中四国のワイナリー
中四国はワインの産地としてはそれほど名が通っていないかもしれません。しかし現在、このエリアの9県全てで日本ワインが生産されています。 この中で最も生産量が多いのが岡山県。元々、ハウス栽培の生食用マスカットで定評のある県で、大手ビールメーカーのワイナリーもありますが、 現在は新見市などの内陸部にワイナリーの設立が続いています。
中でも日本では珍しいテラロッサの土壌でぶどうを栽培するDomaine Tettaは海外からも注目されており、ナチュラルなアプローチで滋味深いワインを生むコルトラーダなども興味深いワインをつくります。
倉敷市のGRAPE SHIPなど、元々の名産であるマスカット・オブ・アレキサンドリアを活かしたワインづくりを行う生産者も出て来ています。
お隣の広島県でも内陸部を中心にワインが生産されています。広島三次ワイナリーが有名ですが、他にも海外のコンクールで金賞を受賞するようなワイナリーも登場して来ています。広島県の内陸部は高品質なシャルドネに定評があります。山陰側では島根県が独自の魅力を放っています。実は山梨県の次に甲州の生産量が多い都道府県は島根県(とは言え全国シェア2.5%程度ですが)。出雲大社の畔で内陸の山梨とはまた異なる柔らかな味わいの甲州が生まれています。
また、内陸に入った木次では木次乳業のグループ会社である奥出雲葡萄園が小公子やシャルドネから魅力的なワインを生んでいます。
お隣の鳥取県は砂丘で有名ですが、砂丘近くでぶどうが栽培されており、砂質ならではの香り高いワインが生産されています。
中国地方の最後、山口県のワイナリーはまだまだ少ないですが、瀬戸内海の島でもワインづくりが始まっています。四国のワイナリー数は2022年末の統計で4県計で10軒。高知と香川に3軒ずつ、愛媛と徳島に2軒ずつです。高知県は暑く、秋の台風の影響も受けやすい県ですが、萌芽から収穫までの生産サイクルが他県よりも早く、台風の影響は限定的です。ボルドー液の生産会社が立ち上げた(=石灰質土壌の)ワイナリーが興味深いワインを生産しています。アルバリーニョも注目したいところ。
その他の県でも新規のワイナリーの設立が続いていますが、まだ県の特徴や象徴的なぶどう品種と言ったものが生まれる状況ではありません。生食用ぶどうも交えつつ、安定的なぶどう生産を目指すワイナリーが多いです。比較的天候が安定している、小豆島などの瀬戸内の島々でのワイン生産も増えています。