topへ戻る
  • HOME
  • 会社概要
  • スタッフ紹介
  • ワインの選び方
  • ご利用ガイド
  • THE CELLAR NEWS
  • CRS
  • お問い合わせ
日本ワインコラム
情野ソムリエ特集
ファインズ生産者コラム
スタッフブログ
リーデル商品ページ
RIEDEL×日本ワイン企画

産地で選ぶ

日本

フランス

ヨーロッパ

ニューワールド

品種で選ぶ

種類で選ぶ

セットで選ぶ

価格で選ぶ

古い年代で選ぶ

インポーターで選ぶ

インポーター紹介
店舗一覧
HPはこちら
熨斗・ラッピング対応しております。
メルマガ会員募集中
 

トップ>日本ワインコラム>北海道・空知 10R

vol.2

日本ワインコラム 北海道・空知 10R / vol.2 ----- 訪問日:2021年7月19日

ウサギなど野生動物による被害が激しいとおっしゃっていたのは昨年。ついに今年は自社畑に金属製の柵が設置されていた。 ウサギなど野生動物による被害が激しいとおっしゃっていたのは昨年。ついに今年は自社畑に金属製の柵が設置されていた。

高校生の時にチェーンのハンバーガー屋さんでアルバイトをしていたんですが、そのときに『こういう仕事は絶対にしたくない。自分は好きなことを仕事にできないとダメだ。』と思ったんです。

大学では医学の勉強を始めたけれど、周囲は皆すごく真面目で、一方私は不真面目で遊んでばかりいました。そのときに、またハンバーガー屋さんのことを思い出して、この勉強も自分にとっては好きなものとはちょっと違うな、と思いました。

医学生としての道を逸れ、友人とともにワインテイスティング・コースに参加したことがきっかけでワインにのめり込んだブルースさんは、UCデイヴィスで醸造を修める。

卒業後はナパヴァレーでのコンサルタントを経て、ココ・ファームで醸造を手掛けた。

そして、北海道の地で独立をする際、ココ・ファームでの問題意識をより具体的に解決していく方法として選んだのが、委託醸造というスタイルだった。

もともと委託醸造所をつくりたかったんです。

当時、日本には他に例がありませんでした。本業で委託醸造やっているところはなかったんです。

その動機としては、だいぶ前の話ですけどココ・ファームで海外原料を使用してワインを造っていた、ということがあります。畑を用意する必要もなく、電話一本で届くし、価格も安かったのですが、それはやっぱりやめたほうがいいと思っていました。

コスト面でのメリットがあまりにも大きかったので、理解をしてもらうには中々の時間がかかりましたが、最終的には90年代半ばに全てを国産原料に切り替えました。

その一方で、日本で良い葡萄を見つけることはとても難しいことでした。日本での葡萄栽培はやはり困難なものでしたが、そこで日本の葡萄栽培技術を向上させていきたいと思ったのです。


北海道をはじめ、新しい生産者が次々と生まれている地域では、ドメーヌに拘る傾向が強く存在している。

ある種、自己実現的な要素が強い分野であるから、0から10までを自分自身の手で仕上げたいという思いが、新規ワイナリーに共通しやすい理想であることは納得のいく話だ。

一方で、委託醸造は葡萄農家の育成というより、産業の発展に主眼が置かれた取り組みである。

ワインを造れば、原料の葡萄の質がわかる。原料の質が分かれば、その品質の向上を目指した改善をすることができる。結果的にワイン造りが葡萄栽培の技術を押し上げるというものだ。

10Rワイナリーのブルース・ガットラヴさん。訪問日は忙しく瓶詰めをされていました。

地方を回って若い葡萄栽培家と話をしているときに、できれば自分の葡萄だけでワインを造ってほしい、と言われることが多くありました。

そうすることで、自分の葡萄の質が見えてくるからです。

ココ・ファームでは一部でそういうこともやっていましたけれど、まだ量としては少しだけでした。そういう栽培家の思いを汲んだ上で、やはり委託醸造所が必要だと感じました。農家の方が最初にワインを造る際、色々なハードルがありますが、委託醸造所があることでそういった問題がクリアになってくる。

やはりいいワインを造っていくためには、葡萄農家が育っていかないといけません。

それは日本ワイン全体の今後の成長のためにも絶対必要なことですし、それができていれば成長は早いと思います。

また、新規ワイナリー立ち上げを志す人々が、10Rでの委託醸造を経て独立をはたしているというのも事実だ。

実際に、我々が北海道で訪問したワイナリーのうち5軒は、“10R卒業生”といったような括りで呼ぶことが出来る生産者だ。

そういった卒業生たちのワインや、上幌ワインとしてリリースしている自社ブランドのワインについて、共通するのが自然なワイン造りである。謂わばナチュラルなスタイルを日本に伝えた第一人者とも言える彼が、現在の彼自身のワイン造りを振り返るとき、そこには偶然性や不均質性のような、イレギュラーをポジティヴに受け入れる姿勢が垣間見られる。


赤はピノ・ノワールで白はソーヴィニヨン・ブラン。

両方とも最初から質的には良いものが取れているのですが、まだ満足できる収量に達していません。

あと、ピノ・ノワールはもっと深い味わいにしたいのですが、まだ若木だからやや単調な味わいの果実が採れているだけで、時間の問題だと思います。

また、赤にも白にも言えますが、収穫時に畑の場所によって果実の熟度にバラつきがあります。バランスを取ることも重要だけれども、そういったバラつきがあっても良いと思っています。その方がいろいろな味わいがワインの中に現れて面白いと思うんです。


自らを「伝統的なイタリアワイン」に例えるブルースさん。

どこか野暮ったいような側面がありながらも、適切なシーンにおいてはそれが見事な美点として作用する。そのような不揃いな味わいという特徴に価値を見出す姿勢も、自然な造りによる不均質を面白いとすると共通の軸を持っているように思われる。

例えばボルドーの昔のワインですが、90年代半ば以降はそれ以前と造りが大きく変わりました。ニューヨークの酒屋で働いているときに、1982年のムートンが3500円くらいだったのですが、その頃は生産者も今ほど贅沢に造れなかったんですね。

熟度がバラバラでも、そのままワインを造っていたんです。しかし、次第に栽培技術が進むことによって、一律にクオリティが高い葡萄がとれるようになりました。そこから発展してカリフォルニアでは、『畑は工場だ」という考え方にまで至る。ただそれが均一化してしまい、ちょっとつまらなくなったと思うんです。

その長いキャリアから鑑みても醸造家として、彼は最早日本有数のベテランであろう。しかし、彼の自然なスタイルを自身の言葉で語るとき、もちろん年季の入った経験による重厚感はヒシヒシと感じるが、それとともに、やけに青臭いロマンチスムがもくもくと漂うのだ。

昨年はなかったアンフォラのような熟成容器も見られる

自分のワイン造りは、一言でいえば一生の旅だと思います。
ワイン造りを通して自分のことをもうちょっとわかるようになる。そうすると自分が造りたいワインも見えてくる。

ある人は最初からどういうワインを造りたいかが決まっていて、そうすると目的地へ辿り着くのに、あとどれくらいの道程が広がっているのかがわかるのだと思います。ですが、自分の場合は時間とともに色々変わっていくし、いろいろな影響を受けるから、その都度変わっていくんです。

風と共に。


風の吹くまま、気の向くまま、何を醸すかは収穫次第、第一人者の肩書背負って、造ってみせます自然なワイン、ということで「さすらいのブルース」でした。

とまとめてしまっても、もしかしたら良いのかもしれないが、さすがに荒野をぐるぐる彷徨っていると誤解されても困るので、

すべての可能性を検討したとは言えないけれど、自分が向かいたいところはある程度見えてきています。
自分のワイナリーを造ったことによって、責任を100%自分で負うようになったことで、自由にワインを造れるようになりました。

自分のスタイルは、ワイン造りの原点に帰って、この土地に一番合ったワイン造りをすることだと考えています。最初の10年間は試行錯誤してきましたが、10年たった現在、将来がみえてきました。

北海度でピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランを造るということ、疑問の対象として、途方もない酔狂として扱われてきたその挑戦が、着実に成功のかたちを現わそうとしていることは間違いない。

10年のトライアンドエラーを経て、品質の向上と、自然で不均質で複雑な味わいという土地の表現が、更なる展望として見据えられているのであれば、非常に愉しみなことだ。


そして願わくは、厳かに設置された電流爆裂デスマッチ的な鉄柵が、うさぎや獣の侵入を妨げて、上幌ワインに収量の増加をもたらさんことを。

vol.1

日本ワインコラム 北海道・空知 10R / vol.1 ----- 訪問日:2020年9月8日

ブルース・ガットラヴ

当たり前だが、30年は長い。

生まれてからだいぶ経ったな。と感じる筆者ですら、いまだ齢30を迎えていないのだから相当なものだ。 アメリカ合衆国ニューヨーク州に生まれたブルース・ガットラヴさんは、それだけの歳月を日本ワインに費やしてきた。

つまり、筆者より日本で生きている時間が長い。やはり、相当なものだ。

カリフォルニア大学デイヴィス校醸造科卒業という輝かしいスタートラインから、醸造家としてのキャリアをスタートさせた。 当時、国産原料だけでは生産量が足りず、輸入原料を加えてワインを製造していたここファームワイナリー。

そこへ、カリフォルニアから葡萄供給していた栽培家が学生時代の友人だった。

醸造コンサルタント会社に勤めていたブルースさんは、ここファームからの熱心なオファーを受けて日本へ飛び、ゆくゆくは醸造責任者として日本ワインの品質の底上げに大きく貢献することとなる。 野生酵母での発酵や、無濾過、亜硫酸無添加などの醸造法を積極的に取り入れ日本に広めたのもブルースさんの功績の一つかもしれない。 その後、さらに自然なワイン造りを志した彼は、北海道の地で独立を果たした。


北海道岩見沢市栗沢町上幌。
ブルースさんは、新しいスタートの地としてこの地を選んだ。 眼下に水田を望む風通しのいい緩やかな丘の上に、醸造所と2つの自社畑が広がる。

畑からの遠景

「空知は道央の内陸なので、北海道の中でも寒い地域と思われがちですが、有効積算温度で見れば道南よりも温暖なんです。」

ワイナリーを造るにあたり、自身も畑を所有しながら、導入したのは海外では一般的と言われる「受託醸造」というスタイルだ。 醸造設備を持たない葡萄農家に、自身のワインを造る環境とノウハウを提供する。

10Rのcellar

「現在では、以前よりも広まってきたシステムですが、カスタムクラッシュ(受託醸造)ワイナリーというスタイルは、当時は珍しいものでした。私も北海道というポテンシャルを感じて、この土地に移り住んできましたが、私と同じようにこの土地に魅力を感じてワイン造りを志す若い醸造家がきっと出てくると思いました。」

その予見の通り、2012年のスタート時からKondo VineyardやNakazawa Vineyardといった、畑を開墾して間もない若手生産者たちが10Rワイナリーでの醸造を始めるようになった。

翌年以降も若手栽培家の注目を集め続け、8年目を迎える現在、醸造を受託する農家の数は21軒に達する。 朗らかで物腰の柔らかいブルースさん。毎年多くの醸造を受託し、夢の実現を後押ししてきた彼の醸造家への接し方は一貫している。

「それぞれの醸造にはあまり口出しをしません。たまに指導はしますけど。私自身はよりナチュラルであったり伝統的なワインを好みますが、醸造家それぞれが、自分の醸造を見つけてくれるのが大事。私が指示をすると、その人のワインじゃなくて私のワインになってしまうから。瓶詰の時に、ちょっとだけSO2を入れるようにはアドバイスしていますけどね。SO2を入れないほうが楽だし、入れなくて済むならそのほうがいいけど、出荷した先で吹いちゃうと(酒販店の)皆さんが大変だから。」


「とあるワイナリー」、10Rの名前の原型にもなった言葉だ。

醸造家にとっては、自身の個性やスタイルを信じて突き進める醸造所。

葡萄にとっては、北海道のポテンシャルを最大限に発揮できる醸造所。

「とある」が表すような、ある種の匿名性、透明性は、醸造家とワイン、葡萄とワインを繋ぐ存在でありながら、 決して邪魔しない、介入しない10Rワイナリーの在り方やブルースさんの理想を映し出す。


10Rはカスタムクラッシュワイナリーの運営と同時に、自社で所有する2つの畑から「上幌ワイン」というラベルのワインを生み出す。

風が強いから「風」、森と隣り合っているから「森」、と条件反射的に名付けられたその2つの区画はワイナリー背後に膨らんだ丘の上に並んで位置し、南向き斜面の「風」には黒葡萄が、東向きの斜面の「森」には白葡萄が植えられている。

「森」はソーヴィニヨン・ブランを中心とする畑。元々アスパラガスの畑だったため、ソーヴィニヨンが植えられる運命であったとの話もあるが、その他にも多くに品種が植えられている。サヴァニャン、グリューナー・フェルトリーナー、オーセロワ、アリゴテ、シュナン・ブラン、ズィゲレーベ(ドイツ交配品種)など、大きく分けて冷涼系品種でること以外ほとんど一貫性のないラインナップだ。

ソーヴィニヨンブラン

この土地は葡萄栽培においては新しい産地だから、どんな品種がこの土地に適しているのかが、まだわかっていません。 有効積算温度を満たす範囲の中で、多くの品種を植えて、それぞれの成熟具合、生産量、病気への耐性を観察しながら、土地に適した品種を探しています。

食事とのマッチング

既に例年の傾向というものわかってきているそうで、ズィゲレーベ、オーセロワなどの品種は生産量が安定している。

「オーセロワは収量がよく取れる。そして栽培も楽。だけど、問題があって。皆さん、今までおいしいオーセロワを飲んだことがありますか。」

ない。

じゃあ、やめよう。とならないのが、わざわざ多品種を植えて実験を惜しまない彼の熱意だ。

世界各地のオーセロワを集めて、おいしいオーセロワがどうあるべきか、探求する日々だという。 樽熟成のオーセロワ、オーセロワのオレンジワイン、世界には様々なオーセロワがある。

暗中模索なのか、道なき道なのか、味なき味なのかはよくわからないが、上幌のオーセロワによってワインが変わる日が来るかもしれない

若手が台頭

「今、あの森は草が生え放題で、風通しがすごく悪い。でも、もっと深刻な問題はあの森がウサギの団地になっていること。」

ブルースさんが指さす先には、畑の名前の由来にもなっている森がある。

恐ろしいことに、「森」団地出身のウサギさんたちは団地生活のストレスを、ブルースさんの「森」の葡萄の芽の食べ放題を堪能することによって発散していた。品種を選り好みするグルメなウサギさん達なので、葡萄が全滅するようなことはないそうだが、サヴァニャンや、グリューナー・フェルトリーナーといった、ウサギさん達を唸らせる品種については、惨憺たる姿をさらしていた。サヴァニャンも多品種の中での成功例だそうだが、ウサギさんの団地の横という立地状況が最悪だ。

「森」のすぐ隣に位置する「風」には、ピノ・ノワールを中心としてガメイや、ムニエ、プール・サールなどが植えられている。
ここでも、ブルースさんの実験的なアプローチが見える。

ブルゴーニュ等であれば、マサル・セレクションの選択肢がありますが、新興産地の日本ではクローンを多く並べるしか選択肢がありません。

畝ごとに植えられた13種類のクローンは、それぞれに成熟度合い、収量、病気への耐性が異なる。 成熟に合わせて各クローンを収穫していく中で、同じピノ・ノワールであってもそれぞれの個性も見えてくるという。

新興産地にあって、探求の姿勢を崩さないブルースさん、Japan Vineyard Association の理事でもある彼は、 日本における葡萄栽培の可能性を広げることに意欲的だ。

本当はもっといろいろな品種を試したいけど、日本では多品種を手に入れられるような環境がない。今は、海外からの苗木の輸入も非常に厳しいので。そういった苗木や台木、クローンの供給路のようなものは何とか整備していかなければいけません。

インタヴューの最後、今後試したい品種があるかを聞いてみた。

モンドゥースをやりたい。

あとは、ラグレイン、ザンクト・ローレント、トゥルソーあたりですね

なんでしたっけ、それ。

果たして、そういった極めてマイナーな品種たちが、北海道で良質な果実を生むのかはわからない。

だが、その可能性を潰さないこと、日本の土壌の可能性を探ること、それが新興産地を少しづつ前へ押し出してくれることは間違いない。30年日本ワインにかかわり続ける彼が、この先さらなる可能性に光を当ててくれることを、欲を張るようであるがだ、これからも願っている。


例えばモンドゥーズとか。だから、何だそれ。


※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。また、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。




日本ワインコラムTOPへ戻る

全3件