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シャサーニュ・モンラッシェは白ワインの生産地!

シャサーニュ・モンラッシェは白ワインの生産地!
シャサーニュ・モンラッシェは白ワインの生産地!

気候などの特徴やおすすめ商品を紹介

気候などの特徴やおすすめ商品を紹介

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Taku Iguro

シャサーニュ・モンラッシェは、フランス/ブルゴーニュ地方にある「白ワインの王様」と呼ばれる世界最高峰の白ワインを生産する村の名前です。
シャサーニュ・モンラッシェのワインを飲むなら、事前に基礎知識を身に付けておくとより楽しめるかと思います。
本記事では、シャサーニュ・モンラッシェの基礎知識や合う料理、おすすめのワインなどを紹介しますのでぜひご覧ください。
シャサーニュ・モンラッシェは、フランス/ブルゴーニュ地方にある「白ワインの王様」と呼ばれる世界最高峰の白ワインを生産する村の名前です。
シャサーニュ・モンラッシェのワインを飲むなら、事前に基礎知識を身に付けておくとより楽しめるかと思います。
本記事では、シャサーニュ・モンラッシェの基礎知識や合う料理、おすすめのワインなどを紹介しますのでぜひご覧ください。

シャサーニュ・モンラッシェは白ワインの生産地!気候などの特徴やおすすめ商品を紹介

気候などの特徴やおすすめ商品を紹介
2025.01.21

1. シャサーニュ・モンラッシェとは?

シャサーニュ・モンラッシェ村は、フランスのブルゴーニュ地方、コート・ド・ボーヌ地区にあります。元々は単にシャサーニュ村と呼ばれていましたが、1879年にモンラッシェの名を冠して現在の名称に変わりました。

現在はグラン・クリュである「モンラッシェ」を始めとした白ワインの銘醸地として名を馳せていますが、1980年代までは赤ワインを中心に生産されていました。

恵まれた気候と多様な土壌

シャサーニュ・モンラッシェ村はワインの生産地としてだけでなく、石の産地としても有名です。村には大理石の採石場があり、パリにあるルーブル美術館のピラミッドの敷石など数多くの歴史的建造物に使われています。

畑は、村の北西部にある「ブラニィの丘」の南東斜面に位置し、日当たりは良好で標高220m~325mになります。
約1億7500万年前のジュラ紀に形成された畑の基盤は、区画により石灰質、砂利質、泥灰質、砂質が交わる複雑な土壌を形成し、ワインの味わいに深く影響を与えています。

ワインの味や香りの特徴

シャサーニュ・モンラッシェで造られる白ワインの色はゴールドで、アカシアの花のような華やかな香り、豊かな果実味、ミネラル感が特徴的です。
厚みのある味わいでありながら、柔らかで優しい余韻は、熟成を経て蜂蜜のような濃厚な味わいが加わります。

赤ワインは、紫がかった赤色で、野イチゴやキイチゴを思わせるようなアロマ、黒コショウのようなスパイシーな香りが複雑に絡み合います。
若いうちはタンニンを強く感じますが、熟成を経ることで柔らかいタンニンへと変化し、凝縮された果実味と複雑な風味が一体となった、深みのある味わいを堪能できます。

2. ピュリニー・モンラッシェとの違い

ピュリニー・モンラッシェとの違い

グラン・クリュの畑であるモンラッシェは、ピュリニーモンラッシェとシャサーニュ・モンラッシェの2つの村にまたがっています。道路を挟んですぐ隣という位置関係ですが、ピュリニー側とシャサーニュ側で下記のような異なるタイプのワインが生まれます。

・ピュリニー・モンラッシェ村(北側):気品ある引き締まった味わい
・シャサーニュ・モンラッシェ村(南側):果実味が豊かで丸みのある味わい

シャサーニュ・モンラッシェ村は元々赤ワインで有名なエリアでしたが、モンラッシェがあまりにも有名なためにピノ・ノワールからシャルドネへの植え替えが進められました。
ピュリニー・モンラッシェには村名を名乗る赤ワインはありませんが、シャサーニュ・モンラッシェでは少量ながらプルミエ・クリュ ルージュも生産されています。

3. 3つのグラン・クリュ(特級畑)

シャサーニュ・モンラッシェ村には、ピュリニー・モンラッシェに隣接する「モンラッシェ」をはじめ、「クリオ・バタール・モンラッシェ」、「バタール・モンラッシェ」の3つのグラン・クリュがあります。
以下で畑を詳しく紹介します。

モンラッシェ

畑の広さは約8ヘクタールほどで、ピュリニー・モンラッシェ村とシャサーニュ・モンラッシェ村で約半分ずつ分け合っています。
完熟した果実の豊かな風味と洗練された気品が調和し、「世界最高峰の白ワイン」と評されるほど他のワインを凌駕する格調高いワインが造られています。
三銃士で有名なデュマが「ひざまづき、脱帽して飲むべし」という言葉を残したようにその偉大さを感じ取れます。

クリオ・バタール・モンラッシェ

シャサーニュ側のみにあるグラン・クリュの畑で広さは0.21ヘクタールほどしかありません。モンラッシェ地区のグラン・クリュの中で最も栽培面積が小さく、その上7名もの生産者が分割所有しているため市場への流通量が限られています。

バタール・モンラッシェ

バタール・モンラッシェはモンラッシェと同様、ピュリニーとシャサーニュにまたがっています。モンラッシェに隣接していますが、斜面の下部に畑が広がり、傾斜も緩やかです。
表土の厚い粘土石灰質土壌で、モンラッシェ地区のグラン・クリュでは1番ボリューミーでリッチな味わいへと仕上がります。

4. 個性的なプルミエ・クリュ(一級畑)

続いてプルミエ・クリュのご紹介です。
シャサーニュ・モンラッシェ村には50以上のプルミエ・クリュがあります。その中でもレ・シャン・ガン、レ・カイユレ、モルジョ、クロ・サン・ジャンなどの一級畑は、グラン・クリュに匹敵するほどの芳醇な香りと、熟成による深みのある力強いワインを生み出しています。

レ・シャン・ガン

斜面の中腹という恵まれた立地のプルミエ・クリュです。
若いうちから力強い味わいのワインが楽しめます。

レ・カイユレ

斜面の最上部に位置するプルミエ・クリュです。
表土が薄いため、ミネラル感が豊かで、若々しく力強いエッジの効いた味わいが特徴です。

クロ・サン・ジャン

南東向き斜面のプルミエ・クリュで白よりも赤向きの畑と言われる通り、2/3がピノ、1/3がシャルドネという栽培比率になっています。
日当たりがよくブドウも熟しやすいため骨格のある赤ワインが多く造られます。

ラ・ブードリオット

石灰質、褐色の粘土、泥灰土という異なる土壌が存在し、バランスの良いブドウが生み出されるのが特徴です。
表土の薄い斜面上部ではシャルドネ、粘土質の多い下部ではピノ・ノワールが栽培に向くとされています。

モルジョ

シャサーニュ・モンラッシェ村のプルミエ・クリュでは一番南に位置する畑です。粘土石灰質土壌が広がり、ワインに豊富なミネラルと複雑な風味を与えます。
赤・白ともに優れたワインを生み出す銘醸畑です。

シャサーニュ・モンラッシェのワインに合う料理

ピュリニー・モンラッシェとの違い

シャサーニュ・モンラッシェのワインは白・赤どちらもしっかりとしたボディがあるので料理もある程度ボリューム感があるものがおすすめです。

白ワインでは鶏肉や子牛のソース煮込み、スパイシーな魚料理、鮭、伊勢海老、オマール、フォアグラなど豊かな風味を持つ料理と合わせやすいです。
赤ワインはタンニン・果実味がしっかりと感じられますのでお肉のグリルやローストは外さない組み合わせとなります。すき焼きとの相性もいいでしょう。

強い香りとミルキーな味わいを持つチーズは、シャサーニュ・モンラッシェの白ワインの豊かな風味とよく合うのでこちらもおすすめです。

シャサーニュ・モンラッシェのおすすめワイン

最後にシャサーニュ・モンラッシェのおすすめワインをご紹介します。

グラン・クリュ

まず初めにグラン・クリュです。

ジャック・プリウール モンラッシェ 2021

ジャック・プリウール モンラッシェ 2021

ベスト・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを女性として初めて受賞した醸造家が手掛けるドメーヌです。
ビオロジック栽培の導入、低収量かつ高い熟度まで生育してからの収穫など数々の手法でドメーヌの評価を押し上げました。

斜面上部から下部までの区画を所有していることで全体としてバランスが取れます。日当たり、水はけもよく恵まれたテロワールを持ちます。
濃厚で凝縮した果実味とハリのあるミネラル感が骨格を与え、長い余韻に包まれます。

フォンテーヌ・ガニャール バタール・モンラッシェ 2022

フォンテーヌ・ガニャール バタール・モンラッシェ 2022

最も古い木は1930年に植樹されたもので南西~南東向きの緩やかな斜面の粘土質と砂泥が混ざりあった畑に3つの区画を所有、合計面積は約0.3haになります。白い花や甘い柑橘系果実のアロマ、肉厚な果実味と酸味、たっぷりとした旨味の余韻が長い味わいです。下記クリオ バタールよりも熟成に少し時間を要します。

プルミエ・クリュ

続いてプルミエ・クリュのワインをご紹介します。

シャトー・ド・ラ・マルトロワ シャサーニュ・モンラッシェ ラ・ブドリオット ルージュ 2021

シャトー・ド・ラ・マルトロワ シャサーニュ・モンラッシェ ラ・ブドリオット ルージュ 2021

シャサーニュの中でも、ブドリオットはピノ・ノワール栽培に最も適した畑として知られています。
深い層を持つ粘土石灰質の土壌は、ピノ・ノワールに必要なミネラルを豊富に含むため、複雑で深みのあるワインを生み出します。

赤いベリー系の果実のジューシーな味わいをベースに、黒コショウのようなスパイシーなニュアンスと、土のミネラル感が複雑に絡み合い、シャサーニュ・モンラッシェらしいエレガントなスタイルを表現しています。

ポール・ピヨ シャサーニュ・モンラッシェ クロ・サン・ジャン ルージュ 2021

ポール・ピヨ シャサーニュ・モンラッシェ クロ・サン・ジャン ルージュ 2021

クロ・サン・ジャンはピヨ家の自宅前に広がるドメーヌを代表する1級畑。所有する2.2haのうち、1.2haにシャルドネを栽培。深さ1m程の表土は小石混じりの粘土石灰質土壌、その下に石灰岩の層が横断しています。小さい赤黒系果実にスミレやスパイスのニュアンスが感じられます。シルキーなタンニンを感じるきれいな骨格を持ち、余韻が続くエレガントなワインです。

ミシェル・クトゥー シャサーニュ・モンラッシェ ラ・マルトロワ 2022

ミシェル・クトゥー シャサーニュ・モンラッシェ ラ・マルトロワ 2022

ミッシェル・クトー氏は、1991年にシャサーニュ・モンラッシェの醸造家ミッシェル・ニーヨン氏の次女と結婚。現在は義父とともにドメーヌ・ミッシェル・ニーヨンを管理・運営するとともに、ネゴシアン・ミッシェル・クトーでは、優良な契約栽培家のブドウを自社セラーで醸造しています。石灰の小石と粘土質の土壌。表土が浅く、ミネラルに富む。樹齢15~30年。樽醗酵、樽熟成100%。

フォンテーヌ・ガニャール シャサーニュ・モンラッシェ クロ・デ・ミュレ 2022

フォンテーヌ・ガニャール シャサーニュ・モンラッシェ クロ・デ・ミュレ 2022

1級区画クロ サン ジャンも名乗れる「Les Murées(レ ミュレ)」という畑を単独所有しています。広さは約0.34ha、粘土が少なく石が多く散らばる土壌で葡萄は1971年に植樹されました。比較的暖かい早熟な畑で他の1級よりもフローラルなアロマがあり、エレガントで繊細な味わいになりやすい特徴があります。

村名クラス

最後に村名クラスのワインをご紹介します。

シャトー・ド・ラ・マルトロワ シャサーニュ・モンラッシェ ルージュ 2020

シャトー・ド・ラ・マルトロワ シャサーニュ・モンラッシェ ルージュ 2020

プルミエ・クリュのワインでも紹介したシャトー・ド・ラ・マルトロワが造る村名クラスの赤ワインです。
複数の畑のブドウをブレンドして造られており、伸びやかな酸味とスパイシーな果実味、深みのある味わいが楽しめます。
シャサーニュ・モンラッシェの

シャンソン シャサーニュ・モンラッシェ 2023 *

シャンソン シャサーニュ・モンラッシェ 2023 *

複数区画のアサンブラージュ。年により買いブドウも含まれますが、2023ヴィンテージは自社畑のブドウのみ使用。樽発酵、樽熟成(新樽率20%)、熟成15ヶ月。 みずみずしいモモやネクタリンにフレッシュな柑橘果実、花の香り。緻密で正確さがあり、複雑でバランスが良いワイン。果実の厚みとほのかな塩味にピンと酸が通って、美しい余韻が楽しめます。

ガニャール・ドラグランジュ シャサーニュ・モンラッシェ ラ・ブードリオット 2022

ガニャール・ドラグランジュ シャサーニュ・モンラッシェ ラ・ブードリオット 2022

砂利の散らばる粘土質に植えられた葡萄は古い木は樹齢80年以上。肉厚でジューシーな洋梨を連想させる果実味、辛口で酸味のキレも良く、ミネラルが豊富で余韻に樽の風味を心地良く感じます。

まとめ

「世界最高峰の白ワイン」と称されるモンラッシェを、ピュリニー・モンラッシェと分け合って擁するのがシャサーニュ・モンラッシェです。
同じシャサーニュ・モンラッシェのワインでも、さまざまな所有者や生産者がいるので、飲み比べてみると違いが感じられます。
有名な生産者も多く白ワインの銘醸地としても名高いので、自分へのご褒美、ワイン好きの友人へのプレゼントにもおすすめです。

シャサーニュ・モンラッシェのワインをお探しの方はぜひTHE CELLAR online storeをご覧ください。

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井黒 卓

ロオジエ ビバレッジ・ディレクター兼シェフソムリエ

2020年 第9回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
総合ワインコンサル TACTICAL WINE CONSULTANT代表
一般社団法人 日本ソムリエ協会 理事

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