アンリオ
アンリオ家は17世紀からワイン造りに携わり、1808年にアポリーヌ・アンリオ夫人がメゾン アンリオを設立。この時から今日に至るまでの200年以上、家族経営を行っている老舗のシャンパーニュメゾンです。
20世紀初頭、フィロキセラの流行や第一次世界大戦により畑は大きな被害を受けました。1926年にエティエンヌ・アンリオ氏が経営を継承。畑の回復に尽力、海外市場の拡大とアンリオの成長に貢献し、その後、故ジョゼフ・アンリオ氏が経営を引き継ぎ、アンリオの名声を確固たるものに築き上げました。現在はジョセフ・アンリオ氏の甥であるジル・ド・ラルズィエール氏が8代目当主として指揮を執っています。
2020年には、新しいシェフ・ド・カーヴにクリュッグの醸造家だったアリス・テティエンヌ氏が就任。ボルドーやブルゴーニュで研鑽を積み、ローラン・ペリエ、ニコラ・フィアートを経てクリュッグに参画した彼女の手腕に期待が高まります。
アンリオは約35ha所有の自社畑と長期契約を結んだ栽培農家のブドウを使用しています。その大半はグラン・クリュとプルミエ・クリュであり、格付け率の高さはアンリオ特徴の1つです。スタンダードキュヴェを含むすべてのレンジにおいて、特級・一級畑が3分の2以上使用されているというのだから驚きです。
特にアンリオの「エレガンス」を表現するシャルドネの良質な畑はシュイィです。5代目ポール・アンリオ氏とマリー・マルゲ女史の結婚によってもたらされました。
畑では、区画毎に収穫場所に近いプレス機で圧搾し、区画もしくはクリュ毎に別々に発酵を行います。アンリオの特徴としては、シャルドネ比率の高さが上げられます。シャンパーニュ地方の平均が30%程度であるのに対し、アンリオでは40~60%シャルドネを使用しています。また、アッサンブラージュは多数の異なるクリュからのワインを使用し、さらに複数のヴィンテージワインを使用しています。スタンダードながら豊富なリザーヴワインを使用しています。
熟成においては、いずれのキュヴェにおいても法律上の最低瓶熟期間よりも長い期間瓶熟させます。グラン・クリュの原酒は非常にパワフルで酸味豊かなため、オリと触れ合った状態で長い期間熟成させることが可能です。ブリュット・スーヴェランで3~5年、ミレジメは最低6年瓶熟させています(ノン・ヴィンテージの最低瓶熟期間は15ヶ月)。これらにより、複雑で深みのあるメゾンスタイルを表現しています。