1. テロワールとは
テロワールとは、フランス語で「土地」を意味する「terre」から派生した言葉です。
ワインの世界では気候や土壌を意味し、品種個性やワインの味を決める要素の一つとして知られています。
フランスを始めとするヨーロッパ産のワインの多くには、産地や畑の名前がワインに付けられていますが、その背景にはテロワールの概念、つまりワインの味わいや品質にブドウ畑を取り巻く自然環境が深く関わっているという古くからの考えが反映されているためではないでしょうか。
2. テロワールの要素
ワインの世界でのテロワールの定義は少し曖昧で、明確なものはなく、あくまでも概念として捉えられています。一般的にテロワールに含まれるとされる要素には以下のようなものがあります。
- 土壌(地質)
- 地形
- 気候
土壌(地質)
ワインの味わいに最も大きな違いが生まれる理由は「土の違い」つまり「地質」の違いによるものであると思われています。また、地質も層になっており、基本的にはトップソイル(表土)とサブソイル(下層土)に分かれています。
土に含まれる栄養素やミネラルは地質によって異なり、ブドウはこの土壌の栄養素によって育つため、地質によってワインの味わいが異なってきます。
主な地質による味の違いは以下のとおりです。
粘土質 | タンニンが豊富でリッチな味わい。保水力もあり、どっしりとした印象 |
石灰質 | カルシウムが豊富であり、しっかり熟しても酸が残り、さわやかな味わい |
花崗岩質 | しっかりとした酸味とミネラル感、芳醇な香りで熟成するとバランスの取れた味わい |
片岩質 | 密度とpH値が高く、強いミネラルとすっきりした酸味 |
泥灰岩質 | しっかりと力強く、まろやかさのある味わい |
火山岩質 | 保水力が高く、スモーキーな香りをまとう深みのある味わい |
また、水はけの良さもブドウやワインにとって重要な要素であり、ブドウ栽培に斜面を選ぶ理由の多くもここにあります。
水分量が多く、水はけの悪い土地はブドウによっては根腐れしやすく、ブドウ果実が水っぽい味わいとなってしまいます。
その反面、適度に乾燥した土地はブドウがカビなどになりにくく、水分が足りないことで果実がストレスを感じ、小さく、糖度の高い凝縮感のあるブドウになります。
地形
標高や斜面の向きもテロワールに含まれる重要な要素の一つと言えます。
ブドウ畑は平地もあれば、山の斜面に広がっていることもあり、平面か斜面かによっては日照時間なども変わるため、ブドウの糖度や酸度などに大きく影響します。
東斜面は比較的すっきりとした味わい、西斜面は西陽の影響で果実味が強く出る印象をもちます。
また、標高が100m高くなるたびに気温は0.6度下がると言われています。
気候
気温や降水量、日照時間などもブドウ栽培に大きく影響してきます。
この気温の判断基準となるのは「有効積算温度」と言われており、世界ではWinkler Indexとして知られています。
日照時間とは「斜面の向き」に影響され、光合成が一番活発な朝から午前中にかけて日光が当たる東向きの斜面、一日中日光のあたる南向きの斜面が最適といわれています。
その他
気候や土壌のほかにも畑に住む微生物や動植物の活動による影響もテロワールの要素といえます。この微生物の影響により豊かな土、そしてワイン造りにおける発酵にも影響してきます。
また、ブドウ栽培者やワイン生産者、人の営みもテロワールの要素の一つといえます。その地域で生まれた文化や歴史もテロワールとして捉えられます。
3. テロワールが根付いている土地「ブルゴーニュ」
ワインの銘醸地であるブルゴーニュ地方はテロワールの概念が色濃く根付いています。
ブルゴーニュ地方は、パリの南東に位置する全長300kmの地域で、栽培されている品種の9割がピノ・ノワールとシャルドネです。エリア全体の気候は大陸性気候で地域差はほとんどなく、ブルゴーニュ地方では、気候も品種も同じ隣り合う畑で味わいが全く違うワインが出来上がるケースが多くあります。
このワインの味わいの違いは「土壌」や「地質」の違いによって生じるものであり、こうした畑の条件でのワインの質の違いを重視した結果、「グラン・クリュ(特級畑)」「プルミエ・クリュ(一級畑)」や「リューディ(区画)」といったブドウ畑の違いによるワインの格付け制度につながっています。
4.【ブドウ品種別】テロワールが与える味わいの違い
ワインを選ぶ際に重要視するべきポイントの1つは「ブドウの品種」です。
ブドウの品種によって味わいの違いがあり、それを知ることでワインを選ぶ楽しさの幅が広がります。
そのブドウの品種が栽培されている産地のテロワールによって、同じ品種でも全然違った香りや味わいになります。
ワインのなかでも代表的なブドウ品種をテロワールによる味わいの違いを紹介していきます。
シャルドネ
フランスのブルゴーニュ地方の土地は粘土石灰質のため、ブルゴーニュで育ったシャルドネ種はしっかりとハリのある酸味とミネラル感を楽しめる味わいとなっています。
アメリカのカリフォルニアにあるナパ・ヴァレーで育ったシャルドネ種は、乾燥した気候と温和な気候の影響で、どっしりとした重厚感があり、洋梨やトロピカルフルーツのような芳醇なフルーツのような風味が楽しめる味わいとなっています。
その他のシャルドネについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
ピノ・ノワール
ピノ・ノワールの銘醸地、フランスのブルゴーニュ地方で育ったブドウはフレッシュな木苺やアセロラ、茂った森のような香りと繊細な味わいが特徴です。
ニュージーランドのマールボロ地区で育ったピノ・ノワール種は、赤や黒系のチェリーやプラム系の果実、しっかりと骨格のある味わいが多いです。
アメリカのオレゴン州、ウィラメット・ヴァレーは、火山性土壌と堆積粘土質が入り組んだ土壌と比較的乾燥した地域の影響もあり、ベリーやカシスのような果実風味とブルゴーニュとニュージーランドの中間なスタイルのワインに仕上がります。
ピノ・ノワールについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
リースリング
ドイツ・ラインガウ地方でつくられるリースリングは、粘板岩質の土壌でレモンやグレープフルーツなどの柑橘系の香りが特徴的で、シャープな酸味に微かな甘みが絶妙なバランスを作っています。また、ブドウを凍らせるアイスワインや、貴腐菌を利用した貴腐ワインなど、甘口に仕上げられることもあります。
フランス・アルザス地方の灰岩質の土壌で育ったリースリング種は、桃やアプリコットのような香りが特徴で、酸味とミネラル感が強くなるほか、アルコール感を伴った辛口に仕上げられることが多いです。
リースリングについて詳しく知りたい方はこちら
5. おすすめワイン3選
ベルクール ピノ・ノワール 2021
フランス、ラングドック地方メーズ近郊の海沿いの葡萄園で収穫されたブドウで仕込まれたピノ・ノワールは、海風の影響を受けてしっかりとしたミネラル感が感じられます。赤い果実のピュアな酸と、なめらかな口当たりが特長のエレガントな赤ワインです。
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スタッフ
おすすめスタッフ
おすすめ赤ワインベルクール ピノ・ノワール 2022
赤ワインフランス/南仏通常価格1,562 円 (税込)通常価格単価 あたり750ml、ピノ・ノワール 750ml、ピノ・ノワール
スタッフが自信を持っておすすめするデイリー・ピノ
エヴィダンス by LVHB クレマン・ド・ブルゴーニュ ブラン・ド・ブラン NV
シャンパーニュとわずか600mしか離れていない、ミネラルの豊かな土壌で造られるクレマンドブルゴーニュ。ドサージュが少なく、減農薬栽培されたブドウ本来の味が楽しめます。
グレープフルーツ、洋梨のフルーティーさに蜂蜜やナッツのニュアンスがあり、ミネラルの溌剌感とフレッシュな酸で充実感のある味わいです
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スタッフ
おすすめ白ワイン、スパークリングワインエヴィダンス by LVHB クレマン・ド・ブルゴーニュ ブラン・ド・ブラン NV
白ワイン、スパークリングワインフランス/ブルゴーニュ通常価格3,960 円 (税込)通常価格単価 あたり残り5個
750ml、シャルドネ、ミディアム 750ml、シャルドネ、ミディアム
豊富なミネラルと爽やかな果実感
エロイカ リースリング 2021
リースリングの銘醸地であるドイツ・モーゼルの生産者と、新世界を代表するアメリカ、コロンビア州の生産者が協働したワイナリー。洗練されながら力強い、2カ国の融合スタイルを表現したリースリングです。
区画毎に個別に醸造が行われ、最終的にブレンドすることでワインの複雑味を作り上げています。ブドウは冷涼な夜中に収穫し、そのままプレスしたもの。美しさを感じさせる明るい果実味と清冽な酸味、しっかりとしたミネラルを思わせる味わいです。
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スタッフ
おすすめスタッフ
おすすめ白ワインエロイカ リースリング 2022 *
白ワインアメリカ/ワシントン州通常価格5,500 円 (税込) 送料無料通常価格単価 あたり750ml、リースリング、ミディアム 750ml、リースリング、ミディアム
熟した果実と酸のバランスが上品
6. まとめ
テロワールは、「ブドウ畑を取り巻く自然環境要因」を意味し、ワインの味を決める要素として重要視されています。土地の特性がワインの風味にどのように影響するかを知ることで、ワイン選びがより楽しくなります。
次にワインを手に取るときは、ぜひ、ラベルに記された産地とそのテロワールに注目してみてほしいと思います。テロワールの奥深さを感じながら、自分だけの特別な一本を見つけてください。