＜今月のスペシャルワイン＞

①レ・チンチョレ ぺトレスコ 2018

イタリア・トスカーナ州・IGTトスカーナ / サンジョヴェーゼ100%

今月のスペシャルワインは、トスカーナのサンジョヴェーゼの白眉レ・チンチョレのぺトレスコです。昔はキアンティ・クラッシコのリゼルヴァを名乗っていましたが、2009年からあえてIGTに格下げしてリリースされています。
パンツァーノの中でも標高の高い畑の有機栽培のぶどうを、低収量に抑えかつ自然酵母でゆっくりと発酵された複雑かつコクのある味わい。しっかりとして深みのある酸としなやかなミネラルがつくる品格の高さは、個人的にはぺルゴーレ・トルテやペルカルロ、フラッチャネッロ・デッラ・ピエーヴェなどと並んで、キアンティ・クラッシコ地区のサンジョヴェーゼの中でも最高ランクにあると思います。しかも比較すると価格はお値打ち。
しっかり噛みしめる牛肉のロースト（シンプルに塩とオリーブオイル）と合わせると、その真髄を感じて頂けると思います。

＜週末のお楽しみワイン＞

②コス ピトス・ロッソ 2022

イタリア・シチリア州・DOCヴィットーリア / ネロ・ダーヴォラ60％、フラッパート40%

ピトスも印象的なワインです。本来ならDOCGのチェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアを名乗れる産地と品種構成ですが、アンフォラで熟成させてるために格下げしてDOCのヴィットーリア（以前はIGT）でリリースしています。
ネロ・ダーヴォラとフラッパートという2つの相反する特長を持ったぶどうが持つ、黒果実と赤果実、情熱と冷静、濃密と軽快と言った要素が、混在しながら争わずにうまくまとまる感覚と、南国のワインとしては不思議な程にヒンヤリとした涼やかな上品さは何とも言えない美味しさです。

③ミショー クレマン・ド・ロワール NV

フランス・ロワール地方・AOCクレマン・ド・ロワール  / シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・フラン、シュナン・ブラン、ピノ・ドニス

クレマン・ド・ロワールは安定感がありつつ、爽やかな軽さもあるとても使い勝手の良いスパークリングワインです。価格も安定しており、気軽に消費出来るのも良いところ。
ミショーはソーヴィニヨン・ブランの品質に定評がありますが、3haの畑からつくられるクレマンも良い感じです。MLFを行わずにフレッシュさを維持し、最低15カ月の瓶内熟成。ドサージュも6.2g/Lとほぼエクストラ・ブリュットクラスの低さで、果実の良さが伝わるつくりです。

④アデガマイン ドリー・ブランコ 2023

ポルトガル・リスボン地方・IGPリスボン / ヴィオジーニョ30%、アルヴァリーニョ30%、アリント30%、ソーヴィニヨン・ブラン10%

最後の1本は最近、気になって仕方がないポルトガルから。為替の影響もあって、ワインの値上がりが激しい中にあって、クオリティと価格のバランスという点では、今、世界で最も優れたワイン生産国と言って良いのではないでしょうか。何といっても、この国には250種を超える固有品種が残されています（このワインも90％が固有品種）。
その多彩さ、テロワールとのマッチング、温暖化の中でも国際品種と比較したときに上がり過ぎないアルコール度数などを、今こそしっかりと再評価する時なのではないでしょうか。日本同様に魚介類（お米も）を沢山食べる国民性ならではの、シーフードとの相性の良さもこのワインの魅力です。