TOP / 特集・読み物 / ペンフォールズ マギル・エステート ワイナリー Penfolds Magill Estate Winery

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Penfolds Magill Estate Winery

Penfolds Magill Estate Winery

ペンフォールズ マギル・エステート ワイナリー
ペンフォールズ マギル・エステート ワイナリー

ペンフォールズ マギル・エステート ワイナリー

2026.02.16

ペンフォールズ マギル・エステート ワイナリー

オーストラリアワインのパイオニア

 

web サイト
https://us.penfolds.com/

今回の訪問では、ワイナリーのセラードア体験ツアーを通じて、オーストラリアワインのアイコン的存在であるペンフォールズの歴史を辿るとともに、現在も実際に使われている歴史的な醸造設備の見学、そしてテイスティングを体験しました。

1. Magill Estate Wineryの概要

▲ 畑の右上に見えるのが当時のオフィス

今回、訪れたマギル・エステート・ワイナリーは、200年近い歴史を誇るペンフォールズの中でも創業当時から存在する最古のワイナリーです。
クリストファー・ローソン・ペンフォールド博士とその妻であるメアリー夫人によって1844年に開業されたペンフォールズは、当初はこのマギル・エステートを拠点に医療用の酒精強化ワイン・スピリッツを製造していましたが、ワインが娯楽になると共に、徐々に非酒精強化ワインの醸造を開始し現在に至ります。

最初に訪れたのは畑の中に建つ、開業当時に使われていたという平屋建てのオフィス・病棟・ラボです。ペンフォールの始まりが医療と共にあったという事を裏付けるように当時の様々な医療器具、実験器具や記録を見ることができました。
開業医として外科医でもあったペンフォールド博士はこの施設で医療を行うとともに、強壮薬としてのアルコールに非常に高い関心を持ち、オフィス・ラボとして様々な研究を行っていたそうです。

“当時の薬瓶等
▲ 当時の薬瓶等

1950年頃には当時の醸造長であるマックス・シュワーバー氏がボルドーのグランヴァンを手本にグランジの実験的醸造を開始。この頃に現在も続くペンフォールズの伝統でもあるワインをセラーの番号で管理するBinのナンバリングが始まりました。
現在は、マギルエステートは醸造所としての使用は限定的ですが、当時はマギルエステートを中心にグランジをはじめとする様々なワインを醸造していました。

セラーごとに番号が振られています
▲ セラーごとに番号が振られています

今回の訪問では、当時から使われている醸造棟から始まり、セラー設備を見学することができました。現在、醸造の多くはより新しいワイナリーで行われるそうですが、マギル・エステートでも一部のバロッサバレー、そしてマギルエステートの葡萄を醸造しているそうです。

シャトー・アンジェリュス ▲ 様々なサイズの樽が並びます。
ヘレン・ケラーが訪れた際に手で周囲を測ったという大樽。 ▲ ヘレン・ケラーが訪れた際に手で周囲を測ったという大樽。

マギル・エステートは設立当初は100ha以上の耕作地を有していましたが、現在では住宅地に囲まれた僅か5haのモノポールとなっています。また、アデレードの都市部から車で僅か15分と世界でも珍しい都市型ワイナリーの一つです。

現在も使われている醸造設備。大型の開放タンクがずらりと並びます。 ▲ 現在も使われている醸造設備。大型の開放タンクがずらりと並びます。
大型のバケットプレス機も。 ▲ 大型のバケットプレス機も。

畑は西向きの緩やかな傾斜の中にあり、病害虫予防の観点から周辺にはラベンダーが畑を囲むように植えられています。樹齢は非常に高く、1970年頃に植えられたものが多いようですが、一部は植替えにより若木が植っており、これらの木から取れる葡萄は基準に満たないためにマギル・エステートのシングルヴィンヤードには使われずにアッサンブラージュに回されます。

マギルエステートの歴代の航空写真。右側が最も現在に近い。 ▲ マギルエステートの歴代の航空写真。右側が最も現在に近い。
若木が植えられた区画。こちらは他のキュベとのアッサンブラージュに使用されます。 ▲ 若木が植えられた区画。こちらは他のキュベとのアッサンブラージュに使用されます。

2. ペンフォールズの歴史

医師であるクリストファー・ローソン・ペンフォールド博士とその妻であるメアリー夫人が移住先であったオーストラリアに葡萄の苗木を持ち込んだのがペンフォールズのワイン・カンパニーとしてのスタートです。

1844年に開業されたペンフォールズは、当初はサウス・オーストラリア州のアデレードに位置するマギル・エステートを拠点に医療用の酒精強化ワイン・スピリッツを製造していました。開業医として外科医でもあったペンフォールド博士はこの施設で医療を行うとともに、強壮薬としてのアルコールに非常に高い関心を持ち、オフィス・ラボとして様々な研究を行っていました。
その後、ワインが娯楽として広まると共に、徐々にリースリングやクラレット(ボルドー発祥の色の薄い赤ワイン)など非酒精強化ワインの醸造を開始し、1920年には、南オーストラリア州の全ワインの1/3を生産するようになりました。

当時はワインの醸造だけではなく、医療の様々な研究が行われていました。
▲ 当時はワインの醸造だけではなく、医療の様々な研究が行われていました。

オーストラリア最大のワイン・カンパニーとして成長を続けていたペンフォールズは、1948年にマックス・シュバートが初代のチーフ・ワインメーカーに就任。彼が現在のペンフォールズの世界的ワイン・カンパニーとしての地位を決定づけることになります。

酒精強化ワインの醸造方法の調査のためにフランスへ派遣された際、ボルドーの長期熟成可能なワインに感動しインスピレーションを得たマックス・シュバートは、オーストラリアでバランスの取れた長期熟成可能な赤ワインを作ることを夢見るようになります。
そして、1951年に試験的に最初の「グランジ」を醸造。しかし、当初グランジは会社の経営陣からは不評で「長期熟成可能なワインを作る」という彼の構想は却下されてしまいますが、彼は諦めずに秘密裏に地下セラーでグランジの醸造を続けました。
やがて、彼の情熱は身を結び、1960年ごろに熟成ワインに対する決意とその品質がペンフォールズの経営陣を納得させ、その結果経営陣はマックス・シュバートに公式にグランジの生産を再開するように指示します。それ以来、グランジはすぐに国際的な認識と賞を受け取るようになり、中でも1990年ヴィンテージはワイン・スペクテイターに「今年最高の赤ワイン」と評されるに至ります。

グランジのファーストヴィンテージであるBin1 1951が貯蔵された貯蔵庫1
▲ グランジのファーストヴィンテージであるBin1 1951が貯蔵された貯蔵庫1

創設から180年を経たペンフォールズは、比類なき傑出したニューワールドワインとして世界中で認められ、名実ともにオーストラリアのトップ・ワイン・カンパニーとして君臨します。しかし、パイオニアとしての歩みを止めず、2002年に歴代4人目となるチーフワインメーカーに就任したピーター・ゲイゴは、匠の技に専念し伝統を受け継ぎつつも、革新的なワインも次々と生み出しています。

3. ペンフォールズの哲学

ペンフォールズのワインは、シングルヴィンヤード/シングルブロック、シングルリージョン/サブリージョン、マルチリージョン/マルチヴァラエタルブレンドという3つの明確なスタイルが哲学の基礎となっています。

独特な土地の感覚と自然環境の特徴が現れている、シングルヴィンヤード/シングルブロックの葡萄から作られるワイン。そして、その地域が提供できる最高のワインとして作られ、特定地域の特徴、土壌や気候などを最大に生かしたシングルリージョン/サブリージョン。
最後には、全ての地域からそれぞれの特徴を持つ高品質の葡萄を集めてブレンドし、複雑かつ最高品質のワインを作るマルチリージョン/マルチヴァラエタルブレンドがあります。最上級のグランジを始めとし、セント・アンリ・シラーズ、ヤッターナ、ビン389カベルネ・シラーズなどのペンフォールズが誇るトップワインの多くはこのマルチリージョン/マルチヴァラエタルブレンド哲学の元で醸造されます。

オーストラリアワインのパイオニアとしての開拓精神

オーストラリアワインのパイオニアとしてペンフォールズは、開拓者精神と好奇心を持ち続け、2002年に就任した4代目チーフ・ワインメーカーのピーター・ゲイゴ氏の元で様々な野心的なプロジェクトを進めています。
2025年には、家族経営のシャンパーニュ・メゾンであるティエノとの継続的なパートナーシップによってペンフォールズ・シャンパーニュをリリース。また、南フランスやボルドー、アメリカ・ナパヴァレーや中国においても一貫した“ペンフォールズ哲学”のもと、ワインの醸造を行っています。

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4. 各ワインのテイスティング

テイスティングルーム
▲ テイスティングルーム

訪問の最後にテイスティングルームでワインのテイスティングを行いました。

①Reserve Bin A Adelaide Hills Chardonnay 2021

アデレード・ヒルズのテロワールを反映したとても表現豊かなシャルドネ。丁寧に収穫・搾汁された後に一部自然酵母で発酵。熟成には225リットルのバリックが使われています。
トロピカルさも感じられる豊かな果実味にレモンやライムなどのフレッシュな酸。樽由来のオイリーさやバター感が穏やかに下支えしてくれます。終盤の張りのあるミネラルの表現も素晴らしく、複雑ながらとてもバランスの取れたワインです。

②St. Henri Shiraz 2022

今回試飲した中では最もエレガントなシラーズでした。グランジと同じくマルチリージョンの考えの元、バロッサ・バレー、マクラーレン・バレーを中心に複数の地域、畑の葡萄が選び抜かれブレンドされています。このキュベでは、樽の影響を極力抑えるため、新樽を使わず、古樽のみで熟成。フラワリーに広がる赤黒入り混じった果実の香りにスパイスのニュアンス。スムーズながら芯のあるタンニンが熟成のポテンシャルを感じさせてくれます。

③RWT Bin 789 Barossa Valley Shiraz 2022

バロッサバレーのシングルリージョンのシラーズをフレンチオーク(69%新樽)で熟成。今回試飲した中ではグランジの次に力強く、また、熟度の高さからくる果実のボリューム、甘さを感じます。タンニンも比例して強く、全体的にスケールの大きさを感じ取れます。黒系果実の香りにチョコレートやエスプレッソ、八角やナツメグなどのクリスマススパイスのニュアンスも。非常に長い熟成のポテンシャルがあり、飲み頃も非常に長く続くでしょう。

④Magill Estate Shiraz 2023

マギルエステートのシングルヴィンヤードのシラーズで、セラードアでしか購入ができない限定品です。冷涼さを感じるエレガントな酸にチェリー、ベリーなどを思わせる果実味にスミレなどを思わせる華やかな赤い花の香りが続き、シルキーながらしっかりと構造のあるタンニンが引き締めてくれます。ダークチョコやモカなどの香りが複雑さをもたらし、華やかな余韻が長く続きます。今飲んでも非常に良いですが、熟成を経て深みが出てきた時がとても楽しみなワインです。

⑤Bin707 Cabernet Sauvignon 2023

「カベルネのグランジ」と称されるオーストラリア最高級のカベルネ・ソーヴィニヨンです。
複数のエリアの葡萄の中から最高品質のもののみをブレンドしており、透明感がありながら絶大なパワーを同時に持っている素晴らしいワインでした。フローラルな香りに始まりフレッシュさを残しつつ凝縮感のあるカシス、そして清涼感をもたらすミントの香りがグラスに広がります。ダークチョコやタバコのニュアンスのある非常に強いタンニンがあり、長い熟成の可能性を感じられます。

⑥Grange 2021

ペンフォールズの長い歴史を物語る、言わずと知れたトップキュベです。各地の完熟した最高品質のシラーズから作られ、オーストラリアワインのアイコンとして存在しています。
アタックは、圧倒的な密度と濃度のある黒系果実の香りが飛び込んできます。そして滑らかながらとても強い樽由来のチョコレートやモカ、レザーの香りへと続き、グリーンハーブの香りや穏やかなスパイスの香りが複雑さをもたらしてくれます。構造や密度共に圧倒的で余韻も永遠に感じられるほど長く、トップキュベとしての貫禄とその理由を言うまでもなく感じることができます。

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