2024.01.11

イタリアワインの特徴とは?種類や知っておきたい基礎知識とあわせてバローロも紹介

 

ワインといえばフランスやイタリアといったヨーロッパ諸国を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。なかでもイタリアはワインの生産量が世界で一番多い国です。イタリア全州でワインが造られていて、土地の特徴や固有品種にも多様な個性が見られます。今回はイタリアワインの基礎知識を解説し、おすすめのイタリアワインも厳選してご紹介していきます。

イタリアワインの基礎知識

イタリアでは全20州でワインが生産されています。州ごとに地形や気候、土壌、品種、文化などが大きく異なり、それに伴ってワインも多様性に富んでいるのが特徴です。以下でイタリアのテロワールや特徴、格付けなど、知っておきたい基礎知識を解説していきます。

イタリアの地理と気候

イタリアは南北1300kmに広がる国土に約6,000万人が暮らしています。北緯35度~47度に位置しており、ワインの生産に適しているワインベルト地帯です。国土の地形は変化に富み、山岳や丘陵地帯が多く、アルプス気候、大陸性気候、地中海性気候などの多様な気候が特徴です。北大西洋海流の影響で温暖な気候で、日照量も高く、かつブドウの生育期には降雨量が少ないという好条件の土地です。半島部は典型的な地中海性気候ですが、山岳地帯や平野部にはアルプス気候、大陸性気候なども見られます。

イタリアワインの特徴

イタリアはヨーロッパ大陸南部にあり、南北に長く伸びている半島国家で、ブドウの品種や栽培方法などが地方ごとに異なり、20州すべての州でワイン造りが盛んです。種類が豊富で、お手頃な価格のワインから、高額ワインまで幅広いレンジがあります。また、後述する「ノヴェッロ」や「アパッシメント」といったイタリアならではの独特な製法から造られるワインも有名です。

イタリアワインの製法

イタリアワインは通常のワインの製法とは別に、特殊な製法で作るワインがあります。
例えば「ノヴェッロ」はフランスの新酒「ボジョレーヌーボー」と同じように、イタリアの新酒です。醸造期間は、醸造開始から10日以内で、マセラシオン・カルボニックという炭酸ガスで浸漬させる方法で造られたワインが40%以上含まれていなければならないという規定があります。そして収穫年の12月31日までに瓶詰めしないといけないことや、アルコール度数は11%以上、残存糖分は10g/Lを超えてはならないこと、そして10月30日より前に消費してはならないといった規定があります。
他には「アパッシメント」という収穫したブドウを3ヶ月程度陰干ししてエキスを濃縮させる製法で造られるワインがあります。甘辛度や生産地域によって呼称が異なり、甘口ワインの「パッシート(ヴェネト州では「レチョート」)」、ヴィン・サント、辛口の「アマローネ(ロンバルディア州では「スフォルツァート」)」と種類が分かれています。

イタリアワインの格付け

イタリアワインは種類が豊富で、地方によって味わいも異なるので選ぶ際に迷ってしまう人も多いかと思います。また、ワイン選びに迷う理由の一つに、イタリアワインの格付けが2009年から新しいワイン法になったことも起因しているかもしれません。
イタリアの格付けについて簡単に説明すると、2008年ヴィンテージまでは旧ワイン法(4段階の格付け)でしたが、2009年ヴィンテージからは新ワイン法(3段階の格付け)になりました。4段階の格付けの旧ワイン法は1963年に制定され、D.O.C.G.、D.O.C.、I.G.T.、Vino da Tavolaに分かれていましたが、新ワイン法はD.O.P.、I.G.P.、Vinoの3段階に変わりました。現在では従来のD.O.C.G.、D.O.C.、I.G.T.などの表示も認められているので注意が必要です。

イタリアワインの種類

イタリアは500種を超える土着品種のブドウを栽培しており、多くの種類のワインを造っています。土地に合わせて国際品種や土着品種が多く栽培されていて、個性豊かなワインが昔から造られてきました。今回は北部、中部、南部に大別して主なワインの特徴を解説します。北部、中部、南部の内訳は以下のように分けています。

北部イタリア

ヴァッレ・ダオスタ、ピエモンテ、リグーリア、ロンバルディア、トレンティーノ・アルト・アディジェ、ヴェネト、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア 、エミリア・ロマーニャ

中部イタリア

トスカーナ、ウンブリア、マルケ、ラツィオ、アブルッツォ、モリーゼ

南部イタリア

カンパーニャ、プーリア、バジリカータ、カラブリア、シチリア、サルデーニャ

北部イタリアのワイン

ピエモンテ州、バローロの畑

アルプス山脈を境に、フランス・スイス・オーストリアの国境沿いの山合いから、南部のロンバルディア平原、アドリア海まで続いています。北部を代表するピエモンテ州では、イタリアワインの王様と言われる「バローロ」、「バルバレスコ」の産地として有名です。また、ピエモンテ州にはD.O.C.G.が17あり、全州で最多です。また、冷涼な気候を生かし、高品質な白ワインも多く造られています。

中部イタリアのワイン

トスカーナ州、シエナの丘

中部はローマやフィレンツェといった独自の文化が形成された場所で、東はアドリア海、西は地中海に面しています。キャンティの赤ワインやオリーブオイルの生産地として有名なトスカーナ州や、イタリア三大銘酒としてバローロやバルバレスコと並ぶ高級ワインとして知られる「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」、そしてスーパータスカンなどの高品質な赤ワインもあります。モンテプルチアーノやトレッビアーノなどのカジュアルなワインも人気で、北部と並んでワインの名産地が数多くあります。

南部イタリアのワイン

シチリア州、メンフィの畑

ブーツのような地形をしたイタリア半島の南部と、イタリア最大の州のシチリア島、コルクやからすみで有名なサルディーニャ島も含まれています。北部や中部に比べると温暖な気候なこともあり、果実味豊かなワインが有名です。ワイン造りに理想的な環境で、アリアニコを使用して造られるタウラージは「南イタリアで最も尊敬されるワイン」と呼ばれています。

おすすめのイタリアワイン3選

おすすめのイタリアワインを3本に厳選して紹介します。デイリーに楽しめるカジュアルな赤ワインや、長期熟成が期待できる高級ラインの赤ワインもセレクトしました。ぜひ参考にしてみてください。

カーサ・ヴィニコラ・ボッター バカロ・ロッソ モリーゼ リゼルヴァ 2017

モリーゼで造られるモンテプルチアーノを使用した赤ワインです。赤果実の香りと滑らかなタンニンで、濃厚な味わいでありながら、調和のとれたやや渋味のある味わいに仕上がっています。2,000円を切るリーズナブルな価格帯も大きな魅力の一つです。トマトソースパスタやピザ、ハンバーグといった洋風の家庭料理にぴったりです。デイリーワインとしてカジュアルに楽しめる一本です。

カゼマッテ ファロ 2020

イタリア国内で最大の面積を誇るシチリア州で造られた赤ワインです。完熟したベリーやブルベリーの香りが感じられ、地中海らしいナツメグやペッパーなどのスパイシーなニュアンスもあります。丸みのあるタンニンやリッチな果実味があり、酸味や渋みなどのバランスが良いワインです。イタリアの固有品種をたくみにブレンドし、飲みやすくも余韻が長く残る複雑みのある味わいに仕上がっています。

チェレット バローロ ブッシア 2017

イタリア最北部の山岳地帯に位置するピエモンテ州で造られた赤ワイン。バローロは「王のワインにして、ワインの王」とも呼ばれており、世界中のワイン愛好家を魅了しているワインです。土っぽいニュアンスとビターオレンジ、スミレなどのアロマが感じられます。深みのある味わいで、若いうちはチャーミングな魅力もありますが、洗練されたタンニンによる長い熟成も期待できます。バローロの壮大で包容力のある深い味わいを堪能したい方におすすめです。

まとめ

イタリアはフランス、スペインとともに世界三大生産国の一角をなしています。ブドウの生育条件に適した土地と固有の品種で、さまざまな種類のワインが造られています。価格帯も幅広く、お手頃な価格で上質なイタリアワインが楽しめるのも大きな特徴です。イタリアワインを飲み比べてみたい方はぜひカーヴ・ド・リラックスのオンラインサイトをご覧になってください。豊富なラインナップをご用意しているので、ぴったりのワインに巡り会えるはずです。

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この記事を書いた人

吉川 大智

吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。