲まぬ」と絶賛したことで、ヴーヴ・クリコは一躍世界的なブランドへと成長を遂げました。
さらにマダム・クリコは、今日のシャンパーニュ製造に欠かせない「動瓶台(ルミュアージュ台)」を考案し、澱を除去して美しい透明な液体を生み出す画期的な技術革新を成し遂げました。「品質はただひとつ、最高級だけ」の信念を持ち、シャンパーニュ史にその名を刻んだ偉大な女性実業家です。
ヴーヴ・クリコの味わいなどの特徴
ヴーヴ・クリコは、ブランドカラーとして採用されている「クリコ・イエロー」と呼ばれる太陽のように明るい黄色でも広く知られています。見た目の華やかさに加え、味わいにもそのスタイルは反映されています。
ヴーヴ・クリコのシャンパーニュの特徴は、力強さと複雑さ、そして繊細さの絶妙なバランスにあります。その品質は、初回の圧搾で得られる最も純粋な果汁「キュヴェ」だけを使用することで実現されており、セラーマスターと呼ばれる醸造責任者たちが脈々とそのスタイルを守り続けてきました。メゾンの歴史の中でこの役職に就いた人物は、わずか11人しかいません。
代表的なワインには、以下の3種類があります。
ヴーヴ・クリコに合う料理
ヴーヴ・クリコは、果実味と酸味のバランスが整っており、フレッシュさとコクを兼ね備えた食中酒としても優れたシャンパーニュです。一般的に食前酒として親しまれますが、料理とのペアリングも非常に楽しめます。
種類ごとの特徴に合わせたおすすめの料理をご紹介します。
ヴーヴ・クリコのおすすめのシーン
シャンパーニュは古くからお祝いの場に欠かせない飲み物とされてきました。グラスに注がれる際に生じる泡のはじける音は「天使の拍手」と呼ばれ、祝いのムードを一層高めてくれます。
ヴーヴ(未亡人)という意味合いから、結婚式にはふさわしくないと考える人もいるかもしれませんが、イギリス王室の婚礼でも供されているので、縁起の悪さを気にする必要はありません。むしろクリコ・イエローの鮮やかなラベルは、会場を明るく彩る演出の一部として人気があります。
また、ヴーヴ・クリコは長い歴史を持つ由緒あるメゾンであるため、贈答品としても最適です。とくにイエローラベルは、ブランドの象徴的存在であり、贈り物に選べばそのセンスの良さが光ります。
加えて、マダム・クリコの「女性起業家としての先駆的な功績」を称えたビジネスウーマン・アワードを設立するなど、現代においても女性の活躍を後押ししています。そのため、働く女性への贈り物としてもふさわしいシャンパーニュと言えるでしょう。