プロセッコとは?
プロセッコとは?

イタリアが誇るスパークリングワインの魅力と特徴を解説!

イタリアが誇るスパークリングワインの魅力と特徴を解説!

THE CELLAR JOURNAL --- writer : Toshiyuki Tsuno

『プロセッコ』というワインをご存じですか?

プロセッコは、イタリアを代表するスパークリングワインのひとつです。
スパークリングワインと言えばシャンパーニュ、というイメージが強いかと思いますが、実は『”世界で最も売れている”スパークリングワイン』はプロセッコなのです!

本記事では、グローバルのワイントレンドを牽引する”プロセッコ”についてご紹介します。
『プロセッコ』というワインをご存じですか?

プロセッコは、イタリアを代表するスパークリングワインのひとつです。
スパークリングワインと言えばシャンパーニュ、というイメージが強いかと思いますが、実は『”世界で最も売れている”スパークリングワイン』はプロセッコなのです!

本記事では、グローバルのワイントレンドを牽引する”プロセッコ”についてご紹介します。

プロセッコとは?イタリアが誇るスパークリングワインの魅力と特徴を解説!

イタリアが誇るスパークリングワインの魅力と特徴を解説!
2024.08.06

1. プロセッコとは

プロセッコは、イタリアを代表するスパークリングワインです。
イタリア北部にあるヴェネト州で、『グレラ』という品種のブドウを85%以上使用して造られたものを呼びます。
フランスの『シャンパーニュ』、スペインの『カヴァ』と並び『世界三大スパークリングワイン』の1つに数えられています。

イタリアでは主に食前酒として日常的に楽しまれ、軽快で親しみやすい味わいが最大の魅力です。
プロセッコを飲みに行く誘い文句に『プロセッキアーモ!』という言葉もあるそうですので、現地でもその人気の程がうかがえます。

プロセッコの特徴

プロセッコは、ブドウ本来の風味を活かしたフレッシュで果実味に富んだ味わいを主な特徴としています。

二次醗酵をシャンパーニュのように瓶内ではなく、大きな密閉タンクの中で行なう『シャルマ方式』と呼ばれる製法により醸造されます。また、フレッシュな風味を保つため、醗酵は最高温度18℃で約15~20日間行われます。
一般的に熟成期間も短かく、シャンパーニュのように瓶の中で醗酵の役目を終えた酵母と接触する時間も少ないため、パンのような芳ばしい香りがつかずに、醗酵とブドウ本来の香りが楽しめる親しみの良さがあります。

プロセッコは、シャンパーニュやカヴァなど他のスパークリングワインと比べ大量生産に向いています。
シンプルでコストを抑えられていますから、比較的安価で気軽に楽しめる点もうれしい特徴です。

スプマンテとの違い

イタリアを代表するスパークリングワインとしては『スプマンテ』という名称があります。

『スプマンテ』と『プロセッコ』の違いは、スプマンテがイタリアで造られるガス圧が3気圧以上のスパークリングワイン全般を指すのに対して、プロセッコは特定地域で、法律で定められた製法に従って造られたものを指す点です。

シャンパーニュとの違い

それでは『シャンパーニュ』と『プロセッコ』の違いはどこにあるのでしょうか?

一つは『産地』、そして使用される『ブドウ品種』ですが、先にも触れたとおり『製法』にも違いがあります。
シャンパーニュは『トラディショナル(瓶内二次発酵)方式』、プロセッコは『シャルマ(密閉タンク)方式』と呼ばれる製法で造られます。

簡単に言うと、『トラディショナル方式』は、はじめに非発泡性のワインを造り、熟成やブレンドをして味わいのバランスを整えた後、瓶に小分けにして二回目の醗酵を行なってガスをワインに残します。
(※ワインはブドウの糖分を、生物である酵母の代謝を使ってアルコールに変えて造ります。この時、アルコールだけでなく炭酸ガスも発生しており、このガスを逃がせば非発泡、ワインに残せば発泡性のワインが出来上がります。)

一方、『シャルマ方式』は二回目の醗酵を大きなタンクの中で行うため、1瓶ごとに管理する手間が省けます。
製品になるまでの期間も短縮しやすくなり、その分素材本来の果実味を残しやすく、大量生産にも向いています。

◇One more knowledge◇
この熟成期間の長さの違いは味わいにも密接に関係しています。
役目を終えた酵母とともに熟成期間を比較的長く設けるシャンパーニュなど『トラディショナル方式』を採用するスパークリングワインでは、熟成の過程で酵母が自己消化(オートリーゼ)することで液体に溶け込み、旨味を与えたり、芳ばしい香りを演出したりするため、より複雑な風味を生み出すことができますが、その分金額は高くなりがち。

一方、プロセッコに採用される『シャルマ方式』は熟成期間が短く、よりフレッシュな果実の風味を活かせるために日常的に飲みやすく、金額も抑えて出荷しやすいのです。
どちらが良い悪いということは全くなく、好みやシチュエーションに応じて選べることで楽しみが広がります。

2. プロセッコの産地

プロセッコの産地

プロセッコの産地はイタリアの北東、ヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州にあり、プロセッコDOC保護協会はヴェネト州トレヴィーゾにあります。
プロセッコの年間の生産量は実に6億本を超えており、その約80%が海外市場に向けて輸出されています。
生産地域は格付けとして幾つかに分類されています。後ほどご紹介します。

特に評価の高い最高品質のプロセッコは、伝統的な産地であるヴェネト州トレヴィーゾ県にあるコネリアーノとヴァルドッビアーデネを結ぶ一帯で造られています。
急斜面の山肌に開墾された古くからのブドウ栽培丘陵群は、ユネスコの世界遺産にも認定されています。

標高100~500mの真南向き斜面にブドウ畑が広がり日当たりが良く、アルプス山脈やアドリア海から吹く冷たい風の影響でブドウが適度な酸味と熟度を持ったまま収穫されることは、ワインの個性を形作るうえで大切な要素となっています。

3. プロセッコで使われるブドウ品種

プロセッコで使われるブドウ品種

プロセッコは『グレラ』と呼ばれるブドウ品種を85%以上使用します。

もともとブドウの品種名も”プロセッコ”と呼ばれていましたが、2009年よりワイン名がプロセッコ、ブドウはグレラ、と名称を分けて現在に至ります。
その他、ビアンケッタ・トレビジアナ、グレラ・ルンガ、ヴェルディーゾ、シャルドネ、ペレラ、ピノ・ビアンコ、ピノ・グリージョ、ピノ・ネロが使われます。

以下でそれぞれのブドウ品種を解説します。

グレラ

プロセッコの主要品種。
2008年まで品種そのものも『プロセッコ』と呼ばれていましたが、『プロセッコ』というワイン名を守るため、ブドウの名称は2009年からグレラに変更されました。

フルーティーな味わいが特徴で、小さな黄色い花、青りんごのような爽やかな香り、完熟させると白桃などの風味が感じられます。

グレラ・ルンガ

『グレラ』と名前に入っているのですが、先述したグレラとは別のブドウ品種です。
この品種は長年プロセッコ(グレラ)種のクローン品種と考えられていましたが、DNA解析の結果、違う品種であることが判明しています。

ルンガはLunga(Long=長い)の意味を持ち、実際に果実がやや縦長のブドウ品種です。
グレラに比べてスパイシーな香りを持つ品種です。

ビアンケッタ・トレビジアナ

早熟で冷涼な年でも熟すことができるブドウ品種として重宝されています。

そのため、バランスを取るためにしばしばブレンドされ、単一でワインに使われることは殆どありません。
補助品種として使われることで力を発揮するブドウで、フリウリ州などでも栽培されています。

ヴェルディーゾ

特徴的な卵型の実をつけるブドウ品種です。

清涼感のある柑橘類の香り、キリリと引き締まった高い酸味が特徴といえます。
陰干しをすることで水分を飛ばして糖度を高め、甘口ワインなどにも使用されます。

シャルドネ、ピノ・ノワール

2品種ともとても知名度の高いワイン用ブドウ品種です。

プロセッコ以外にもシャンパーニュやカヴァを含めた世界3大スパークリングワインに使用されています。
2021年には、これまでのラインナップ(白のみだった)にロゼが加わることになり、そこではピノ・ノワールは15%まで加えることが認められているため重要度が増してきています。

▼シャルドネやピノ・ノワールについて詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

シャルドネ
ピノ・ノワール

4. プロセッコの格付け

プロセッコの格付け

プロセッコは生産地域により格付けがなされています。

大きく分けてDOC、DOCGというカテゴリーがあり、一般的にはDOCGが格上とされます。
それぞれのカテゴリーはさらに幾つかの地域に分けられています。

【DOC】プロセッコ、プロセッコ・トレヴィーゾ(この2つで全生産量の66%を占める)

【DOCG】アゾーロ・プロセッコ、スペリオーレ、スペリオーレ・リヴェ、カルティッツェ

生産量は名前の順に少なくなり、最も希少な『スペリオーレ・リヴェ』と『カルティッツェ』、それに『スペリオーレ』を加えた3つは更に『コネリアーノ・ヴァルドッピアーデネ・プロセッコ』と呼ばれます。

その品質とともに、流通している金額も高めになる傾向があります。

5. おすすめのプロセッコ3選

イタリアを代表するスパークリングワインであるプロセッコを実際に楽しみたいという方に、おすすめのプロセッコを3本紹介します。

チェスコン プロセッコ エクストラ・ドライ NV

チェスコン プロセッコ エクストラ・ドライ NV

すっきりとした味わいが特徴の辛口スパークリング。
リラックスワイン人気NO.1のイタリアワイン“チェスコン”の仕込むプロセッコです。
キメ細やかなエレガントな泡と厚みのある豊かな果実味で飲んだ後の余韻も長く楽しめます。

マッツェイ・ヴィッラ・マルチェッロ ヴィッラ・マルチェッロ プロセッコ・ブリュット ミレジマート 2022

マッツェイ・ヴィッラ・マルチェッロ ヴィッラ・マルチェッロ プロセッコ・ブリュット ミレジマート 2022

黒地にゴールドのラインのボトルデザインで華やかなプロセッコです。
リンゴの果実、フジの花やアカシアのような花の香りを持ち、食前酒として、様々な食事とあわせやすいワインです。

ラ・ジャラ プロセッコDOC スプマンテ・ブリュット NV

ラ・ジャラ プロセッコDOC スプマンテ・ブリュット NV

品種由来の青リンゴのような風味と、程よい酸のあるクリーンな味わいが特徴です。
繊細な泡立ち、果実味溢れるイキイキとしたブーケを持ちます。
品種由来の青りんごのような風味と、程よい酸が美しいドライな味わいに仕上げられたオーガニックプロセッコです。

6. まとめ

プロセッコは、その爽やかでフルーティで軽やかな味わいが、世界中で愛されているスパークリングワインです。
イタリアの豊かな風土が生み出すこのワインは、日常の乾杯など活躍シーンは多岐にわたります。
プロセッコには、ブルゴーニュワインのような”格付け”もありますので、この機会にぜひいろいろと試してみてはいかがでしょうか?

※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。
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角 敏行

福岡県出身。
都内のフランス料理店、恵比寿「タイユバン・ロブション」、南青山「ピエール・ガニェール・ア・東京」、銀座「ベージュ・アラン・デュカス東京」でソムリエとして研鑽を積み、六本木「リューズ」、駒形「ナベノ-イズム」では支配人兼シェフ・ソムリエとして従事。
現在は自身の会社を持ち、後進の育成、レストランサービスのアドバイザー、また「Champagne Laurent Perrier」、日本酒「F1625」のブランド・アンバサダーとして活動している。