イタリアのスパークリングワイン「スプマンテ」とは?
イタリアのスパークリングワイン「スプマンテ」とは?

種類や製法、合う料理などを解説

種類や製法、合う料理などを解説

THE CELLAR JOURNAL --- writer : DAICHI YOSHIKAWA

スーパーのワインコーナーでもよく見かける「スプマンテ」。スプマンテはイタリアのスパークリングワインを指しますが、個別のワインを指す名称は別にあります。スプマンテを飲み比べるなら、他にも種類があることを覚えておくのがおすすめです。本記事ではスプマンテについての基礎知識と、おすすめのスプマンテを厳選して紹介していきます。
スーパーのワインコーナーでもよく見かける「スプマンテ」。スプマンテはイタリアのスパークリングワインを指しますが、個別のワインを指す名称は別にあります。スプマンテを飲み比べるなら、他にも種類があることを覚えておくのがおすすめです。本記事ではスプマンテについての基礎知識と、おすすめのスプマンテを厳選して紹介していきます。

イタリアのスパークリングワイン「スプマンテ」とは?種類や製法、合う料理などを解説

種類や製法、合う料理などを解説
2024.07.11

1. スプマンテとは?

スプマンテとは、イタリア語でスパークリングワインのことを指します。そもそもスパークリングワインとは、炭酸ガスが3気圧以上含まれているワインを指し、世界中で造られています。以下で解説しますが、国によってスパークリングワインの呼び名が異なります。
イタリアにおいては1気圧未満の微発泡性ワインをフリッツァンテと呼びます。

スパークリングワインの呼び名

スパークリングワインの呼び名は国によって違います。主要なワイン産地での呼称を以下の表にまとめました。

国名

呼び名

代表的なスパークリングワイン

イタリア

スプマンテ

プロセッコ、アスティ、フランチャコルタ

フランス

ヴァンムスー

シャンパン、クレマン

ドイツ

シャウムヴァイン

ゼクト

スペイン

エスプモーソ

カヴァ

2. スプマンテとプロセッコの違い

スプマンテとプロセッコの違い

スプマンテはイタリアで造られるスパークリングワイン全般を指す呼び名で、プロセッコはイタリアで造られるスパークリングワインの6割以上を占める代表的なワインの名称です。ヴェネト州とフリウリ州を跨いで、9つの県で2万ヘクタールを超える広大な産地があり、ほんのりと甘く、ブドウ本来の香りを楽しめるスパークリングワインで世界中で親しまれています。
プロセッコの主要品種はグレーラで、白い花や白桃のアロマが感じられます。グレーラがかつてプロセッコという名前で呼ばれていた名残から、ワイン自体がプロセッコと呼ばれるようになりました。

3. スプマンテの味わいと種類

スプマンテはプロセッコ以外にもさまざまな種類があります。ここでは「アスティ」「フランチャコルタ」「トレント」「オルトレポー・パヴェーゼ」「ランブルスコ」について順番に解説していきます。

アスティ

アスティはプロセッコに並ぶスプマンテの代表格です。モスカート・ビアンコから造られる甘口のスパークリングワインで、アスティ方式と呼ばれる醸造法を採用しており、果実味豊かでフレッシュな味わいが楽しめるのが特徴です。

フランチャコルタ

イタリア北西部、州都ミラノを有するロンバルディア州で造られているスプマンテです。シャンパーニュと同様瓶内二次発酵で造られる最高格付の高級スプマンテで、滑らかな舌触りやハーブを思わせる心地よい香りが魅力です。

トレント

トレントはイタリア北東部トレンティーノで造られるスプマンテです。標高の高い場所で栽培されており、収穫を遅らせることで香りが高く、高い酸を保持したブドウになります。ミネラル感が豊富に感じられ、柑橘類やりんご、ハーブの香りなどを楽しめるワインです。

オルトレポー・パヴェーゼ

オルトレポー・パヴェーゼはピノ・ネロを主要品種としたスプマンテです。最低でも70%はピノ・ネロを使わなければならないという決まりがあります。ピノ・ネロの比率によって味わいが変わり、100%使用した場合は「クルアゼ」という名称が与えられる特別なワインになります。ピノ・ネロ以外には、シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・グリージョを補助品種として使用できます。

ランブルスコ

ランブルスコはエミリア・ロマーニャで造られるスプマンテで、さまざまな種類の黒ブドウ品種を用いており、造られる地域で味わいが異なります。ランブルスコは微発泡で甘口(ドルチェ)や中甘口(アマービレ)が主流ですが、イタリア国内では辛口(セッコ)や中辛口(セミセッコ)がよく飲まれています。

4. スプマンテの製法

スプマンテの製法

一般的にスパークリングワインはベースワインを造ったら、糖分や酵母を添加して二次発酵をおこなって、ガスをワイン内に発生させます。スプマンテの二次発酵の手法は種類によって異なるので、順番に解説していきます。

タンク方式

タンク方式はベースワインの風味を保持できる醸造方法で、二次発酵をタンクでおこなうため、ほかの方法よりも低コストかつ少ない労働力でスプマンテを造れるのが特徴です。フルーティなアロマが表れやすく、飲みやすいスタイルになります。二次発酵をタンクでおこなうことをイタリアではメトド・マルティノッティ(Metodo Martinotti)、またはメトド・シャルマ(Metodo Charmat)と呼びます。

アスティ方式

アスティ方式は、ベースワインを造る際、一次発酵時に果汁の冷却を一度止めて保存し、部分的に発酵してから再び冷却する方法です。部分的に発酵した際にガスが発生するので、二次発酵をしなくてもスプマンテができます。基本的にはタンク方式ですが、このような特徴的なやり方からアスティ方式と呼ばれるようになりました。

伝統方式

フランチャコルタやトレントは伝統方式で造られているスプマンテです。フランスのシャンパーニュ地方で造られるシャンパンと同様、ベースワインを瓶詰めして、瓶のなかで二次発酵させる方法です。ワインの香りがより複雑になり、酵母のアロマが香り奥行きのある味わいになります。

5. スプマンテに合う料理

スプマンテは種類によって味わいが異なりますが、基本的には爽やかな酸味のあるスパークリングワインが多いため、鶏肉や魚料理との相性がとてもいいです。
鶏モモ肉の照り焼きや、バルサミコソースのチキンソテー、または魚介類を使ったリゾットやカルパッチョと合わせてみるのもおすすめです。

6. おすすめのスプマンテ3選

おすすめのスプマンテを3本にしぼって解説していきます。

チェレット モスカート・ダスティ 2022

チェレット モスカート・ダスティ 2022

ピエモンテで造られる甘口微発泡ワインのモスカート・ダスティ。アルコール度数が5.5%と低アルコールなので飲みやすく軽やかな味わいです。甘いだけでなく酸味もしっかり感じられるので思いのほかスイスイ飲み進んでしまいます。

ラ・ジャラ ピノ・グリージョ ロゼ スプマンテ ブリュット NV

ラ・ジャラ ピノ・グリージョ ロゼ スプマンテ ブリュット NV

赤のベリー系果実、ピンクグレープフルーツのような香り。ストロベリーやラズベリーを思わせる果実由来の僅かな甘み。泡立ちも柔らかく長い果実の余韻が上質なスパークリングの質感を思わせます。辛口で食事との相性も抜群です。

フェッラーリ ブリュット NV

フェッラーリ ブリュット NV

イタリア・トレンティーノアルトアディジェ州で造られたスプマンテ。フレッシュで、軽い飲み口ながらも、熟れた果実の余韻が長く続気、バランスのよい味わいを感じられる一本です。気品のあるエレガントなデザインで、プレゼントとしても喜ばれるのでおすすめです。

7. まとめ

イタリアで造られるスパークリングワイン全般を指すスプマンテはさまざまな種類があり、地域やブドウ品種によっても味わいや香りが異なります。多様なスプマンテを飲み比べてみたい方は、THE CELLAR online storeを参考にしてみてください。

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吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。