2023.03.09

オレンジワインの特徴とは?人気の理由や美味しい飲み方、おすすめ5選も紹介

 

ここ数年世界中で流行し、すっかり日本にも定着した「オレンジワイン」。今ではワインバルやレストランを中心にワインリストに載っている店舗も増えてきました。ただ、オレンジワインについて詳しく知らず、どんな料理に合うか、どんな味わいなのかが気になる方も多いと思います。
今回は白、赤、ロゼに次ぐ「第4のワイン」として注目を浴びているオレンジワインの特徴や魅力について分かりやすく解説していきます。醸造方法や人気の理由、オレンジワインと料理のペアリング、おすすめのオレンジワインについても紹介していきます。

オレンジワインとは

オレンジワインは、白ワイン用のブドウを赤ワインのように果皮や種と一緒に発酵させることで造られるワインです。白ブドウの果皮の色素が液体にうつることで、オレンジの色調になります。白ワインのようにさっぱりとしたニュアンスのものから、赤ワインのようなしっかりとしたタンニンを持つものまで味わいもさまざまです。オレンジワインは紀元前から存在していましたが、近年のナチュラルワインブームによって再評価されるようになりました。

オレンジワインの特徴

オレンジワインの最大の特徴は、白ワイン用のブドウを赤ワインの製法で造るため、白ワインには見られないタンニンや、奥行きのある果実味が感じられることです。また、オレンジワインはその製法から、酸味やミネラルをしっかり感じられるものが多く、香りも華やかで味わいの爽やかさも楽しめます。さらに、オレンジワインはブドウ品種や産地によって風味や香りに大きく差が出るため、その多様性も魅力の一つです。

オレンジワインの産地・歴史

オレンジワインの歴史は非常に古く、約8,000年前、ユーラシア大陸のコーカサス地方にあるジョージアで始まったと言われています。「クヴェヴリ」という素焼きした粘土製の容器を用いたジョージアのワイン造りは、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。その後、古代ローマや古代エジプトでもオレンジワインが作られましたが、近代的なワイン醸造技術の発展に伴い、オレンジワインは一時期世間から忘れ去られていました。
21世紀初頭に入ると、ナチュラルワインブームによりオレンジワインが再び注目され、現在ではイタリア、スロベニア、オーストラリア、アメリカのカリフォルニアなどを中心に世界各地で生産されています。

オレンジワインの醸造方法

オレンジワインの醸造方法は、白ワイン用のブドウを赤ワインのように果皮や種と一緒に発酵させることが特徴です。白ブドウの果皮と一緒に発酵させる過程で、タンニンや色素が抽出され、オレンジワイン独特の風味や色合いが生まれます。発酵後はブドウの皮と接触させたまま熟成させる「スキンコンタクト」と呼ばれる技法を使います。スキンコンタクトを行うことで、オレンジワインの風味や色合いがさらに深まります。
オレンジワインの醸造過程では、過剰な添加物や濾過処理を極力避けることが多いため、ナチュラルワインとしても認識されることがありますが、オレンジワインとナチュラルワインは必ずしも同義ではなく、オレンジワインと言えどナチュラルワインに分類されないものも存在します。

オレンジワインが人気な理由

オレンジワインが世界中で人気を集める理由は、その独特な風味や食事との相性の良さ、ナチュラルワインブームによる影響など、さまざまな要素が絡み合っています。以下では、オレンジワインがなぜ人気を獲得しているのか、その理由を詳しく解説します。

オレンジワインに合う料理が多いため

オレンジワインは、白ワインにはないタンニンと果実味、酸味やミネラル感が特徴です。これらの特徴により、さまざまな料理と合わせられます。特に、スパイシーな料理や濃厚な味わいの料理、チーズやシーフードなどとの相性が良いです。前菜からメインの魚、肉料理まで幅広くペアリングできるうえ、今まではワインと合わせるのが難しいと言われていたアジア系の料理、和食との相性も非常に良いです。

ナチュラルワインブームのため

オレンジワインが人気を集めるもう一つの理由は、近年のナチュラル(自然派)ワインブームによる影響です。ナチュラルワインは、過剰な添加物や濾過処理を極力避け、ブドウ本来の持つ魅力を引き出したワインのことを指します。オレンジワインの醸造過程では、一般的に添加物や濾過処理を控えめにするため、オレンジワイン=ナチュラルワインとして認識されることが多いですが、前述したように、必ずしもオレンジワイン=ナチュラルワインと定義できるわけではありません。

オレンジワインの選び方

オレンジワインは、産地や品種、醸造方法によって味わいや風味が大きく変わるので、選ぶ際に迷うことがあるかもしれません。ここでは、オレンジワインを選ぶ際のポイントを、ブドウの品種や産地を中心に解説します。

ブドウの品種で選ぶ

オレンジワインは、さまざまなブドウ品種から造られるため、ブドウ品種によって風味や味わいが異なります。今回はオレンジワインに用いられる代表的なブドウ品種を3つ紹介します。
・ゲヴュルツトラミネール
アロマティック品種の代表格で、「ゲヴュルツ」はドイツ語で「スパイス」という意味を持ちます。花やリンゴ、シナモンのような香りが特徴的で、酸味と甘みが調和した味わいが楽しめます。
・ピノ・グリ
原産地はフランスのブルゴーニュとされていますが、現在ではイタリアやドイツ、アメリカのオレゴン州やニュージーランドで栽培されています。洋ナシやリンゴ、ハーブの香りがあり、酸味が爽やかでミネラル感が強い味わいが特徴です。
・リースリング
ドイツを代表するブドウ品種で、シトラス系の果実や白い花、ミネラルの香りが立ち上り、酸味が際立っている一方で、奥行きのある果実味も感じられます。

産地で選ぶ

オレンジワインは、世界中のさまざまな産地で生産されており、産地の違いによって気候や土壌が変わり、風味や味わいに影響を与えます。ここではオレンジワインの代表的な産地を5つにしぼり解説します。
・ジョージア
オレンジワイン発祥の地とされ、伝統的な製法であるクヴェヴリ(土製の壺)で熟成されたオレンジワインが特徴です。ジョージア産のオレンジワインは、力強いタンニンや独特の香りが特徴的です。現地では琥珀色に見えることから「アンバーワイン」とも呼ばれています。
・イタリア
フリウリやシチリアなど、イタリア各地でオレンジワインが生産されています。なかでもフリウリでは、伝統的な製法であるアンフォラ(土製の壺)で熟成されたオレンジワインが特徴で、オレンジワインを世界的に広めた起源となる産地でもあります。
・スロベニア
近年、オレンジワインの生産が盛んになっている国の一つです。特にスロベニア西部のプリモルスカ地方で盛んに造られており、力強さとフレッシュさを併せ持つ独特の味わいが特徴です。
・アメリカ
カリフォルニア州やオレゴン州など、アメリカ各地でオレンジワインが生産されています。環境に配慮した自然派な造り手も増えており、シャルドネやピノ・グリなどを使ったオレンジワインが多く造られています。
・オーストラリア
アデレードヒルズやヨラ・ヴァレーなど、オーストラリア各地でオレンジワインが生産されています。独特の風土を反映した個性豊かな味わいが特徴です。

オレンジワインの美味しい飲み方

オレンジワインは、白ワインと同様冷やして飲むことが一般的ですが、冷やしすぎると渋みが際立ってしまうため、適切な温度は8-12℃程度がおすすめです。冷蔵庫で冷やす場合は、グラスに注いで10分ほど待ってから飲むのがおすすめです。ただ、温度変化による味わいやアロマの変化を感じたい方は冷たい状態から飲むのも良いでしょう。
また、オレンジワインは注いでから空気に触れさせることで酸化が進み、風味や味わいが徐々に変化していくので、食事と合わせながらゆっくりと楽しむのがおすすめです。

おすすめのオレンジワイン5選

ここではおすすめのオレンジワインを5選にしぼって紹介していきます。さまざまな生産地からセレクトしたので、品種や味わいの特徴などを見て参考にしてみてください。

ボルゴ・サヴァイアン アランサット アンフィルタード 2021

生産地はオレンジワインの銘醸地として知られるイタリアのフリウリ。ノンフィルターなので旨みがあり、コンポートしたアプリコットや黄桃などの濃縮感のある香りが感じられます。辛みを伴った白系スパイスの余韻が特徴的な辛口で、じっくりとスキンコンタクトをしているため、余韻の長さや複雑さも出ているワインです。


楠ワイナリー デラウェア オレンジ 2021


生産地は日本の長野県の須坂市。生食用ブドウのデラウェアを使い、果実味が強く香り高い味わいに仕上げています。デラウェアらしいフルーティさと上品な酸味が特徴で、和食にも良く合うオレンジワインです。

マス・デル・ペリエ スキン・コンタクト 2021

グロ・マンサン、ユニ・ブラン、ミュスカ・アレクサンドルの3品種をブレンドしたオレンジワインです。熟した花梨にトロピカルフルーツやオレンジピールのアロマがあり、豊かな果実味と軽やかなタンニンが特徴。フレッシュ感のある口当たりが楽しめるオレンジワインです。


シャルヴァ・グヴァラマゼ・ワイナリー ツァラピ 2018


生産地はオレンジワイン発祥の地、ジョージア。綺麗な黄金色の色調に、熟したアプリコットやオレンジマーマレードのようなアロマが感じられます。ナッツやドライフルーツのような風味があり、凝縮感のある果実味とほのかな苦味、スパイシーさも感じられるオレンジワインです。

カレスキー プレナリウス ヴィオニエ 2021


サウス・オーストラリア州の中でも銘醸地として知られるバロッサ・ヴァレー。ヴィオニエらしい果実味がしっかりと感じられ、アプリコットやハチミツのようなまろやかな味わいとほのかな酸味が特徴です。魚介類やグリルした野菜とのペアリングがおすすめです。

まとめ

オレンジワインは、その独特の風味と味わいから世界中で人気を博しています。各国の産地やブドウの品種によって異なる特徴を持ち、幅広い料理とのペアリングもできることから、日本でも人気が出てきています。ぜひおすすめのオレンジワインを試して、その奥深い味わいを楽しんでみてください。
カーヴ・ド・リラックスでは世界各地の多種多様なオレンジワインを揃えていますので、ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

吉川 大智

吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。