2024.03.27

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの基礎知識や人気の理由を解説!おすすめのワイン3選も紹介

 

バローロやバルバレスコと並ぶイタリアの高級ワイン、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」。イタリア初のDOCG(最上位格付け)として認定され、世界中から注目を集めている銘酒です。本記事では、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの基本知識やおすすめのワインを紹介していきます。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノとは?

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの品種や味わいといった基礎知識から、自然環境や歴史について解説していきます。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの品種と味わいの特徴

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノとは、サンジョヴェーゼ・グロッソ100%で造られる赤ワインを指します。サンジョヴェーゼ・グロッソとは、イタリアの赤ワイン用ブドウ品種「サンジョヴェーゼ」のクローンで、モンタルチーノでは「ブルネッロ」とも呼ばれています。サンジョヴェーゼよりも粒が大きく、果皮も厚いのが特徴で、長期熟成に耐えられる品種です。まろやかで豊かな香りがあり、10年以上の長期熟成で真価を発揮するものもあります。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを生み出す自然環境

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、イタリアのトスカーナ州にあるモンタルチーノ区で造られるワインです。モンタルチーノ区は、緯度が低く、年間降雨量が少ないことから乾燥しており、標高が高いことが特徴です。これらの条件が力強く芳醇な味わいのワインを生み出しています。サンジョベーゼ・グロッソ100%で造ることで、よりテロノワールの個性を表現できるのもブルネッロ・ディ・モンタルチーノならではの魅力と言えるでしょう。

ブルネッロディモンタルチーノの歴史と生産者

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生みの親は、「ビオンディ・サンティ」で、1888年にサンジョベーゼ・グロッソ100%で造ったワインを「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の名前で販売を開始しました。サンジョベーゼ・グロッソ100%のワイン造りにこだわり、その結果1980年にトスカーナ州で初のDOCG(最上位格付け)に認定されました。
しかし2008年、サンジョベーゼ・グロッソ100%といったワイン製造が守られず、他の品種も混ざったワインが「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」として売られてしまった「ブルネート・ゲート事件」が起きました。これにより、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの信頼性を問い直す機会となり、サンジョベーゼ・グロッソ100%の規定は変わらず、現在はサンジョベーゼ・グロッソのピュアさを表現する造り手が増えています。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを名乗るための条件

かつてブルネッロ・ディ・モンタルチーノを名乗るには、DOCGの規定により、以下3つの条件を満たさなければなりませんでした。
● ブドウの種類は、サンジョベーゼ・グロッソ(ブルネッロ)を100%使用すること
● 最低50ヶ月(約4年)の長期熟成、その内2年は木樽の中で熟成させること
● 標高250~600mのブドウ畑で栽培すること

ただ、世界的にも問題視されている地球温暖化により、2015年に「標高250~600mのブドウ畑で栽培すること」という規定が撤廃され、標高600m以上の土地でも造られるようになりました。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノが人気の理由

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、歴史が浅いワインながら、イタリア初のDOCGに認定されて注目を浴びたワインです。さらに近年世界から再注目されている理由は、以下3つが挙げられます。
⚫︎土壌や標高など、モンタルチーノ特有の自然環境を表現する生産者が増えたこと。
⚫︎「標高250~600mのブドウ畑で栽培すること」の条件が撤廃されたことで、エレガントなワインの造り手が増えたこと。
⚫︎アメリカ三大ワイン雑誌のひとつである「ワイン・エンスージアスト」における、熟成に向いているワインを選ぶ人気企画「TOP100 セラー・セレクションズ2023」で1位を獲得したこと。

上記に合わせて、モンタルチーノでは生産地域内のブドウ畑の面積が制限されるようになったことで、ワインの生産量を増やすことが難しくなっています。今後もブルネッロ・ディ・モンタルチーノの稀少価値は高まると言えるでしょう。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの価格帯

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの価格帯は、1万~5万円前後になります。1万円を下回るワインもありますが、平均的には1万~3万円が相場になります。
まずは1万円前後のブルネッロ・ディ・モンタルチーノから試していただき、徐々にヴィンテージものや高級ラインにトライしてみるのがおすすめです。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに合う料理

力強く深い味わいのブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、野性味あふれるジビエ料理など肉料理との相性が特に良いです。
トスカーナでは猪や鹿、うずらを使ったジビエ料理が有名で、現地でもジビエと合わせて楽しまれているシーンが多くあります。牛肉のビステッカや牛ほほの赤ワイン煮込みといったボリューミーな料理との相性もとても良いです。

弟分といわれるロッソディモンタルチーノとの比較

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの弟分といわれている「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」は、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのような熟成に関する規定がないため、生産者ごとに個性のあるワインができあがります。
生産者のフィロソフィーにもよりますが、フレッシュでフルーティーな仕上がりで、比較的リーズナブルな価格帯で飲めるのが魅力です。熟成を待たずに早いうちから飲めるという点においても人気のワインです。

おすすめのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ3選

おすすめのブルネッロ・ディ・モンタルチーノを3本に厳選してご紹介していきます。

コル・ドルチャ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2013

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの最大手の生産者の一つであるコル・ドルチャ社の赤ワインです。
熟成はオーク樽で3年、ガーネットがかったルビーレッド色で、ヴァニラやチョコレートのアロマが感じられます。しっかりしたタンニンを味わえるフルボディの赤ワインが飲みたい方におすすめです。

バンフィ プラチド ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2005

モンタルチーノ丘陵地帯に800haのブドウ畑を持つ大規模ワイナリーで、米経済誌「フォーブス」より訪問したいワイナリーNo.1に輝いた実績があります。
エレガントな味わいで調和が取れており、口当たりはなめらかで奥行きのある甘みとタンニンが特徴。ヴィンテージは2005年で、ちょうど飲み頃を迎えている時期と言えます。

テヌータ・ルーチェ ルーチェ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2018

88haあるルーチェの畑の中で、11haのみがブルネッロ・ディ・モンタルチーノのDOCGとして認められています。熟成度が高く、さまざまな条件をクリアし、ルーチェの称号を持つブルネッロ・ディ・モンタルチーノとして認められているワインです。
すでに飲み頃ではありますが、さらに5年、10年と寝かせられるポテンシャルを持っている一本です。

まとめ

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、イタリアを代表する偉大な赤ワインで、「イタリアワインの女王」と呼ばれています。サンジョベーゼのクローンである「サンジョベーゼ・グロッソ」100%で造られる色も味わいも濃厚な赤ワインです。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワイン選びにお悩みの際や、プロのおすすめを聞きたい場合はぜひカーヴ・ド・リラックスにいらしてください。経験豊富なスタッフが、最適なワイン選びのサポートをいたします。

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この記事を書いた人

吉川 大智

吉川 大智

JSA認定 ソムリエ

バーテンダー、ワインバーのマネージャーを経てワインのPRライターに。過去には40カ国200都市の酒場とワイナリーを訪問した経験あり。