
ウィリアムズ・セリエム世界のコレクターを魅了する―ガレージワイナリーの先駆者
2025.08.23 --- writer Yamabayashi
- web サイト
- https://www.williamsselyem.com/
1.ワイナリーの歴史
ソノマで高品質ピノ・ノワールが栽培できるとされていなかった時代に、バート・ウィリアムズとエド・セリエムがロシアン・リバーヴァレーにガレージワイナリーとして1979年に設立。ブルゴーニュワインを好んだ彼らは、「ブルゴーニュワインを買う余裕があれば、自分たちのピノ・ノワールは作らなかったかもしれないと。」と語っている。現在でも、会員制で入手困難な「カルト・ピノ」の代表格である。
▲ ロシアン・リバー沿いの丘陵地帯を進んだ先に見えてくる、ガラス張りのテイスティングルーム。
▲ 一般公開はされていないテイスティングルームでの貴重なひととき。
2.世界のコレクターが注目する畑
ソノマのロシアン・リバーヴァレーを中心に、約60ヘクタールの畑を所有しており、半分は自社畑、18の契約畑のブドウを使用しています。
すべて手作業による丁寧な管理を行い、ポンプを使わず、グラヴィティ―フローを採用、ブドウ本来の個性を最大限に引き出すワイン造りを実践しています。主に単一畑のピノ・ノワールを手掛けている。シャルドネ、シングルヴィンヤードのピノ・ノワール、ジンファンデルとカベルネ・ソーヴィニョンを試飲したが、ブルゴーニュを思わせるエレガンス、カリフォルニアらしい果実味、シルキーなタンニンと長い余韻は世界中で評価されている。
▲ ソノマの複雑に入り組んだ地質と起伏の多さが伺える。
3.テイスティング
この日は、以下のワインをテイスティング
①シャルドネ スリー・シスターズ ヴィンヤード2023
25%新樽使用。冷涼感のあるシャープでのびやかな酸でエレガントな仕上がりで、果実のふくらみと樽由来のまろやかさをバランスよく表現。
②ピノ・ノワール フェリントン・ヴィンヤード 2022
ラズベリーやクランベリーなど赤系果実に、バラの花、スパイスのニュアンスがあり、透明感のある酸が全体を引き締めます。
③ピノ・ノワール コーン・ヴィンヤード 2022
熟したラズベリー、チェリーにドライハーブやスパイスのニュアンスでやや暖かいエリア特有のふくらみがある果実味。モダンなスタイルになっており、アルコールや樽の重さを感じさせない洗練された造り。チェリーやザクロの赤系果実、バラの花びらのニュアンスで単一畑らしい奥行きのある味わいが魅力。
④セイトーン エステイト ヴィンヤーズ ジンファンデル 2022
ブラックベリーやプラムの濃厚な果実味と黒コショウやクローヴ、ドライハーブの複雑なスパイスが調和。130年を超える古木のブドウを使用しており、凝縮した果実味だが過熟感はなく、酸がしっかりと骨格を形成しており、強さとエレガンスが共存している。
⑤ベクストファーヴィンヤード ミズーリホッパー ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニョン
カシスやブラックチェリーといった濃厚な果実味に、杉やカカオのニュアンスがあり、ナパカベルネの力強さを表現。余韻は非常に長く、タンニンが緻密に溶け込み豊かなミネラル感と堂々とした存在感を感じさせる1本。2024年ヴィンテージからはト・カロン ヴィンヤードのブドウを使用している。
テロワールの個性を最大限に引き出し、ワインの純粋な美しさを追求するウィリアムズ・セリエムはまさにブルゴーニュ好きにこそ飲んでほしいソノマの至宝とも言うべきワイナリーです。

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